日本では、一般に幼児向けの教育的なものを意図して製作されたものと捉えられているが、戦前からの絵雑誌である『コドモノクニ』、月刊『キンダーブック』の幼稚園での普及による影響があるためであり、戦前でも「講談社の絵本」など児童以上向けの絵本は存在していた。
戦後、「トッパンのえほん」、「トッパンの人形絵本」、「エンゼルブック人形絵本」、「マイニチの人形絵本」、月刊『こどものとも』などでは、多くの欧米の童話が翻訳された。日本の民話・昔話とともに、当時の幼児は、どこの国の話とはあまり意識せずに、読み聞かせしてもらう、あるいは一人で読む習慣が身に着いた。
独立行政法人・国立青少年教育振興機構は、絵本についての専門家「 ⇒絵本専門士」の養成を行っている。絵本に触れることが、その後の読書習慣に繋がるとの考えに基づく[2]。 最古の教育絵本は、宗教改革の時代にモラビアのボヘミア地方出身の教育者ヨハン・アモス・コメニウスが作ったとされる『世界図絵』で、今日の学習絵本の元祖といわれている。
ヨーロッパにおける絵本
20世紀初めには、言葉と絵の関係を効果的に機能させ、読者の理解を広く豊かにするため様々な手法が用いられた。この時期の作家としてビアトリクス・ポターやエルサ・ベスコフなどがいる。20世紀が進むにつれて、ことばと絵の関係が明確でわかりやすい作品は少なくなり、読者の理解力を試され、自分で解釈するように求められる、曖昧な読後感を残す作品が増えていく[3]。
絵本と現象ビアトリクス・ポター『ピーターラビットのおはなし』(1902)
現代では、最初から大人をメインターゲットとした、芸術性の高い絵本も制作されている。幼児や児童向けでも、大人が読むとその荒唐無稽さから極めて超現実的な印象を受ける絵本というのも存在するが、その一方では物語に託された深い洞察や示唆に大人が関心を示すケースというのも見られ、世代を超えて愛される絵本の中には、こういった良質な「作品」も見出される。
心の機微に対する深い哲学を持ち作品に反映させていたり、また子供の感覚で見慣れた事物にも新鮮に感じさせる視点が存在していることをあらわしているという作品も見られる。
この中では、子供から大人まで巻き込んでブームを巻き起こすケースもある。『100万回生きたねこ』のように深い感動を読者に与えた作品もあれば、『ウォーリーをさがせ!』のように遊びを提供するゲームブック的な性質で愛好者を増やした作品も見られる。
シリーズ化された作品では『ナインチェ・プラウス』(日本では「ミッフィー」ないし「うさこちゃん」という名前で知られるウサギ)や『アンパンマン』のように、様々なメディアに展開されているものもあり、単に絵本という枠から飛び出し世界中で愛されているキャラクターもみられる。逆に既存のキャラクターを絵本化するケースもあり、アニメなどでも子供向け作品の中に、絵本化され提供されている作品も見出される。 読み聞かせは、まだ文字が読めない子供に、親が絵本を読んで聞かせる場合と、保育園、幼稚園、小学校などで、保護者が絵本を読んで聞かせる場合と、図書館、書店で絵本を読んで聞かせる場合がある。
読み聞かせ