義務教育
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教育を受ける権利」のみを規定する日本とフランスでは法制度類型を異にする[9]

フランスでは教育法典(フランス語版)において、以下と定められている(2019年9月現在)。

L.131-1条: 6歳以上16歳未満のフランス人及び外国人の男女両性の子どもに関して、教育は義務である。

L.132-1条; 幼稚園及び幼児学級において行う公教育、ならびにL.131-1条に定める義務教育の期間に行う公教育は、無償とする。中等教育を行う公立のリセ及びコレージュの生徒、ならびに中等段階の公立学校におけるグランゼコール準備学級および高等教育準備学級の生徒に関して、教育は無償とする。 ? フランス教育法典

義務教育の年限は10年である[7][11]

初等教育 - エコール・プリメール (5年間、小学校相当)

前期中等教育 - コレージュ(4年間、中学校相当)

後期中等教育 - リセなど(ただし義務教育として扱われるのは満16歳に達するまで[11]

フランスでは教育の無償の期間が12年間(義務教育10年+2年)とされている[7]。無償の内容は授業料の不徴収と教科書の貸与である[7]。ただし2019年9月以降義務教育が3歳からになるため、全国民の共通教育期間は3歳から16歳までの13年間になる[12]
ドイツ[13]詳細は「ドイツの教育」を参照

ドイツでは、子供には「教育を受ける権利」と「就学する義務」の両方が定められている[14]。また、児童・生徒及び保護者に既成の学校教育を拒否する権利は認められておらず、不登校が発覚した場合は、本人は登校を強制され、保護者も処罰される。これはナチス・ドイツヒトラー政権当時の1938年に制定された、現在も有効な条文である[15]

ドイツの義務教育の年限は6歳からの13年間である(複線型であり9年間・10年間・12年間の場合あり)[7]。ドイツは複線型教育システムであるが複雑で、早く学業を終えて職業生活に入ることを望む場合はハウプトシューレ、大学における高度な専門教育を希望する場合はギムナジウム、専門的な職業教育を希望する場合はレアルシューレへ進学する。また学校と企業によるデュアルシステムが発達しており、大学でも企業実習などの職業教育が組み込まれている[16]
ポーランド

ポーランドでは、15歳までの前期中等教育が義務教育である。
ノルウェー

ノルウェーでは、グレード10までの前期中等教育が義務教育である。
アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では1852年にマサチューセッツ州が初めて義務教育制度を立法化し、南北戦争後には各州に義務教育制度が広まった[17]

連邦国家のアメリカ合衆国における学校教育に関する各法令は各州の州法の管轄であり、各州が独自に義務教育年齢と無償教育年齢を定めている。主流は義務教育7歳から18歳、無償教育5歳から21歳である。多くの州が義務教育終了年齢を18歳に規定しているが、飛び級で12年生課程の終了や州の高校卒業相当学力認定試験などを18歳未満で取得した生徒は、保護者の同意書を提出して自主退学(あるいは大学などへ進学)出来る。約半数の州が義務教育開始年齢を5歳、6歳と規定しているが、これはアメリカ合衆国がK-12の一貫教育を基本としている為で、5歳で小学校に就学するという意味ではない(幼稚園の義務教育化)。

無償教育終了年齢の最長はテキサス州の26歳で最短はアラバマ州の17歳にオレゴン州・モンタナ州の19歳(残りの各州は20歳あるいは21歳までの無償教育が主流)無償教育開始年齢の最年少はフロリダ州・イリノイ州・ウイスコンシン州の4歳である(無料幼稚園年少組。無料だが義務ではない。)。全米リストは外部リンクを参照されたい。
メキシコ合衆国

メキシコでは、2013年の法改正により高校課程までの後期中等教育が義務教育である[18]
オーストラリア

教育制度は、就学全教育・初等・中等教育・高等教育の3段階に分かれる。州によって異なるが、初等教育が6年間または7年間、中等教育が6年または5年である。

義務教育期間は6歳から15歳まで(南オーストラリア州とタスマニア州は16歳まで)である。

連邦全体として教育目標を達成するためにナショナル・カリキュラムを作成(ナショナル・カリキュラムとは、必修科目として、英語・理科・数学・算数・英語以外の言語・美術・技術・社会と環境・保健体育の8科目を示しており、一元的な強制力はないが、連邦全体での教育内容の一貫性・整合性を図ることをその策定意図としていることだ)[19]
韓国

韓国の学校制度は、初等学校6年、中学校3年、高等学校3年という6・3・3制をとっており、義務教育は中学校までの9年間である。初等学校の入学は満6歳からである。しかし、早期入学(満5歳で入学し、満11歳で早期卒業)も認められている。

初等教育の場合、通学する学校は地方教育庁が決定し、それに基づいて地方自治団体(邑・面・洞)の長から就学児童の氏名、住民登録番号、入学する学校、入学期日などが明記された就学通知書が入学前年の12月に送られてくる。仮に私立中学に割り振られた場合でも、授業料は当該教育庁が負担する[20]
日本における義務教育「日本の教育」も参照

日本においては、子供を保護する日本国民(保護者)には法律の定めるところにより教育を受けさせる義務があると定められている(日本国憲法第26条第2項前段)。もっとも、すべての日本国民は、法律の定めるところにより教育を受ける権利も有している(第26条第1項)ので、「教育を受ける権利」「教育を受けさせる義務」の双方について法律で定めることが想定されており、これらの条件の整備などは、法律によって行われる。

すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。 ?  日本国憲法第26条第2項

この規定に基づく教育を「義務教育」と呼称している。そのため、保護者は、学齢期の人を小中学校に通学させるように取り計らう義務がある。これを就学義務(就学させる義務)という。
日本はあくまで「就学義務」であり、「教育義務」という定義ではないので、諸外国によく見られるホームスクーリングは義務教育の履行とはみなされない。

学校教育法の第38条に「市町村は、その区域内にある学齢児童を就学させる為に必要な小学校を設置しなければならない。」と定められており、これは第49条で中学校にも準用されている。そのため、市町村(東京都特別区を含む)はこれらの学校を設置する義務がある。これを学校設置義務という。

国は義務教育の対象者の就学を奨励しなければならない。例えば、義務教育国庫負担金制度により義務教育の授業料を無償としたり、貧困家庭には就学援助制度を適用したりするなど、該当者の就学をなるべく保障することになっている。これを就学保障義務という。

義務教育の対象となる学齢期の子女が教育を受ける機会が十分なものとなるよう、事業所はこれらの児童を一般の労働者として使用してはならない(労働基準法による)。これを避止義務という。

以上の4つの義務によって日本の義務教育が成り立っているとされる。ただし避止義務については載せていない解説書もある。

教育基本法学校教育法の規定によって、子供を保護する日本国民(保護者)の義務については、15歳までの最長9年間は教育段階に応じる一条校就学させなければならない[21]とされ、義務履行の督促を受けてもなお履行しない者は10万円以下の罰金に処する[22]とされている。しかし、督促について定めた学校教育法施行令第20条・第21条[23]の運用によっては、保護者に対して督促が行われず、保護者は処罰されない。保護者が催促を受けない具体例としては、保護者が子供が学校に就学できるよう充分な便宜を図った上にもかかわらず、子供自身が登校しない不登校の場合などである[9]。これについては、いじめ・校内暴力などの教育問題との関係もある。

ただし、保護者が就学させなければならない子で、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の教育委員会は、文部科学大臣の定めるところにより、保護者の義務を猶予又は免除することができる[24]
沿革

1871年明治4年)、文部省が設置された(大学ヲ廃シ文部省ヲ置ク。)。1872年(明治5年)、学制公布。しかし、学制から始まった義務教育推進運動は、当初は授業料徴収があったために中々効果を上げなかった。

1879年(明治12年)、教育令が公布され、翌1880年(明治13年)に改正された。


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