統合失調症
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16項目 - 不安・罪責感・緊張・衒奇症[注釈 15]と不自然な姿勢・抑うつ・運動減退・非協調性・不自然な思考内容・失見当識・注意の障害・判断力と病識の欠如・意志の障害・衝動性の調節障害・没入性・自主的な社会回避
BACS
BACS(The Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia、統合失調症認知機能簡易評価尺度)は、言語性記憶、ワーキング・メモリ(作動記憶)、運動機能、注意、言語流暢性、および遂行機能を評価する検査で構成される認知機能評価尺度である[68]
生理的検査
血液検査
血液検査は患者の血液採取をし、薬物投与による肝機能の衰えなど(ALT (GPT)など)の副作用の有無を検査するために行う。通常の場合は3か月程度の間隔で行われる。内分泌物質(ホルモン)や電解質の異常、糖尿病の形跡、低血糖症栄養失調の診断にも生かされ、より正確な診断がなされる。外部委託先にビタミンミネラル類の検査項目も追加できるが、そのような依頼は極めてまれである[69]
CT・MRI検査
CTMRI検査にて、側頭葉頭頂葉灰白質の体積の減少を認める場合がある。白質の体積は減少していない。人間間でも脳体積は少なくとも10%は異なるため、一度の体積測定で判定することはできない。脳体積の減少は長期的な話である。また、抗精神病薬が脳体積を減少させることも知られている[70][71][72][73][74][75]。「抗精神病薬#副作用」も参照
SPECTによる検査
SPECTにて、課題遂行中や会話時に通常見られる前頭前野の血流増加が少ないという報告がある。
プレパルス抑制試験
プレパルス抑制(英語版)を参照。
遺伝子検査
遺伝子性の疾患を特定するためのツールとしてDNAシークエンシングがある。
尿検査
国内の精神科において尿検査を行うことはない。ピロール尿症におけるクリプトピロールや違法薬物の使用有無を調査することができるが、臨床試験的に尿を検査することがごく稀にある。生化学研究設備があればクリプトピロールなどの化学物質を判別できるが、そのような精神科医療機関は国内には存在しない。
NIRS脳計測装置・光トポグラフィー検査
NIRS脳計測装置光トポグラフィー検査により、問診と同時に脳内の血流量を赤外線により測定する。統合失調症、うつ病双極性障害の判断材料になる可能性がある研究中の検査手法である。日本では僅かだが実施しており、最先進医療の分野である。補助診断としてデータを見るものの、信頼性は未だ低く、「高価なおもちゃ(原文ママ)」の域を出ていない[76][77]
診断・分類

生物学的指標は存在せず[78]、現在の診断は患者の心理症候に依存している[25]。精神科の病気の診断に最も重視される方法は、患者の体験を言葉で語ってもらうことによる問診である[79]が、同時に他の疾患との鑑別のため、各種の血液検査や生理検査が行われる。長時間に渡る問診と共に、エビデンスすなわち科学的な根拠を基とする判断の上で、精神科医は正確な統合失調症の症状を診断しなければならない。精神医学は数字で測れる指標は少ないが、主要な精神疾患については症状や経過の詳細がわかれば通常の診断能力を持つ精神科医にとって、正確に診断することは困難なものではなく、誤診も一般に思われているよりはるかに少ないとしている[80]
診断基準

ICD-10での診断基準[81]DSM-IV-TRでの診断基準[81]


(1) 下記の症状が、1カ月以上続いてみられる。次のうち1項目以上(明白でなければ2項目以上)

(a) 考想反響、考想吹入、考想奪取、考想伝播、自他の境界が敏感で曖昧になる境界障害

(b) 他者から支配され、影響され、服従させられているという妄想で、身体、手足の動き、思考、行為、感覚に関連していること、および妄想知覚

(c) 患者の行動を注釈し続ける幻声

(d) 不適切でまったくありえないような持続的妄想


(2) あるいは、次の2項目以上

(a) あらゆるタイプの頑固な幻覚:浮動性または未完成の妄想や優格観念(感情に強く裏づけられた観念で、その人の思考や行動を持続的に支配するもの)を伴っていたり、数週または数カ月以上、毎日続くことがある。

(b) 思考連合の途絶や改ざん(滅裂思考、的はずれ会話、新語造成)

(c) 緊張病性の行動(興奮、蝋屈症、拒絶症、緘黙症、昏迷など)

(d) 陰性症状(著しい無感情、会話の貧困、感情反応の鈍化・不調和、通常は社会的引きこもりや社会的活動の低下を伴う):うつ病や神経遮断薬によらないことが明瞭なもの。

(e) 人格行動にみられる明らかな、持続性の質的変化(関心の喪失、無目的、無為、社会的な引きこもり)



(A) 以下の2つ以上が各1か月以上(治療が成功した場合は短い)いつも存在する。
妄想

幻覚

解体した会話

ひどく解体した行動(例:不適切な服装、頻繁に泣く)、または、緊張病性の行動

陰性症状


社会的または職業的機能の低下

(B) 障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準より著しく低下している(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達しない)。

(C) 障害の持続的な徴候が少なくとも6カ月間存在する。この6カ月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活動期の症状)は少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合はより短い期間)存在しなければならないが、前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期または残遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形(例:奇妙な信念、異常な知覚体験)で表されることがある。

(D) 統合失調感情障害と、「抑うつ障害または双極性障害、精神病性の特徴を伴う」が以下の理由で除外されていること
活動期の症状と同時に、抑うつエピソード、躁病エピソードが発症していない

活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、その持続期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続期間の合計の半分に満たない。


(E) その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

(F) 自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加えて少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合はより短い)存在する場合にのみ与えられる。


下位分類下位分類のフローチャート

分類はICD-10により[82][83][注釈 16]、「妄想型」「破瓜型」「緊張型」の3つが代表的である[84]
妄想型統合失調症 (ICD-10 F20.0 Paranoid schizophrenia)
連合障害や自閉などの基礎症状が目立たず妄想・幻覚が症状の中心である。統合失調症はかつて早発性痴呆症と呼ばれていたように早発(思春期から青年期)することが多いが、当該亜型は30代以降の比較的遅い発症が特徴的であるとされる。薬物療法に比較的感応的とされるが、抗精神病薬の服薬をしても精神症状がとれず慢性的に持続する症例もある。
破瓜型統合失調症 (ICD-10 F20.1 Disorganized schizophrenia)
破瓜型(Hebephrenia)[注釈 17]は思春期や青年期に好発とされる。感情や意志の鈍麻が主症状で慢性に経過し、人格荒廃に陥りやすい[85]。今日では破瓜型は社会的・精神医学的な発達の結果として、比較的軽症な程度ですみ、人格のまとまりを保持する症例が報告されるようになってきている。アメリカ精神医学では、破瓜型のことを「解体型(Disorganized)」と呼んでいる。
緊張型統合失調症 (ICD-10 F20.2 Catatonia schizophrenia)
筋肉の硬直症状が特異的で興奮・昏迷などの症状を呈する。陽性症状時には不自然な姿勢で静止したまま不動となったり、逆に無目的の動作を繰り返したりする。近年では比較的その発症数は減少したと言われる場合がある。
型分類困難な統合失調症 (ICD-10 F20.3 Undifferentiated schizophrenia)
一般的な基準を満たしてはいるが、妄想型、破瓜型、緊張型のどの亜型にも当てはまらないか、二つ以上の亜型の特徴を示す状態。
統合失調症後抑うつ (ICD-10 F20.4 Post-schizophrenic depression)
急性期の後に出現することが多く、自殺などを招くことがある。急性期を脱した20%から50%に出現する[86]


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