緑化
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

日本では1950年に国土緑化推進委員会が設置され、国土緑化大会が開催された[1]。日本では、道路の周辺、のり面などがよくその対象となった。また牧畜国では、放牧により失われた森林の緑化が課題となる事もある。

緑化には地球温暖化や他の生物を含む生態系への影響があり、それも目的に含まれる事もある。
問題点

緑化が自然保護を目的とする場合でさえも、かえって悪影響をもたらす場合があり、無視できない。たとえば街路樹を植えることも快適さなどの点において、環境の改善になっているかというと、複雑である。単純に考えるよりも困難・問題点も多い。砂漠緑化街路樹屋上緑化の項も参考。

また砂漠緑化などは困難であるが、実際にそれができたとしても、その最終的な影響は予想が困難であり、全く意図しない影響をもたらす可能性もある。極端な例としては、サハラ砂漠が完全に緑化されたら、シロッコとして南欧に運ばれる熱がなくなり、ヨーロッパは寒冷化すると思われる。そもそも砂漠も自然環境の一部であり、独自の生態系やバランスが存在し、地球上のあるべき場所には存在していて当然のものである。それを安易に緑化する事は人間の手による環境破壊にほかならない。

特に初期には、とにかくすぐに緑になればよいと、成長の早い国外の植物が安易に使われる例が多く、帰化植物侵入の重大な経路の一つともなっていた。これに関しては、1990年代頃より、国内の植物を利用する例も増えた。たとえばハギなどは道路の法面に盛んに用いられるようになった。しかし、この場合も、外来種の意図しない紛れ込みが確認されている[2][3]。国内の植物を植える場合でさえ、その地域本来の植生と異なる植樹がされることがある。

また、植物種自体はその地域に自生するものであっても、地域による変異は、これまでほぼ無視されてきた。植樹に使う種子や苗を、他の地域や、あるいは道路工事などでは中国朝鮮半島などから運び入れることで、植えられたもののその土地にあまり適応できず、枯れる、成育が悪いなど、効率が悪いことがある。また交雑によって本来の遺伝子プールが損われる遺伝子移入は、取り返しがつかない[4]。たとえ種子や苗が近隣から採取されたとしても、少数の株に由来する場合は、将来的にはその株の子孫が増えすぎることで、やはり遺伝子プールの豊かさを損なうことになる。

アメリカでは、20世紀前半、クズ(葛)が土壌浸食を防ぐカバープラントとして政府によって奨励されたなどの経緯で導入された。ところが余りに広く繁殖、拡散したため、侵略的外来種として大変有害となっている。

ロシアでは、第二次世界大戦後にポプラ(露:トーポリ)が緑化の為に大量に植えられた。しかし、綿毛が大量に飛散するため、ゴミとして、またアレルギーの原因になるなどの害が出ている。

極端な例では、とにかく緑になればよいとして、緑色の塗料を吹き付けた例[5]があった。
各国・地域における緑化
日本

「道路緑化」「工場緑化」「学校緑化」などと、対象施設と結びつけて呼ぶこともある。また,世界的に進む砂漠化をとどめるための緑化運動も行われている。

都市緑地法の規定に基づき用途地域が定められている都市計画区域内で、緑化の推進の必要があるとして、都市計画に敷地面積に対する緑地の割合(緑化率という)の最低限度を定めた地域を「緑化地域」とよんでいる。

住民参加の一形態として、啓蒙的な役割から一定の広がりのある地域に樹木や草花を育成管理することを、店舗者同士または居住者と公共用地管理者が合意する協定を「緑化協定」という。

公共団体が作成する緑の基本計画再開発計画などのなかで、緑化、植栽の全体計画を策定したり、工場学校住宅地などの緑化、植栽計画は「緑化計画」と呼ばれる。上記はマクロな場合で、ミクロでは工場,学校,住宅地などの緑化,植栽計画を指す。

一定の広がりのある地域で,樹木や草花を育成管理することを,店舗者同士または居住者と公共用地管理者が合意する緑化協定なども取り組まれている。これは住民参加の一形態であり住民に対する啓蒙的な役割もある。

都市緑地法の規定に基づき用途地域が定められている都市計画区域内で,緑化の推進の必要があるとして,都市計画に,敷地面積に対する緑地の割合(緑化率という)の最低限度を定めた地域を緑化地域としている。

公共事業として、全国植樹祭全国都市緑化フェアがある。

第二次世界大戦時に、陣地を掘り下げる際に出た土砂を隠すために、沖縄県小笠原諸島ギンネムが植えられたことがある。
インド

インド東部のビハール州にある小都市バブア(英語版)では、2014年1月に「インド初の緑化都市(世界初とも[6])」を宣言。建物の外観を緑色に統一して市民の意識を高める動きから始まり、道路沿いの植え込みや市民公園における緑化対策にも着手。さらに集配ゴミの一括処理やポイ捨て禁止へも波及している[7]
ヨーロッパ

ヨーロッパでは歴史的に森林の大部分が失われた。EUは1990年から、農家に緑化に補助金を交付している。これは農地を森林に戻す事、森林の維持に対してである。これにより、1993年から1997年にかけて、5000km2以上が緑化された。この計画は第2期が2000年から2006年にも行われ、第3期は2007年に始まった。

ポーランドでは、第二次世界大戦後に森林面積(森林率)は国土の20%まで低下し、植林が政府により計画された。2006年12月31日の時点では29%となった。2050年までに33%とする計画である。

スペインは、1990年から2005年にかけて、率の上ではヨーロッパで最も速く植林がなされた[8]。この期間に4万km2以上が植林され、森林面積は13万5000km2から17万9000km2となった。国土の面積に占める率は26.6%から35.4%となった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:35 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef