絶対音感
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絶対音感に対応する英語のabsolute pitchということばはどちらかというと学術的な用語であるが,英語圏ではその同義語としてperfect pitchということばが広く用いられていて, こちらの方が一般の人々にはよく知られている。 絶対音感が完ぺきな素晴らしい音感として理解されている。日本では 完ぺき音感という同義語はないが,絶対音感の「絶対が,絶対的に(ほかに 比べるものがないほどに) 素晴らしいという意味で受け取られることが多く, 一般に理解されている絶対音感と英語のperfect pitchの意味はほぼ重なる。 しかし学術用語としての絶対音感の絶対( absolute) は, 他と比較することなしにという操作的な意味を表しているだけであり, 特別に素晴らしいとか 完ぺきなとかいう価値的な意味は含んでいない。
日本における西洋音楽演奏者と絶対音感

日本において、絶対音感の強い者の多くは、固定ド唱法(調にかかわらず「ド」をCまたはC#、C♭に固定して歌う音名唱法。調の主音を「ド」とする(長調の場合)のが移動ド唱法である)で旋律を捉えることが多い。ただし、絶対音感保有者の中でも得手不得手の音高、音域、楽器の種類など様々なタイプが存在する。
日本での受容

1933年(昭和8年)、園田清秀ピアノで小児への早期教育を実施。1939年(昭和14年)頃、ピアニスト笈田光吉の呼びかけに軍人が全国民が飛行機など機械音に敏感になるため普及活動を展開。一部の音楽家は反対するも大日本帝国海軍対潜水艦戦教育、大日本帝国陸軍防空教育で採用されたが、1944年(昭和19年)には中止されたという。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ピアノ調律師のフランツ・モアは『ピアノの巨匠たちとともに』(音楽之友社2002年)の中で、1Hzレベルで音を言い当てると豪語する音楽家に数多く出会ったが、真にそれを言い当てた人は一人もいなかったとして、オーマンディホロヴィッツがピッチを取り違えたエピソードを紹介している。
^ 江口寿子・江口彩子『新・絶対音感プログラム』(全音楽譜出版社、2001年)では、ピアノの全音域をランダムに鳴らしたとき90%以上で音名を当てる能力のある人を絶対音感保持者としている。また、新潟大学の宮崎謙一「絶対音感保有者の音楽的音高認知過程」『1997年度?1998年度文部省科学研究費補助金(基礎研究C)研究成果報告書』(1999年)によれば、ピアノの音階を90%以上の確率で当てられる人は、日本の音大生で30%、ポーランドの音大生で11%であるという。

出典^ Bachem, A. (1937). “Various types of absolute pitch”. The Journal of the Acoustical Society of America 9 (2): 146?151. Bibcode: 1937ASAJ....9..146B. doi:10.1121/1.1915919. 
^ 宮崎 (1999)
^ Roeckelein (1998, p. 148)。
^ ベーム (1970, p. 222)。
^ “脳は“ドレミ”を言語処理!??脳波により絶対音感の仕組み解明へ?”. 新潟大学 (2019年8月8日). 2020年1月12日閲覧。
^ .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}Wong, Alan C.-N.; Yip, Ken H. M.; Lui, Kelvin F. H.; Wong, Yetta Kwailing (28 January 2019). "Is it impossible to acquire absolute pitch in adulthood?". bioRxiv 10.1101/355933。
^ 江口 (2000)
^ 最相 (1998, pp. 191?192)。
^ 宮崎 (2013, p. 562)

参考文献

江口彩子『絶対音感Q&A あなたの疑問は解決します』江口寿子 監修、全音楽譜出版社〈ピアノレッスンを変える 4〉、2000年6月。ISBN 978-4-11-880034-9。 

江口寿子、江口彩子『新・絶対音感プログラム 才能は身につけられる』全音楽譜出版社〈ピアノレッスンを変える 3〉、2001年10月。ISBN 978-4-11-880042-4。 

最相葉月『絶対音感』小学館、1998年3月。ISBN 978-4-09-379217-2。  - 第4回21世紀国際ノンフィクション大賞受賞。

最相葉月『絶対音感』小学館〈小学館文庫〉、2002年3月。ISBN 978-4-09-403066-2。  - 解説・小沼純一

最相葉月『絶対音感』新潮社〈新潮文庫 さ-53-3〉、2006年5月。ISBN 978-4-10-148223-1。  - 解説・青柳いづみこ


サックス, オリバー『音楽嗜好症(ミュージコフィリア) 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』早川書房、2010年7月。ISBN 978-4-15-209147-5。 

サックス, オリバー『音楽嗜好症(ミュージコフィリア) 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』早川書房〈ハヤカワ文庫 NF 414〉、2014年8月。ISBN 978-4-15-050414-4。 


ベーム, カール 著、高辻知義 訳『回想のロンド』白水社、1970年。ISBN 978-4-560-03628-0。 

ベーム, カール 著、高辻知義 訳『回想のロンド』白水社〈白水Uブックス 1021〉、1992年5月。ISBN 978-4-560-07321-6。 


堀内敬三『音楽五十年史(下)』講談社〈講談社学術文庫 139〉、1977年。ISBN 978-4-06-158139-5。 

宮崎謙一 研究代表者『 ⇒絶対音感保有者の音楽的音高認知過程』宮崎謙一〈科学研究費補助金基盤研究(C)(2)研究成果報告書, 平成9年度?平成10年度〉、1999年3月。NCID BA41577953。 ⇒http://www.human.niigata-u.ac.jp/~psy/miyazaki/Papers/Report1999/Report1999.html。 

宮崎謙一「 ⇒絶対音感を巡る誤解」(PDF)『日本音響学会誌』第69巻第10号、日本音響学会、2013年3月、562-569頁。 

モア, フランツ 著、中村菊子 訳『ピアノの巨匠たちとともに』イーディス・シェイファー 構成(増補版)、音楽之友社、2002年5月。ISBN 978-4-276-21743-0。 

Roeckelein, Jon E. (1998-10), Dictionary of Theories, Laws, and Concepts in Psychology (Hardcover ed.), Greenwood Pub Group, ISBN 978-0-313-30460-6 

外部リンク

『絶対音感
』 - コトバンク


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