建築構造物の耐震設計においては、一般に建物の供用期間中に数回起こる可能性のある中規模の地震に対しては大きな損傷はしない、建物の供用期間中に一度起こるか起こらないかの大地震に対しては居住者の生命を守る(倒壊しない)ことを目標としている。すなわち、大地震に対しては倒壊しない程度の損傷は許容しており、また損傷を受けても安定性を損なわないようにすることが求められる。そのため、橋梁などの土木構造物によくみられる一本柱のような構造は、柱の根元が損傷を受けた場合に即座に不安定構造になるため建築では用いられない。中地震(80から100gal) : 多少亀裂が生じても、使用上支障をきたさないように設計する(1次設計)。大地震(300から400gal) : 人命の安全を確保するため、崩壊、転倒を起こさないように設計する(2次設計)。
ただし、原子力発電所など極めて重要な建物に関しては一般的な構造物より高レベルの設計目標が課されている。 道路橋示方書X耐震設計編による耐震設計は、橋の場合その重要度に応じて必要とされる耐震性能を確保することを目標として行うこととなっているが、橋の重要度は道路種別
耐震設計
重要度が標準的な橋は、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対しては健全性を損なうことなく、また、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対して致命的な被害を防止することを目標としている。
特に重要度が高い橋は、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対しては健全性を損なうことなく、また橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対しては限定された損傷にとどめることを目標とする。ここで、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震動というのは、プレート境界型の大規模な地震を想定したタイプTの地震動および内陸直下型地震を想定したタイプUの地震動の2種類を考慮したものである。
具体的な耐震設計は、原則として「震度法」及び「地震時保有水平耐力法」という設計法によって行われる。
震度法によるものは、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対して、であり、許容応力度、許容支持力、許容変位、安全率、またはこれらの組み合わせによって耐震設計を行っている。地震時保有水平耐力法によるものは、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対してであり、地震時保有水平耐力および許容塑性率、残留変位、またはこれらの組み合わせによって耐震設計を行っている。
地震時の挙動が複雑な橋は、動的解析を行う。その結果を設計に反映させている。耐震設計にあたっては、地形・地質・地盤条件、立地条件などを考慮し、耐震性の高い構造形式を選定すると同時に、個々の上下部構造の設計に対してのみならず、支承部や落橋防止システムも含めて、橋全体系が耐震性を有するように配慮しなければならない。 出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2021年7月)
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 主要な構造体そのものの強度や靭性を向上させるなどがある。
^ なお、マグニチュードは震害に直接関係がない。大地(1984) p.20
参考文献.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}
大崎順彦『地震と建築』岩波書店〈岩波新書〉、1983年。
大地羊三『耐震計算法入門 付・マイコンによる計算プログラム』鹿島出版会、1984年。
武藤清『耐震計算法』丸善〈耐震設計シリーズ〉、1963年。
武藤 清『構造物の動的設計』丸善〈耐震設計シリーズ/応用編〉、1977年。
関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、耐震に関連するカテゴリがあります。
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