で与えられる。比例係数 k はボルツマン定数である。 統計力学で対象とする力学系が、古典力学に基づく場合は古典統計力学、量子力学に基づく場合は量子統計力学として大別される。 力学系の状態の集合である標本空間 Ω は、古典論では正準変数により張られる位相空間であり、量子論では状態ベクトルにより張られるヒルベルト空間である。また、物理量 O は古典論では位相空間上の関数であり、量子論では状態ベクトルに作用するエルミート演算子である。 古典論においては位相空間の測度は、1対の正準変数 dp dq ごとにプランク定数 h で割る約束で、状態に対する和が ∑ ω ∈ Ω → 1 h f ∫ d f p d f q {\displaystyle \sum _{\omega \in \Omega }\to {\frac {1}{h^{f}}}\int d^{f}p\,d^{f}q} で置き換えられる。ここで f は力学的自由度であり、3次元空間の N-粒子系であれば、f = 3N である。 量子論においては、量子数の組 ni の和 ∑ ω ∈ Ω → ∑ n 1 ∑ n 2 … ∑ n f {\displaystyle \sum _{\omega \in \Omega }\to \sum _{n_{1}}\sum _{n_{2}}\dots \sum _{n_{f}}} で置き換えられる。 力学系がある微視的な状態を取る確率は、系を熱力学的に特徴付ける条件(系のエネルギーや温度、化学ポテンシャルなどの状態変数)によって決まる。巨視的な条件は統計集団(アンサンブル)と呼ばれ、代表的なものとして が挙げられる。 平衡状態の統計力学は、等重率の原理とボルツマンの原理から導かれる。 ボルツマンの原理により微視的な確率分布が熱力学的なエントロピーと関係付けられる。また、確率の規格化定数として現れる分配関数は確率分布の情報をもっており、完全な熱力学関数と関連付けられる。 孤立系の確率集団は {qi, pi} で指定される微視的状態が等しい確率をもつミクロカノニカル集団である。これを等重率の原理という。 孤立系(エネルギー E、体積 V、粒子数 N)のエントロピー S(E, V, N) を系の微視的状態の数 W(E, ΔE, V, N) を用いて定義する。 S = k B ln W ≃ k B ln Ω {\displaystyle S=k_{\mathrm {B} }\ln W\simeq k_{\mathrm {B} }\ln \Omega } これをボルツマンの公式という。kB はボルツマン定数と呼ばれる。W はエネルギーが [E, E+ΔE] の区間に含まれる微視的状態の数であり、ΔE は巨視的に識別不可能である微視的なエネルギー差である。つまり W は巨視的にエネルギー E を持つと見なせる状態の数である。それは等重率の原理により、 W ( E ) = ∫ E < H ( { p i } , { q i } ) < E + Δ E d Γ ≃ Ω ( E ) Δ E {\displaystyle W(E)=\int _{E<H(\{p_{i}\},\{q_{i}\})<E+\Delta {}E}\mathrm {d} \Gamma \simeq \Omega (E)\Delta {}E} で与えられる。ここで、Ω(E) はエネルギー E における状態密度と呼ばれる量である。このエントロピーを熱力学におけるエントロピーとオーダーで一致させるには、微視的状態を量子力学によって記述する必要がある。その場合の統計力学を量子統計力学といい[6][7]、古典統計力学 エネルギー E の孤立系の物理量 A の集団平均 ⟨A⟩E は ⟨ A ⟩ E = ∫ E < H ( { p i } , { q i } ) < E + Δ E A ( { p i } , { q i } ) d Γ W {\displaystyle \left\langle A\right\rangle _{E}={\frac {\int _{E<H(\{p_{i}\},\{q_{i}\})<E+\Delta E}A(\{p_{i}\},\{q_{i}\})\mathrm {d} \Gamma }{W}}}
古典統計と量子統計
確率分布と統計集団詳細は「統計集団」を参照
孤立系に対応する小正準集団(ミクロカノニカルアンサンブル)
等温閉鎖系に対応するする正準集団(カノニカルアンサンブル)
等温等化学ポテンシャル開放系に対応する大正準集団(グランドカノニカルアンサンブル)
平衡系の統計力学
ボルツマンの原理
孤立系詳細は「ミクロカノニカルアンサンブル」を参照