羽佐間道夫
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近年の個別収録の増加に対しては疑問を呈しており「共演者と言葉や間がかみ合わないため、感情の起伏が表現しにくい」「アンサンブルで後身を育てる場がなく、若手は台本通りを意識しすぎ、セリフに抑揚が少なくなる」と述べている[27]。また、個別収録の場合は収録音声を再現する音響監督の手腕も大切だとしている。

日本語について「母音が強いから、セリフとセリフの空間の美しさみたいなものがあるんですよ」と語っている[24][26]。また、近年の若手声優に対して「子音を優先しているのかどうかわからないけど、だいぶ文化的に差が出来てきたかな。この日本語はこうしたらなっていうのも、現場の中から生まれる雰囲気があったけど、今はだんだん希薄になってきたんじゃないかなあって気がするんですよね」と語っている[24]

アニメによる声優ブームについては「後世の人が語る事」「悪いことではない」と前置きした上で、「犠牲的な側面があるとすれば、人間の言葉をパターン化してしまった」「数十人、数百人の若手が一時的に大変人気が出て活躍するけど、10年前の人が今残っているかというと、ごく限られた人しかいない。一人の俳優として存在していないんじゃないかという思いはある」と語り、「長く飽きられずに進化していくためには、個性を自分で発見していくと同時に、仕事仲間より家族に言われたことを頭に留めておくのも大事」と助言し、「俳優は自分の身体で演じるから年齢がいくとその年齢の役しかできなくなるが、声優は外国の人だったり、自分にはない体格の人、人ではない者にもなれる。鍛錬さえ勤しんでいれば何歳でも、いろんな人物に化けられるのが声優の魅力。声色を変えなくても、テンポやアクセント、登場人物の心拍数を掴めば、同じ声でもリズムを変えるだけで、流れが変わることを相手に表現できて、伝えられる。声優というのは、化けるというのは、奥が深いんだよね」と語っている[28]
エピソード

同世代の仲間からの愛称は「ミッキー」。2019年に小林清志と対談した際「俺のことをミッキーなんて言ってくれるのはもう殆どいない」と述べている[29]

矢島正明は吹き替えの名人として羽佐間の名前を挙げており「ダニー・ケイ(の吹き替え)なんて他の人にはできないでしょう」と語っている[30]

山の手空襲により、親戚7人が犠牲となった[4]

日本テレビの『スーパーテレビ情報最前線』の美空ひばり特集は彼自身がナレーションの他、プロデューサー・演出も担当している。日本テレビ系列の皇室関連のスペシャル番組でも知られる。

シルヴェスター・スタローンの吹き替えの際、スタローンをどう演じればいいか分からなかったため、とりあえず声のトーンだけは下げようと考えて、海に向かって大声で浄瑠璃を語り、喉を嗄らしてから収録を行った逸話がある[12]。またのちに、スタローンの吹き替えを正式に務めているささきいさおも羽佐間同様に、日本酒で喉を壊して独特の声を作り上げていることを語っている。スタローンの吹き替えつながりで、ささきのコンサートにゲスト出演もしており[31]、「これからはスタローンの吹き替えはいさおくんに任せる」と発言している。なお、羽佐間自身はスタローンと体型が全く異なることもあり「会ったところで全然違うと思って自信をなくす」という主旨の言葉で敢えて対面しないようにしており、対面する企画があったが固辞したという[32]。なお、後年のインタビューでは「もし自分が『ロッキー』をキャスティングし直せるなら、ゴーリー(郷里大輔)にスタローンをやらせたかった」とも語っている[33]

銀河英雄伝説』出演時、普段は吹替やナレーションが中心だったためアニメのアフレコに慣れていなかったが、共演した富山敬に色々教わったといい「僕の方が年上ですが、この作品では彼が僕の師匠でしたね」と述懐している[34]。富山とは共にスティーヴ・マーティンを持ち役にしており、彼の没後は『花嫁のパパ』のジョージ・バンクス役を続編で引き継いだ。

スペースボール』ではメル・ブルックス扮する大統領・スクルーブと賢者・ヨーグルトの二役を演じ分け、芸の幅を見せた。また、吹き替えの際には日本語の台詞に独特のアレンジを仕組むスタイルを見せており、広川太一郎と並んでファンからは熱い支持を受けている。

「役者の特質を生かしてやったらどうか」と羽佐間が提案したのがきっかけで、声優バンド・スラップスティックが結成され[35]、羽佐間はプロデューサーを務める。

2006年からは、かつての収録現場のように様々な世代の声優が交流し「始めたらノンストップで、誰かがトチっても周りが補いながら最後まで行くような、アンサンブルで俳優を育てる場」を作りたい思いから、若手声優らと往年の無声映画をライブで吹き替えるイベント『声優口演』を始め、企画、脚本、演出を手がけている[27]

思い出深い出演作品には、『5つの銅貨』の吹き替えを挙げている[26]

『世界一貧しい大統領』のホセ・ムヒカのボイスオーバーを担当した際、今まで一度も羽佐間の仕事を褒めた事がない妻から「うん、いいんじゃない」と評価されたという[36]
出演

太字はメインキャラクター。
吹き替え
担当俳優
アル・パチーノ


オーシャンズ13(ウィリー・バンク)※フジテレビ版

シー・オブ・ラブ(フランク・ケラー)※ソフト版、テレビ朝日版

Dearダニー 君へのうた(ダニー・コリンズ)

ディック・トレイシー(アルフォンス “ビッグ・ボーイ” キャプリス)

リチャードを探してリチャード3世

イアン・マッケラン


シェイクスピアの庭(サウサンプトン伯)

ホビットシリーズガンダルフ

ホビット 思いがけない冒険

ホビット 竜に奪われた王国

ホビット 決戦のゆくえ[37]


ウィリアム・ホールデン


月蒼くして(ドン・グレシャム)※東京12チャンネル版

パリで一緒に(リック)※フジテレビ版

ブラボー砦の脱出(ロウパー大尉)※NETテレビ版1

ロケット・パイロット(リンカーン・ボンド少佐)

ウディ・アレン


アニー・ホール(アルビー・シンガー)※TBS版(ソフト収録)

ウディ・アレン 映画と人生(ウディ・アレン)

タロットカード殺人事件(シド・ウォーターマン)

泥棒野郎(バージル)

エドワード・フォックス


遠すぎた橋(ホロックス中将)※日本テレビ版(DVD収録)

ナバロンの嵐(ミラー曹長)※テレビ東京版

ネバーセイ・ネバーアゲインM)※フジテレビ版(BD収録)

ジーン・ワイルダー


ウーマン・イン・レッド(テディ・ピアース)※テレビ朝日版

大陸横断超特急(ジョージ・コールドウェル)※テレビ朝日版

プロデューサーズ(レオ・ブルーム)※LD版

ヤング・フランケンシュタイン(フレデリック・フランケンシュタイン博士)※LD版(HDリマスター版DVD収録)

ジェームズ・ガーナー


地平線から来た男(ラティゴ)


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