アングリカン・コミュニオンのエンブレム、コンパス・ローズは、1954年、米国ミネソタ州ミネアポリスの聖マルコ大聖堂で開催された第2回国際聖公会会議のために作られ、1988年に現在のデザインにリニューアルされて、第12回ランベス会議中にカンタベリー大聖堂の床に置かれた[7]。中央は、イングランドの国旗である聖ジョージ十字。十字架の周りに「真理はあなたたちを自由にする」(『ヨハネによる福音書』第8章32節)[注 2]とギリシア語で刻まれており、コンパスは聖公会の世界中への広がりを思い起こさせる。一番上のマイター(主教帽)は、教会の核心にある主教制と使徒継承を象徴している[6]。 聖公会は宗教改革の中からイングランドで生まれたイングランド国教会を母体とする一教派であるため、広義のプロテスタントに含まれると見なす(あるいは自認する)見解もある[8]が、典礼様式や組織構造など外面的な部分に関しては他のプロテスタント教会と大きく異なり、むしろカトリック教会と非常に近しい(ともすると、第2バチカン公会議以降の現代カトリック教会以上に古式を残している場合さえある)。カトリック教会とプロテスタントの中間というのが実態であり、一般的には「中道(ラテン語: Via Media
教義・様式両脇の4名はアコライト(侍者)。中央左側の司祭はアルブと白のストールを着用し、中央右側の主教は白のチャジブルと金色のマイター(主教帽)を身に着け、牧杖(パストラル・スタッフ)を持っている。立教学院諸聖徒礼拝堂
典型的・伝統的な聖公会の聖堂内観草津聖バルナバ教会
門の上に聖母マリアの彫像がある
中道(Via Media)の教会
「Via Media」とは、エリザベス1世時代にイングランド国教会の教義確立に大きく貢献した神学者リチャード・フッカーが使い始め、のちにオックスフォード運動の先導者ジョン・ヘンリー・ニューマンらが肉付けした言葉である[10]。これは単に「中間的」という意味ではなく、正確には「あれでもなく、それでもない」、「これでしかない」という明確な主張を表現する言葉である[11]。ローマ・カトリック教会の伝統絶対主義・教皇絶対主義も、ピューリタン(急進的プロテスタント)の極端な「聖書のみ」・聖書絶対主義も採らず、「あらゆる絶対主義を否定する」という点が根幹である[12]。また、「途上にある」という意味も込められており[13]、「ドグマティックな結論を出さず、不完全性をむしろ誇りとして、多様な考え方を認めて共に考え続ける」、「真理の道を歩み続ける」といった含意もある[9]。
カトリック的な側面「カトリック (概念)」も参照
歴史的主教制[14](監督制):聖職者を平信徒と明確に区別し、主教(Bishop)・司祭(Priest)・執事(Deacon)の三聖職位制を保っており、使徒継承性を自認している。
管区・教区があり、必ず主教によって統括される。
修道士・修道会制度が存在する(一旦ほとんど廃止され、19?20世紀になってから復興された[15])。アングリカン・ベネディクト会、アングリカン・フランシスコ会などが存在する[16]。
聖職者の祭服(アルブ、ストールなど)や、聖堂の様式(ほとんど必ず中央奥に祭壇と聖卓がある)などはカトリックとほとんど同じである。
教会暦の概念があり、時節によって定められた祭色を用いる。