統合失調症
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1990年、メアリー・ボイル(英語版)は、精神分裂病の指示対象について、「徐々に変化し、この診断名が最終的には、クレペリンの症状と表面的にもほとんど類似点がない集団に適用されるようになった[注釈 10]」と述べている[26]

1994年、著名な精神分裂病研究者[注釈 11]であるナンシー・C・アンドレアセンは、何が精神分裂病なのか分からないと認めており、「ヨーロッパの人々は、誰が本当に精神分裂病を持っているのか、何が本当の精神分裂病なのか、理解することによって、アメリカの科学の一助となる[注釈 12]」と述べている[38][39][40]

2002年、日本精神神経学会は、「精神分裂病」には差別的な意味合いが包含されているとして、同学会における用語を「統合失調症」に変更した[7]

2014年、アメリカ精神医学会が、DSM-5を発行し、DSM-IVにより画期的に明確化された診断基準を受け継ぎ、5つの統合失調症の特徴を示した。すなわち、以下の症状のうち、少なくとも2つがおのおの1か月症状として継続して示すものを、統合失調症として、統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群の一領域と定義した。
妄想

幻覚

まとまりのない思考(発語)

ひどくまとまりのない、または異常な運動行動(緊張病を含む)

陰性症状

日本の精神医学は、概ねこの診断基準に基づいて、診断している。
症状

統合失調症に共通する症状は、思考や行動、感情がまとまりにくくなることである[41]。自閉や連合障害からくる大脳の疲弊によって、一部の患者では妄想幻覚を発症する頻度が少なくない。また、社会的または職業的機能の低下、つまりは、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能が病前に獲得していた水準より著しく低下している場合がある[41]認知情動、意欲、行動、自我意識など、多彩な精神機能の障害が見られる。大きく陽性症状と陰性症状の二つが挙げられ、他にその他の症状に分けられる[42]。全ての患者が全ての症状を呈するのではないことに注意が必要である。WHOによる国際的予備研究によれば、最も多く見られる症状は幻聴または関係念慮であり、患者の約70%に認められた[42]
陽性症状

陽性症状 (Positive symptoms) とは、おおよそ急性期に生じるもの。妄想や幻覚などが特徴的である[8]
思考の障害

思考過程の障害と思考内容の障害に分けられる。統合失調症の最大の特徴はこの自我意識面での思考の障害であるとされる。総合的に診断して自閉症と重複し、誤診されることもたびたびある。
思考過程の障害

集中能力の喪失:テレビを視聴したり、新聞記事を読むことが困難となる
[43]

思考内容の障害(妄想)

妄想 (Delusions) とは、客観的に見て物理的にありえないことを事実だと完全に信じていること[42][43]。以下のように分類される。

被害妄想:「近所の住民に嫌がらせをされる」「通行人がすれ違いざまに自分に悪口を言う」「自分の体臭を他人が悪臭だと感じている」などと思い込む[43]

関係妄想:周囲の出来事を全て自分に関係付けて考える。「あれは悪意の仄(ほの)めかしだ」「自分がある行動をするたびに他人が攻撃をしてくる」などと思い込む。

注察妄想:常に誰かに見張られていると思い込む[43]。「近隣住民が常に自分を見張っている」「盗聴器で盗聴されている」「思考盗聴されている」「カメラで監視されている」などと思い込む[44]

追跡妄想:誰かに追われていると思い込む[43]

微小妄想:自分を実際より低く評価し、劣っていると思い込む[45]


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