練馬三億円事件
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東京高等裁判所控訴したが[報道 11]、同年11月1日付で取り下げ、死刑が確定した[報道 12]

その後小田島(死亡時の姓:畠山)は、2017年(平成29年)9月16日午後10時半頃、死刑囚として収監されていた東京拘置所内で、74歳で病死した[報道 5]。詳細は「マブチモーター社長宅殺人放火事件」を参照
事件の概要

犯人のうち1人は1990年(平成2年)6月2日午前11時頃[報道 1][報道 2]埼玉県新座市内にあった、建設会社「内野工務店」(本社:東京都練馬区)新座営業所に[報道 1]練馬区役所の職員を名乗り「区役所の者だ。仕事の話がしたい」と名乗り、電話をかけた。同社社長の兄(当時65歳、同社常務)が応対し、「私の方から伺います」というと、その男は「こちらから行く」と電話を切った[報道 1]。内野工務店は、東京周辺を中心にビルなどの建設を行い、当時資本金1億8000万円、従業員145人を抱え、平成元年3月期決算で、128億円の売上高を計上していた中堅会社だった[報道 1]

そして、営業所の職員が帰った後、同日午後8時頃になって、X・小田島両名はともに、「区長[注釈 1]は遅れる」と言い、営業所に押し掛けた[報道 1]。所内は、常務が1人いるだけだと確かめると、事務所で居合わせていた常務を「5億円を準備しろ。お前らの会社を潰さなければ、別の会社が伸びない」「お前らはうそつきだ」「会社のことはかなり前から調べてある」「社長とお前を殺してやる」と、拳銃をちらつかせて脅した[報道 1]。常務は「ここにはない。社長(弟)の自宅に行こう」などと答えると、2人はそのまま、常務に「交通事故を起こしたのでこれから行く」と、社長宅に予告の電話をかけさせ、常務の乗用車で、社長宅まで常務を拉致した[報道 1]

2人はその後、約15km離れた東京都練馬区早宮3丁目(西武池袋線練馬駅から北へ約2km)の、同社社長(常務の弟)宅へ、常務を連行し、同日午後11時頃、室内に押し入った[報道 1]。2人は、拳銃のような物と刃物を用い、社長とその妻、常務、社長の三女・社長の娘婿でその夫、三女夫婦の長男、次男の、計7人を脅した[報道 1]。社長は、普段は妻と2人暮らしだったが[報道 13]、2日夜は三女一家が遊びに来て[報道 1][報道 13]、三女夫婦の次男の満1歳の誕生日を祝う会が開かれており[報道 14]、その際に被害に遭った[報道 1]。先述の電話を受け、社長一家は、常務が家に来るのを待っていたところだった[報道 1]。2人はそのまま、手にした拳銃のようなものを、家族の前に「本物だ」と突き出し、「金を取るか、命を取るか」と、執拗な脅迫を始めた[報道 14]。そして、子供2人を除く5人を、それぞれ手足を粘着テープで縛り上げ、猿轡、目隠しをした状態で、5人を居間、応接間など3か所に、約38時間にわたって監禁した[報道 1]。このうち、娘婿は事件当時現場にいなかったため、事件の発生を知らず、3日夕方に妻子を迎えに、義父の社長宅に行った際、事件に巻き込まれた[報道 13]。娘婿が訪れた時、社長が犯人に「この人は関係ない」と庇ったところ、2人組は、社長を蹴るなどの暴行を加えた[報道 13]

3日夜になり、改めて2人は5億円を要求したが[報道 13]、社長が「家族に危害を加えないで欲しい」と、2億円を提示したところ、犯人側は要求額を下げ[報道 13]、「調達できる最大限の現金」として[報道 1]、改めて3億円を要求し、その上で「(要求を)のまなければ全員殺す」などと脅した[報道 13]。2人は、社長に金を用意するように強要したが、同日は日曜日だったため、金が用意できなかった[報道 1]。そのため、銀行の営業する6月4日(月曜日)朝、同本社に出勤した社員に指示し、銀行数行で計3億円を払い戻させ、同日正午頃に自宅に届けさせた[報道 1]。監禁中の3日午前10時ごろ、社長宅に回覧板を届けに来た近隣住民がいたが、その日の様子について「普段は奥さんが出てくるのに、誰も出てこないので変だと思った」という[報道 1]。4日午前9時前、社長から電話を受け、銀行から現金7000万円を下ろすよう指示された経理部員も、この時社長が監禁されていたとは気付かなかったという[報道 1]。2人は、社員が金を持ってくると、社員に事件のことを気づかれないよう、社長の粘着テープを外し、玄関先に1人で立たせて応対させた[報道 1]。そして、2人は現金3億円を受け取ると、その直後の午後零時40分頃、強奪した現金3億円を持って、娘婿の白い日産・スカイライン(1985年型)を奪い、スカイラインに乗って逃走した[報道 1]。このスカイラインに酷似した乗用車が、同日午後6時半ごろ、埼玉県大宮市内で目撃されていたが、スカイラインはその後、社長宅から約750m離れた、同区早宮1丁目の民間駐車場に、乗り捨ててあるのが見つかった[報道 1]。常務の乗用車も4日、社長宅付近で見つかったが、奪われた3億円の入った紙袋・バッグは、5日までの捜索では見つからなかった[報道 1]
捜査

社長一家・常務に怪我はなく、2人が逃走した直後から、自力でテープをはがし、午後2時過ぎにようやく自由になった[報道 1]。しかし、長時間の監禁中食事も摂らせてもらえず、同日午後2時30分頃、警視庁練馬警察署に「家族ら7人が、2人組の男に、約1日半自宅に監禁され、現金3億円を奪われた」と、被害届を出したが、その際にはかなり憔悴していた[報道 1]。同署は4日夜、警視庁捜査一課の応援を得て、捜査本部を設置し、多額強盗事件とみて、強盗逮捕・監禁容疑で、逃走した2人組の行方を追うとともに、関係者の事情聴取など、本格的な捜査を開始した[報道 1]。被害者の社長は、小さな建築会社を一代で成長させ、区内でも一番と言われる工務店を築き上げた資産家で、その妻も含めて人当たりは良く、親交が深かった東京都議会議員も「生真面目でしっかりした人。仕事も順調に行っていたようで、人から恨みを買うようなこともない」と、驚いた様子で語っていた[報道 1]

捜査本部は、第一現場の新座営業所・第二現場の社長宅など、社長一家の事情について、2人組が熟知していたこと、また常務に対し「お前ら(常務・社長兄弟)の会社を潰す」と、内野工務店のことについて触れて脅していることなどから、数億円の現金を即時に用意できる預金など、資金源があることを知った上で、要求を突き付けた計画的犯行とみて、内野工務店に恨みを持つ者の犯行との見方を強めて捜査した[報道 1]。捜査本部はその線で社長らから事情を聴いたが、社長らは「犯人たちの身体的特徴、声の特徴などに覚えはない」と答えた[報道 1]


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