統合軍に最も大きな変化があったのは1986年のゴールドウォーター=ニコルズ法制定である。それまで、統合軍編制はなされていたものの、JCS権限の不足や各軍種の長の指揮・責任範囲、各軍種の対立などの問題により、統合作戦に支障が生じる場合があった。ゴールドウォーター=ニコルズ法により、作戦指揮系統が整理され、JCSや各軍種の長は作戦指揮系統より外され、JCSの補佐の下、大統領から国防長官を通じ、各統合軍司令官へ直接指揮を下す方式[3]となった。
この後も、アメリカ軍は統合軍編制を随時見直しており、1987年には特殊作戦軍と輸送軍が新たに編成された。1992年には戦略軍が編成、核攻撃作戦系統も整理された。1999年には冷戦後の状況を踏まえ、大西洋軍を改編し、統合戦力軍が設置された。同時多発テロ事件後の2002年にはアメリカ合衆国本土防衛のため、北方軍が置かれている。その後、アフリカ軍が2008年より実働を開始している。このように近年は新たな統合軍の新設や改編が続いていたが、2011年には国防費削減策の一環として統合戦力軍が設置から10年あまりで廃止されている。また、2011年4月の地域割り当ての改正では、特に北極エリアの割り当てが見直されている。北極点及びその周辺は、各統合軍の境界であったものが、北方軍の担当エリアとされた[5]。
2019年8月20日、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長は、宇宙軍を再度発足(1985年に一度発足し2002年に戦略軍に統合された)させると表明し[6]、2019年8月29日実際に再発足した[7]。同年12月には陸軍などと並ぶ軍種としての宇宙軍も編成されており、これとの区別のためか再発足時の日本のマスコミ報道では「宇宙統合軍」の表記も多かったが、現在は宇宙コマンドを公式で採用している[8][9]。
統合軍の一覧統合軍の地域管轄地図
紋章統合軍
(略称)設立司令部司令官
公式写真氏名
管轄地域別統合軍
アメリカアフリカ軍
(USAFRICOM)2008年10月ケリー・バラックス
(ドイツシュトゥットガルト)‡スティーブン・J・タウンゼント大将
アメリカ陸軍
アメリカ中央軍
(USCENTCOM)1983年1月マクディル空軍基地
(フロリダ州タンパ)‡マイケル・E・クリーヤ大将
アメリカ陸軍
アメリカ欧州軍
(USEUCOM)1952年8月パッチ・バラックス
(ドイツシュトゥットガルト)トッド・D・ウォルターズ大将
アメリカ空軍
アメリカインド太平洋軍