非抱合型ビリルビンによる新生児の高ビリルビン血症は、脳の特定の領域にビリルビンが蓄積することによって起きるが、この疾病は核黄疸(kernicterus)と呼ばれており、様々な神経障害、発作、異常反射、異常眼球運動という回復不能な障害を引き起こす。新生児では血液脳関門が充分に発達しておらず、ビリルビンが脳間質に自由に移動できるため新生児高ビリルビン血症の神経毒性が発現するが、ある程度成長すると血中のビリルビンの濃度増加に対して抵抗力を持つようになる。特定の慢性疾患の状況下での発生はさておき、新生児は抱合型ビリルビンを腸内に排泄して解毒する腸内細菌を欠いているため(大人に比べて新生児の大便の色が薄い大きな理由でもある)、新生児では一般的に高ビリルビン血症のリスクが高い状況にある。抱合型ビリルビンはβ-グルクロニダーゼ酵素により非抱合型ビルビリンに分解されるが、その大部分は腸肝循環によって再吸収される。
上記のような毒性を有する一方で、適正なレベルのビリルビンには、活性酸素やフリーラジカルによる酸化ストレスから細胞を保護しているという可能性が指摘されている[3]。 血液検査ではビリルビン全体の量(直接ビリルビンと間接ビリルビンの合計)を総ビリルビン (total bilirubin, T-Bil) という。 水溶性の抱合型ビリルビンを直接ビリルビン(direct bilirubin, D-Bil, 直ビ)という。総ビリルビンのうち、水溶性の抱合型ビリルビンはグルクロン酸抱合でできるジアゾ基によって直接測定できる。 脂溶性の非抱合型ビリルビンを間接ビリルビン(indirect bilirubin, I-Bil, 間ビ)という。検査では可溶化を要する。 通常はT-Bilと直接ビリルビンのみを測定し、間接ビリルビンはT-Bilから直接ビリルビンを差し引いて算出する。血中のT-Bil濃度が高い病態を高ビリルビン血症、血中の直接ビリルビン濃度が高い病態を高直接ビリルビン血症、血中の間接ビリルビン濃度が高い病態を高間接ビリルビン血症という。正常値は概ね、T-Bilが1mg/dL以下、直接ビリルビンが0.2mg/dL以下、間接ビリルビンが0.8mg/dL以下。 検査法による名称略称抱合の有無による名称極性毒性正常値 (mg/dL) なお、英語版Wikipedia 血中濃度単位μmol/Lmg/dL
血液検査
総ビリルビン
直接ビリルビン
間接ビリルビン
測定と算出
総ビリルビンT-Bil?1
間接ビリルビン間ビ非抱合型脂溶性あり?0.8
直接ビリルビン直ビ抱合型水溶性なし?0.2
総ビリルビン5.1?17.0[5]0.2-1.9,[6] 0.3?1.0,[5] 0.1-1.2[7]
直接ビリルビン1.0?5.1[5]0-0.3,[6] 0.1?0.3,[5] 0.1-0.4[7]
出典^ Cary Pirone,J. Martin E. Quirke, Horacio A. Priestap, and David W. Lee (2009). “Animal Pigment Bilirubin Discovered in Plants”
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