アメリカには1校だけ州立の独立した美術大学があり、それはマサチューセッツ美術大学である。アメリカで最初にできた美術大学は、ペンシルベニア美術アカデミーである。
ニューヨーク市にあるクーパー・ユニオンは、最も入学競争率の高い美術大学の一つであり、応募者の4%しか入学を許可されない。なお、入学者にはもれなく、学費を全額カバーする奨学金が与えられる。イェール大学のイェール・スクール・オブ・アートは、2年間の美術修士課程のみを提供している。『イェール・デイリー・ニュース』紙が2007年2月1日に報じるところによると、2009年からの入学を希望する1,215人の応募者のうち、入学許可がおりたのは55人だけだったという。
美術大学として次に規模が大きいグループとしては、総合大学の中の一つの学科(デパートメント)、学校(スクール)、もしくはカレッジとして付設している学校がある。例えばアイオワ州立大学のデザイン学部(カレッジ)に見られるように、このタイプの典型的な美術大学では、美術実技、グラフィックデザイン、写真、建築、ランドスケープアーキテクチュア、インテリアデザイン、インテリア建築のコースがあり、ファインアート、デザイン、建築史のコースと並んで教えられている。場合によっては、ファインアート、建築、デザインの学校(スクール)であることもあり、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のファインアート・応用美術学部(カレッジ)やイェール・スクール・オブ・アートはその例である。3,000人以上の学生を抱えるバージニアコモンウェルス大学VCU美術学部は、アメリカ国内最大級の美術大学の一つであり、公立大学の中では各種ランキングで最も高く評価されている[3][4][5]。規模の大きな美術大学には色々な種類があるが、共通の要素としては、リベラルアーツ科目が多く、実技の授業が少ない傾向にあるということだ。これが美術に特化した単科大学と比較した時の違いである。
最後に、最も一般的なタイプの美術大学として挙げられるのは、州立もしくは私立の単科大学として運営されている学校である。典型的には学士号プログラムを持っているが、美術学士号、修士号、あるいは美術修士号を授与するものもある。この種のプログラムは、美術における一般的な学位を発行する点を強調しており、一つの特定の専門科目を選ぶことは要求せず、代わりにコンセントレーションを提供する。一部の認証機関・専門機関は、コンセントレーションを学位として受け付けないことがあり、専門家としての成功をもたらすための適切な準備要件としては認められないことがある。例えば、グラフィックデザイン領域で最低限求められる学位はグラフィックデザインの美術学士号であることが多く、グラフィックデザインのコンセントレーションは通用しない。
学位を授与するアメリカの美術大学の多くでは、古典的な写実主義や、アカデミックな絵画・デッサンの技法については集中した訓練を行っていない。ライムアカデミー美術大学はこの教育モデルを大学に取り入れた事例と考えられる。このギャップは、アトリエ型美術大学(アーティストのスタジオの中に設置された大学)や、次に挙げる大学によって埋められている。ニューヨーク美術アカデミー、ナショナル・アカデミー・ミュージアム・アンド・スクール、ニューヨーク・スタジオ・スクール、ペンシルベニア美術アカデミー(1805年創立)、アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨーク(1875年創立)、アカデミー・オブ・クラシカル・デザイン。
イギリスロイヤル・カレッジ・オブ・アート
おそらく、「美術大学」の定義に最もよくあてはまるのは、継続教育・高等教育を提供している自律的大学群になるだろう。それらは、全英美術大学協会に加盟しており、全部で約18校ある。その他には、より大きな、特定の専門を持たない大学に付随している大学もある(例えばスレード美術大学)。どちらの種類にしても、ほとんどの美術大学は16歳以降の課程と大学院レベルのどちらの教育機会も提供している。
大学の種類は、継続教育に特化したものから、研究主体の専門機関まで多岐にわたる。例えばロンドン芸術大学(University of the Arts London)は連邦的な構造をとった組織であり、ロンドンにある6校の独立した大学から構成されている。その他にも同様の大学として、スレード美術大学、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジがあり、どれも学部もしくは大学院課程を一つの大学の傘下のもとで提供している。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのみ、単独の大学院大学であるという点で、例外的な存在である。
ロンドン以外の美術大学としては、次に挙げる大学がある。
アカデミー・オブ・リアリスト・アートUK
エディンバラ美術大学
ヘレフォード美術大学
ダンカン・オブ・ジョルダンストーン美術大学
グラスゴー美術大学
グレイズ美術大学
マレー美術大学(ハイランド・アンド・アイランド大学)
バーミンガム美術大学
コベントリー美術大学
ノリッチ美術大学
ファルマス美術大学
プリマス美術大学
ラフバラー美術大学
1970年代以降、ディプロマに代わって学位(degree)が美術高等教育における一流の資格となった。
完全に自律的な美術大学の場合、学位認定の際は一般大学と同様に、学士号(Bachelor of Arts (Hons))かそれ以上の学位を授与するのが長い慣習となっている。最近では、総合大学が視覚芸術のプログラムを設けたり、独立した美術大学がポリテクニックや一般大学と合併して美術の学位機関となる、という傾向がある。顕著な例外としては、シティ・アンド・ギルド・ロンドン美術学校があり、独立した美術大学としてファインアートならびに彫刻や保存修復などの関連分野のみに特化した学校である。いくつかの学校は自力で大学の地位を得たが、先に言及したロイヤル・カレッジ・オブ・アートとロンドン芸術大学がその例である。
イギリスにあるほとんどの専門研究機関は、その起源を19世紀かそれ以前にまで辿ることができる。もともとは政府主導で創立されていることが一般的である。
2011年4月に『モダン・ペインターズ』(雑誌)は美術業界のプロたちを対象に調査を行い、イギリスの美術大学トップ10を発表した。結果は次のとおりである[6]。 1位:ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、2位:ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ、3位:シティ&ギルド・ロンドン美術学校、4位:スレード美術大学、5位:ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ、6位:グラスゴー美術大学、7位:セントラル・セント・マーチンズ(ロンドン芸術大学)、8位:キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン芸術大学)、9位:エディンバラ美術大学、10位:チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン芸術大学)。
オーストラリア
メルボルン大学ビクトリアン美術学部・メルボルン音楽学部(VCA・MCM学部)