統合失調症患者の死亡率は、一般人口の約2倍以上とされる[194]。
患者の生涯自殺率は10%以上で、これは一般人口の12倍の値であり[12]、およそ5%が自殺を完遂する[195]。特に初発後・退院後に多く、初発退院後1年間の自殺率は一般人口に比べて100倍になっているという報告がある[196]。患者が喫煙者の場合も、自殺企図の危険は有意に高くなる[197]。陽性症状が強い時期に、幻聴から逃れたり妄想のために自殺をする患者もいるが、陰性症状しか見られない段階でも思考の短絡化[注釈 34]によって、少しの不安でも耐えられずに、自殺してしまうこともある。
統合失調症患者の生命予後(平均余命)は一般人口と比べると悪く、死因の大部分は心血管系疾患によるものと言われる[198]。統合失調症患者は心疾患や窒息による不慮の突然死が多く、突然死のリスクは健常者と比較して統合失調症患者全体で4.9倍、入院療養中の統合失調症患者では6.7倍であるとされる[199]。特に、メタボリックシンドロームは心血管系疾患および心血管系疾患死のリスクを上げ、原因として生活習慣、抗精神病薬による治療[注釈 35][注釈 36]、統合失調症の自体の影響などがある[198]。突然死リスクを減らすために対応可能な6つのリスクファクター(喫煙、高血圧、高血糖、運動不足、肥満、高脂血症)への取り組みが、発病早期から求められる[201]。 統合失調症患者の合併症で、特に多いのは抑うつと薬物乱用である[194]。患者の少なくとも25%は常時抑うつであり、また米国患者ではアルコール依存症は30%以上、麻薬は25%以上、喫煙率は50%以上であった[194]。 統合失調症患者はがんによる死亡率が低いことが知られている。デンマークで1980年まで行われた研究では、がん発生率は健常者との比較により男性で67%、女性で92%であった。男性統合失調症患者の肺がんは高い喫煙率にもかかわらず、健常者の38%であった。統合失調症治療に使われる向精神薬が抗腫瘍効果をもつためであるとされている[202]。また、統合失調症患者は関節リウマチに罹患しにくいことが知られており[203]、最近の研究によれば、およそ4倍程度罹患しにくいとされる[204]。 19世紀のドイツの精神科医エミール・クレペリンが複数の脳疾患を統一的な脳疾患カテゴリーとしてまとめ、早発性痴呆症を提唱した。1911年、スイスの精神科医オイゲン・ブロイラーが症状群の性質から、著書『早発性痴呆症あるいは精神分裂病群の集団』(『Dementia Praecox oder Gruppe der Schizophrenien』)の中でSchizophreniaを造語し定義した[9]。ブロイラーによれば、当該疾患の特徴は「精神機能の特徴的な分裂(Spaltung der verschiedensten psychischen Funktionen)」であるとし、Schizo(分裂)、Phrenia(精神病)と呼称した。ここでいう精神機能とは、当時流行した連合主義心理学(en:Associationism
合併症の疫学
歴史スキゾフレニア (Schizophrenia) という用語を創設したオイゲン・ブロイラー (1857-1939)
年表「精神保健の歴史」も参照
古代ギリシアから統合失調症が存在したという説がある[205]。
1852年、フランスのベネディクト・モレルが、統合失調症を初めて公式に記述し、Demence precoce(「早発性痴呆」)と呼称した。
1871年、ドイツのエヴァルト・ヘッカー