統計グラフ選択の目安を以下に示す。[1][2][3] 自然科学、社会科学、人文科学を問わず、統計を根拠とした実証性が求められる研究分野では、データの整理・分析の一環として、統計図表を作成する局面が多数ある。具体的には、 など様々な状況がありえる。そして、いずれの分野においても、 といった場面が挙げられる。 変量同士の相関を議論することが主となる場合には、実際に用いられるグラフのほとんどが散布図である。そのほか等高線図や2次元分布図等の広い意味でのカラーグラフ(2D・3D)、棒グラフである。棒グラフはヒストグラムの提示に用いられるのがほとんどである。3Dグラフは、正しく使えば値の3次元的な分布を正確かつ直感的に伝えることができるため、特に最近では、権威ある査読つき論文においてもよく使われている。箇条書きにすると、以下がよく使われる。
1種類の系列からなるデータの時間的推移(時間との相関)- 折れ線グラフ(散布図の一種に分類されることが多い)
2種類の系列からなるデータの相関 - 散布図
3種類の系列からなるデータの比較 - 2次元等高線図、ヒートマップ(塗りつぶした2次元等高線図)、3次元等高線図(高次元の散布図の一種に分類されることがある)
大きさの比較 - 棒グラフ
内訳や構成比を見る - 円グラフ
ばらつきをみる - ヒストグラム(棒グラフの一種に分類されることが多い)・エラーバー付き線グラフ・箱ひげ図
実証的な研究分野における統計図表の活用
実験ノート上などの一次的な記録物や計算紙などの上でのデータの簡易的な分析
実験・調査後に行う本格的なデータの分析
論文・講演のスライド等の公表用の資料
「何を分析するのか」「何を主張するのか」「何を検定するのか」といった目的意識
研究目的に照らして適切に取得・処理された統計データそのもの
二次元分布図(2D mapping,カラーマッピング)[14]・等高線図およびそのラインプロファイル
散布図・エラーバー付き散布図およびその回帰曲線
ヒストグラム
統計処理に際し、本来的に「データは連続的な量として取得されているはず」という暗黙の前提があり、物理学・化学・工学・経済学・心理学問わず「変量同士の相関」を見るのが主な目的であるため、理想的には関数グラフのようなものを得たいという考えが暗にある。そのため圧倒的大多数において散布図を用いて
2種類(あるいは3種類)のデータの相関を散布図にまとめる
そのデータに最もフィットし、現象論的にもっともらしい回帰曲線を描く(アレニウスプロットなど)
という処理が行われる。作成される散布図は、少数のデータから全体像を推測する場合には、「実際のデータの測定値」をそのまま散布図上に書き込むことが多い。データのラベルが離散的で、かつデータの量が充分多数で、そのデータの分布が正規分布に従っている場合には、ラベルごとの平均値のみをプロットし、それに適切なエラーバーをつける方法で作成されることが多い。
コンピュータ技術の進展により、統計グラフと画像(写真)の区別が曖昧になってきているという傾向がある。デジタル化された画像は空間座標・色の2種類の系列からなる情報の相関関係を2次元的あるいは3次元的に示したある種のカラーグラフの一種でしかなく、実際カラーグラフとして作成された等高線図などと解像度や、数字の羅列としてのデータ自体のみからでは区別がつかない。
初等教育の過程で重視される折れ線グラフは、ロードマップなどの未来技術予測などには多用されるものの、
自然科学特に物理学において時間的推移(時系列)とは「時間と測定結果の相関」に過ぎない
ExcelやOriginなど一部のグラフ作成機能を有するソフトウェアでは「散布図の各点を棒で結ぶ」という方法で折れ線グラフが作成できる
特にExcelでは、仕様上折れ線グラフは「目盛り間隔は必ず等間隔」とされていて、ある特定の時間のデータが欠落した場合などに不自由するが、散布図として作成すればそのような問題が生じない
などの理由から、ほとんどの場合は散布図にとってかわられている。 データのないグラフが描かれる場合もある。例えばある考えを主張する場合、それを説明するために、言葉で行うのが普通であるが、おそらくデータがあればこうなる、という形でグラフが活用されることがある。 例えば島嶼生態学における種数平衡説 最近では統計グラフの作成・解釈はノート作成、プレゼンテーション技術、文章技術などと並び、調査活動を行ううえで必要なアカデミックスキルの一つだと考えられるようになってきた。しかし、統計グラフの作成・解釈に関する系統だった指導は、あまりおこなわれていない。 小学校における算数の時間では棒グラフや折れ線グラフ、ドットプロットの扱いを習い、中学校の数学では、単元「資料の整理」の中でヒストグラムや箱ひげ図について学習する。また、高等学校の数学の教科書には「統計」の項目があり、そこでも簡単に触れられる。また、小中高を通じて、地理の時間には、社会統計や等高線の扱いを白地図などを用いて学ぶ。小中高の理科の時間にも「実験データの整理」などという意味合いで教えられることがある。大学では、学生実験などにおいて実験ノート指導などと平行して指導される。 公務員試験などでは「資料解釈」という科目として出題される。
データの存在しない場合
学校教育等における統計図表に関する指導