耳垢
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同様の研究は長崎県立長崎西高校の生物部も日本人類遺伝学会で2007年9月15日に発表しており、演者らによると乾性耳垢は西日本に多い傾向が見出されたとのことであり、渡来人人骨が西日本で比較的よく発見される事実を証明するものであるとした[6]。東北地方や北関東、南九州地方の人にも湿性耳垢が多いことがわかっている。

2006年1月29日長崎大学の研究グループの論文発表で、耳垢が湿性か乾性かを決定するのはDNA塩基配列の一か所の違いであることが判明[7]。また同論文では、「乾性耳垢」というものは本来存在せず、この場合は先天的に耳垢が生成されない体質であり、耳垢だと思われる物は耳壁の表皮や外部の埃などであることが述べられている。耳垢が湿性か乾性かというのは皮膚の性質の一性質を表しており、熊本大学の小野らは癜風の場合の耳垢は、日本人の平均より湿性が多いと発表した[8]
耳掃除[ソースを編集]人耳の構造「耳掻き」も参照

外耳道(耳の穴)は、骨部と軟骨部に分かれている。骨部が内側で、軟骨部が外側である。皮膚は鼓膜がある内側から外側へ移動するように出来ており、正常であれば、奥に耳垢はたまることなく、軟骨部と骨部の移行部まで出てくる。すなわち、耳を掃除するのは、見える範囲内でいいということになる。
耳垢の特徴[ソースを編集]

(本節は 石井(2009年)を参考文献とする)

耳垢は弱酸性であり、殺菌剤としての役割を果す。[9]の多い季節・地域では、外耳道に虫が入り、耳鼻科医の診察を受ける患者はごく普通に存在する。患者の共通点は耳垢がないことである。耳垢には防虫効果があると言われている。湿性耳垢の原因であるアポクリン腺から分泌される汗は独特の苦みと臭気があり、とりわけ虫類に対し強い忌避効果がある。垢にはこのような特長が備わっているため、外耳道を清潔にするために行ったはずの耳掃除が菌や虫の生息に適した環境作りとなる可能性がある。生活環境等にもよるが、耳掃除の頻度に留意する必要がある。また、耳掃除の際に力を入れすぎると皮膚などを傷つけ、そこから分泌液などが発生し不快な臭いが発生したり炎症を起こし(外耳炎中耳炎など)、場合によっては聴力に異常をきたす場合がある。
動物の耳垢[ソースを編集]

基本的に野生動物の耳垢は、自然に出てしまうので溜まらないとされる。ただし、クジラの仲間に限っては耳の構造上耳垢が出ることはなく、死ぬまで溜まり続け耳垢栓となる。この耳垢栓には年輪のような筋があり、クジラの年齢を推測することが出来る為、調査捕鯨などでは耳垢栓を回収するために、それを破壊しないように捕獲する必要がある。
脚注[ソースを編集][脚注の使い方]^ 江戸時代の『和漢三才図会』(東京美術)第12巻「支體部」内の項目では、和名を「美々久曾(みみくそ)」と記す。
^ 「こな耳」
^ 「べた耳」「猫耳」
^ 賀藤一示、鈴木恵子、福田公子、村井美代『図解入門 よくわかる最新ヒトの遺伝の基本と仕組み』秀和システム、95頁
^ 九州大学総合研究博物館(2000年)より。
^ 長崎新聞(2007年)より。
^ Yoshiura (2006) より。
^ Ono T, Jono N, Kuriya N: Tinea versicolor and earwax, 1981,Journal of Dermatology, 8, 75
^ 羽アリ、カナブン、ゴキブリ、ダニなど。

参考文献[ソースを編集]

九州大学総合研究博物館(編)「3-2. 身長・遺伝」『倭人の形成』〈3. 縄文人と弥生人〉2000年9月1日 更新、九州大学総合研究博物館。 

長崎新聞(編)「長崎西高が人類遺伝学会特別賞 耳あか遺伝子を研究」『長崎新聞WEB NEWS』2007年9月14日版、長崎新聞。 - リンク切れ(2009年12月13日時点)。

Yoshiura, K. et al.. ⇒“A SNP in the ABCC11 gene is the determinant of human earwax type”. Nature Genetics 38 (29 January 2006): 324 - 330. ⇒http://www.nature.com/ng/journal/v38/n3/abs/ng1733.html

石井正則東京厚生年金病院耳鼻咽喉科部長)「紙上診察室: Q. 耳に虫、掃除機で吸い込んだら不調に / A. 鼓膜に傷の可能性も。受診を」『東京新聞』〈暮らし / 健康〉2009年(平成21年)9月11日(金曜日)、11面。 

関連項目[ソースを編集].mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、耳垢に関連するカテゴリがあります。

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