聖体拝領
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例えばカトリック教会正教会では、伝統的に聖体のサクラメントを7つある秘跡機密の一つとし、「聖変化」という思想を尊重してきた。聖変化とはパンとワインがミサの中で実際にキリストの体と血に変わるという教義である。それに対して宗教改革期以降、プロテスタントの教会ではパンとワインが実際にキリストの体と血に変わることはなく、単なる象徴的な儀式にすぎないとみなすようになった。

1980年代以降、世界教会協議会 (World Council of Churches) が行われる中で、洗礼、聖餐、および教会における職階についての相互理解を深めようという動きが活発化し、カトリック教会をはじめとする多くの教派が参加している。
西方教会
カトリック教会ベネディクト16世によるミサの司式詳細は「ミサ」を参照

カトリック教会は古代から現代に至るまで、ミサを毎日、絶えることなく続けてきた。カトリック教会では聖体の秘跡、すなわちパンとワインがイエスの体と血に変わること(聖体変化)とそれを信徒が分け合うこと(聖体拝領)こそがミサの中心である。パンは小さな共同体(教会)のために発酵させない穀物と水だけのパンを薄く丸く焼き、十字の印をつけたものを使うこともあるが、多くは、その製造を専門にする修道院で穀物と水だけで日持ち良く保存しやすい、ひとりひとり用の大きさのホスチア、オブラートと呼ばれる薄焼きで味のないせんべいのようなものが使われる。グルテンアレルギーがある場合には事前に申し込むとグルテンを含まないホスチアやパンを聖体としていただける。カトリック教会では「御体」(おんからだ)とよばれるホスチアだけを信徒が拝領するのが一般的である。「御血」(おんち)とも呼ばれるワインの拝領も行われることがあるが、それはカリスと呼ばれる杯から飲むか、聖体をワインに浸して食べるか(インティンクション)のどちらかの形で行われる。また病人などに聖体を授ける場合、ミサの中で聖変化した聖体(通常はパンのみ)をチボリウムとよばれる保管用の容器に移し、ミサ以外の時間に司祭が運んで授けるということも行われる。
聖公会日本聖公会の聖餐式で使用される祭具類

聖公会では、源流である英国国教会での聖餐式がその元となっており、現行の『日本聖公会祈祷書』(1990、日本聖公会管区事務所)では、「目に見えない霊の恵みの、目に見えるしるしまた保証であり、その恵みを受ける方法として」、キリストが自らさだめた聖奠として、洗礼と並んで聖餐が示されており、キリストの苦しみと死、蘇りを記念するために主の再臨のときまで行われるものとしている。
多くの教会では復活日や毎主日に祈祷書に沿って聖餐式が執り行われ、司祭または主教によって聖別された聖餐を信徒が受ける。陪餐はキリストとの一致、全公会の一致のしるしであることから、聖餐式中には全公会と世界のために祈る代祷や、式に加わる者同士での平和の挨拶、共同懺悔などが含まれている。また、司祭は、明らかに大罪を犯していたり、言行によって隣人を害したりしている者に対して罪を悔い改め、償うことを明らかにしない限り陪餐してはならないことを告げなくてはならないとされている。

聖餐式で使用される祭具は多くがカトリックの道具や言葉を元にしているが、読み方は英語読みのことが多い。聖餐はホーストまたはウェハー(host,wefer)と呼ばれるパンと、ぶどう酒による二種陪餐の形式をとる。信徒に与えられるウェハーは500円玉程度の大きさのものが使われるが、聖別時に司式者がささげ持つ際に使用する大型のものを特にプリーストホースト(priest host)と呼ぶことがある。日本では、ナザレ修女会などの修道院で製造されたものが多く使われる。カトリック教会で使われているものに比べると薄く、小さいことが多い。

パンを入れる盃状の器をシボリウム(ciborium)と言い、皿状のものはパテン(paten)と呼ぶ。シボリウムは聖堂に安置される聖櫃に保管するためのものだが、分餐時に使用されることもある。また、ぶどう酒を入れる器はチャリス(chalice)と呼び、ワインは赤ワインでも白ワインでも良い。
聖別前のホーストを入れるための器をブレッドボックス(bread box)、ぶどう酒と水を入れる器をクルエット(cruet,2つある場合は複数形でクルエッツと言うことが多い)と呼び、これらに入れたものが、聖餐式中に信徒から聖卓に奉献され、聖職により聖別される。
福音主義教会(ルター派)フランクフルト・ドライケーニゲ教会
福音主義教会(ルター派)聖餐礼拝

福音主義ルター派教会では聖餐式の儀式の形式はカトリック教会のそれとも共通点が多く、うすいウェハース(正式にはホスチアと呼ばれる。あるいは本物のパンが用いられることもある)とワイン(もしくはぶどうジュース)を用いて、イエスの体であり血であるとの信仰のうちに分け合う。ワイン(ぶどうジュース)は「カリス」と呼ばれる共通の杯から個人のカップに移されることもある。
東方教会
正教会詳細は「聖体礼儀」を参照

正教会では、聖体機密を行なう奉神礼聖体礼儀と呼ばれる。聖体礼儀は祈りや聖書朗読の部分と領聖の部分からなる。領聖時に用いられる典礼文はギリシア語で「アナフォラ」と呼ばれる。ビザンチン典礼の正教会における聖体礼儀では聖金口イオアンのものとされる祝文(祈祷文)と聖大ワシリイのものとされる祝文が用いられている。ごく一部の教会では主の兄弟イヤコフに帰せられる祝文が特別の機会に用いられる。また大斎期の平日には、先の聖体礼儀で聖変化した聖体を領聖する先備聖体礼儀も行われる。

聖体礼儀の最後に行われる十字架接吻の後には、「アンティドル」と呼ばれる祝福された聖餅が振舞われる[4]。アンティドルは古代には子羊等をかたどり、聖体礼儀に与ることのできなかった信者のために持ち帰ったといわれる。教会によってはこの時ともに葡萄酒を振る舞うことがある(多く聖餅を浸して供する)。
脚注^ “ユーカリストとは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年3月10日閲覧。
^ 神の恵みが儀式をとおして人間に与えられるものとする見方。
^ プロテスタントもサクラメントの語を使うことがあるが、日本語の訳語である「秘跡」はカトリックでのみ用いられる。
^ “正教について 第八章”. ルーマニア観光局. 2023年3月11日閲覧。

関連項目

教派別のキリスト教用語一覧

ゴルゴタの丘 - ヴィア・ドロローサ - 園の墓

典拠管理データベース: 国立図書館

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