線形_(路線)
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曲線部に与える傾き.mw-parser-output .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .trow>.thumbcaption{text-align:center}}道路の曲線区間における遠心力と片勾配。
上 - 片勾配なし
下 - 片勾配あり

平面線形で前述したとおり、曲線部を走行する車両には、曲線の外側へ押し出そうとする遠心力が作用する。過大な遠心力は、乗り心地を阻害し、安定した走行に悪影響を与える。

そこで、曲線部の内側を下げる、あるいは曲線部の外側を上げるなどにより、車両に遠心力と反対方向の傾きを与えることで、車両の曲線部の走行を快適・円滑にすることが行われる。道路においては、路面全体を曲線の内側に傾けることから、これを片勾配(かたこうばい)やバンク (bank) と呼ぶ。片勾配は、縦断勾配と同様に百分率(パーセント)で表す。一方、鉄道においては、曲線の内側と外側のレールに高低差を付けることで、同様の効果が得られる。これをカント (cant) と呼び、レールの高低差(日本ではミリメートル)をもって示す。
効果

片勾配およびカントの役割は、以下のとおりである。
遠心力による力を低減する働き
車両に遠心力が作用すると、自動車ではタイヤと路面の間に横滑りを起こそうとする力が作用し、鉄道車両においては車輪がレールを押す横圧が作用する。これらが過大となると、自動車は横滑りを始め、鉄道車両は車輪がレールを乗り越え脱線を起こす可能性がある。これに対し、片勾配やカントは、その傾きにより遠心力と逆向きの力を与え、これらの影響を低減する働きがある。
転倒・転覆を抑制する働き
遠心力は車両の重心に作用する。したがって、重心の高い車両では遠心力により、外側へ転倒・転覆しようとする回転力(モーメント)が作用する。これに対し、片勾配やカントは、車両の重心の位置を曲線部内側に移動する効果を持ち、逆向きのモーメントを与える。これにより、転倒・転覆の回転力を低減する効果を持つ。
乗り心地を改善する働き
遠心力は車両のみならず、車両内の搭乗者・乗客等にも作用する。過大な遠心力は乗り心地にも影響を与えるが、適切な片勾配やカントは乗り心地も改善する。たとえば、遠心力と片勾配・カントによる回転力が一致した場合、車内の人間は遠心力を感じない。注意していれば垂直方向加速度の変化(感じる重力の変化)に気がつく可能性はあるが、水平方向に加速度を受けるよりは乗り心地への影響は遙かに小さい。
水勾配(道路)

片勾配やカントは遠心力の作用する曲線部に設けるのが基本であり、曲率が 0 の直線区間では、理論上設ける必要はない。しかしながら、道路において路面の勾配を水平にしておくと、雨天時に路面に水がたまりやすく排水性もよくないことから、直線区間においても水が流れる程度の勾配(1.5パーセントから2パーセント程度)を設けている。

また(左側通行において)、二輪車のタイヤ右側が減りがちになるのは、この水勾配によるものである。
合成勾配(道路)

縦断勾配と片勾配(横断勾配)を合成した勾配を合成勾配と言い、路面の最急勾配となる。道路の縦断勾配のある区間で平面曲線がある場合、合成勾配が生じる。ここで自動車は勾配抵抗と曲線抵抗を同時に受け、通常より抵抗が大きくなる。特に急勾配で曲線半径が小さい場合は、運転上危険が生じやすい。

その大きさは、

S = i 2 + j 2 {\displaystyle S={\sqrt {i^{2}+j^{2}}}}

ここに、

S : 合成勾配 (%)

i : 片勾配 (%)

j : 縦断勾配 (%)

で得られる。
その他

測点の表し方記述例距離
(起点から)用途
No.22 + 2.0442.0 m道路
STA.5 + 12.0512.0 m高速道路
12k57312,573 m鉄道
日本道路公団が設置した第二名神高速道路(当時)の測点

その他、線形に関する用語を概説する。
拡幅要素
道路の曲線区間において、内輪差の影響を吸収したり、視距を確保するために、曲線部の内側を広げる線形要素。
スラック
鉄道の曲線区間において、曲線部内側のレールをわずかに移動してレールの間隔を広げることにより、鉄道車両の曲線走行を円滑にする線形要素。
測点とキロ程
起点から終点に向かい、路線に沿って設けられる距離を示したもの。
測点
道路で設けられる。日本においては、20メートルごとにNo.(ナンバー)を順に振っていくほか、高速道路では100メートルごとのSta.(ステーション)が用いられることもある。測点以外の位置を示す場合は、手前の測点からの距離をメートル単位で付加し、測点 + ○○の形で示す。
キロ程
鉄道で起点からの距離をキロメートル単位で示したもの。距離の後にkを付加して示し、キロメートル以下の端数がある場合は、kの後にメートル単位の数字を付加して示す。一方、ヤード・ポンドの単位系が用いられる国では「マイル程」が使われ、日本においてもメートル法移行以前はマイル程によっていた。
脚注[脚注の使い方]^カントの逓減 - 保線ウィキ(2015年8月11日 (火) 09:54版)2018年8月28日閲覧
^ a b 「鉄道工学」pp.51-52
^Highway Curves and Test Track Design 米国科学アカデミー K. A. Stonex、William A. McConnell 1957年
^ 「鉄道工学」p.54

参考文献.mw-parser-output .refbegin{margin-bottom:0.5em}.mw-parser-output .refbegin-hanging-indents>ul{margin-left:0}.mw-parser-output .refbegin-hanging-indents>ul>li{margin-left:0;padding-left:3.2em;text-indent:-3.2em}.mw-parser-output .refbegin-hanging-indents ul,.mw-parser-output .refbegin-hanging-indents ul li{list-style:none}@media(max-width:720px){.mw-parser-output .refbegin-hanging-indents>ul>li{padding-left:1.6em;text-indent:-1.6em}}.mw-parser-output .refbegin-100{font-size:100%}.mw-parser-output .refbegin-columns{margin-top:0.3em}.mw-parser-output .refbegin-columns ul{margin-top:0}.mw-parser-output .refbegin-columns li{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}

日本道路協会 編『道路構造令の解説と運用』(改訂版)、2004年2月。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}
ISBN 978-4-88950122-3


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