義務教育
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日本国憲法第26条2項、および教育基本法第5条[28]および学校教育法第6条[29]においては、義務教育は無償とすると定められている。判例[30]によれば、同条の無償とは授業料の無償を意味し、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものではないとする。また、判例では、授業料以外の義務教育に必要な費用については、保護者負担の軽減策を国がとることが望ましいが、立法政策の問題として解決すべき事柄で憲法の規定ではないとしている。なお、私立学校などでは授業料の徴収が学校教育法により認められており、この限りではない。

現在は、義務教育においては、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律により、学校で使用する教科書(教科用図書)については無償で給与されている。

なお、義務教育諸学校に在学している学齢超過者については正式な意味での義務教育を受けているとはいえないため、義務教育無償の原則に当てはまらないとの考え方もある。ただし、多くの夜間中学校においては授業料を徴収していないものと思われ、また、一般の公立中学校でも授業料は徴収していないケースが多いといわれる。同様に、外国人に対しても、公立学校では授業料は徴収しない扱いが通常である。

経済的に困窮している家庭を対象に就学援助制度がある。これは市町村が保護者に対し、学用品費や給食費を助成するものである。
不登校問題「不登校」を参照

現在、学齢期の児童生徒の長期欠席が増加している。義務教育という言葉の響きから、在学者の不登校を違法なものだと考える人もまだ多いが、上記のように日本では就学義務は保護者などの義務であり、当事者の義務ではないとされている(当事者にとっては教育を受ける権利である)。なお、フランスでは教育を受けることは子どもの義務とされる[31][9]

このため、児童生徒本人が自由意志で欠席を選択するのであれば本人・保護者とも罰則は課されないが、学齢期で日本国籍のある本人が学校(小・中学校)に行きたいと希望しているにもかかわらず、保護者が通学しないようにした場合(家事を強制したり、軟禁したり)は、就学義務違反となる。督促を受けても履行しないと、10万円以下の罰金が科される。

10万人を越えるという不登校問題のため、民間教育施設への通所も出席に算入できるようになり、さらに中学校卒業程度認定試験(中検)と大学入学資格検定(大検)を経れば大学に進学できるようになっているなど、就学義務制は緩和されており、就学に代わる家庭教育も可能になりつつある[9]

また、日本の小中学校は、在籍する生徒の大部分が義務教育生徒だが、非義務教育生徒(義務教育でない生徒。任意教育・希望教育の生徒)も一部いる。義務教育生徒と非義務教育生徒とでは、法律的な立場が異なっている。学齢超過者は無論のこと、学齢期の非日本国籍生徒に対しても、懲戒処分としての退学・停学や、本人希望による退学などが自由にできる。京都市では市立中学校に在学していた不登校韓国籍生徒(在日4世)について、校長が「在日外国人には就学義務はないので除籍できる」と述べ、本人に対する同意を経ずに退学届を受け付けて退学させたことが問題となり、訴訟となり[32]、結果33万円の賠償が命じられる判決が下った[33][34]



無認可校など

インターナショナル・スクール(国際学校)やナショナル・スクール外国人学校民族学校など)をはじめとする各種学校無認可校に子女を通わせる保護者(日本人)は義務教育を履行していないと教育委員会から通告を受ける場合がある。
年限延長問題

日本は義務教育制度がほぼ完成している国家であるが、学齢超過の義務教育未修了者が存在しており、2020年の国勢調査で最終学歴を「小卒」と回答した人数は約80万人で、約74万人は第二次世界大戦直後の混乱により学齢期に就学できなかった高齢者であるが、50代以下も2万人ほど存在する[35]。これらの人の行ける小中学校としては、夜間中学校中学校通信教育が整備されているが、学校数が少ないこともあって非常に門戸が狭く、あまり効果を上げていない。また、小学校や、朝昼に授業を行う一般の中学校には入学を拒否される場合がほとんどである。

日本の義務教育期間はあくまで年齢主義であり、学齢を過ぎたらもはや義務教育の対象とはされない。そうしたことも一因で、学齢超過者が小中学校に入学することが困難となっている。そのため、上記のような戦争による未就学者や、近年増加している不登校者が小中学校への入学を希望しても、一度学齢を超過すると入学できない場合が多いことが問題となっている。

義務教育の年限延長は、明治時代から強く主張されており、社会の環境が整うにつれ徐々に延長されてきた経緯がある。当初修業年限が4年間だった尋常小学校は、1907年(明治40年)には6年制となり、その後制度上は国民学校の8年制化によって義務教育年限は8年間となったが、第二次世界大戦の戦局の激化により実施はされず、戦後の学制改革によって義務教育は9年間となった。このように、当初は国家の経済力が弱かったこともあり、義務教育年限は短かったが、経済力の強化と、国家総力戦のための軍部による国民練成の要求により、延長がなされた形である。

現代では、高校進学率が非常に高く、また、幼稚園・保育園入園率も高いため、義務教育年限を延長し、それらの教育機関を義務教育対象機関にすることを求める意見がある。自民党は義務教育年齢を下方延長して幼稚園などを義務教育対象に組み入れることを主張していたが、逆に上方延長により高校などを義務教育諸学校とする意見も出ている。
「義務教育」という用語への批判

「義務教育」という用語が、強制的な印象を持たせるため、長期欠席生徒に対するプレッシャーになる場合があり、また法制度に疎い人の誤解を招く場合も多く、より適切な用語にすべきだとの意見がある[4]

また、児童手当法の附則には、施行直後の暫定措置のための条文に、学齢期を過ぎた後も中学校や中学部に在籍していれば義務教育に含めるとする部分があるが、このように法律同士が語句の用法において齟齬をきたしている場合もある[36]
韓国.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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韓国では、初等教育小学校6年間)から前期中等教育(3年間)までの合計9年間が義務教育である。また、小中高学校の就学時年齢は、日本の小中高学校と同等である。[1]
台湾

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1968年に9年国民義務教育 (前期中等教育)を延長し、2014年から12年国民基本教育(略称:12年国教)を実施した。また、初等教育国民小学6年間)から前期中等教育国民中学3年間)までが義務教育である。就学時年齢は、日本の小中学校と同等である。
香港

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香港では前期中等教育までが義務教育である。
中国大陸

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中国大陸では「9年義務教育」までが義務教育である,その中で、小学校6年と中学校3年。授業料は無償である[37]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 4年制の尋常小学校の場合、第3学年修了で義務教育終了とみなされたかどうかは不明である。
^ 明治時代から大正昭和時代前期における義務教育の範囲は実質的に初等教育尋常小学校から後に学校種を国民学校に改組)のみであった。


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