薬物治療や入院治療を極力避け、対話による回復を目指す治療法である。世界的に注目されており、日本への導入が進められている[165][166]。詳細は「オープン・ダイアローグ」を参照 NICEは患者に対し、健康的な食事と運動プログラムの組み合わせを提供すべきであるとしている[167]。統合失調症の患者はファーストフード、炭水化物や脂質の多い加工食品(インスタント食品や菓子)、ソフトドリンクの摂取が多く、食物繊維や果物の摂取が少ない傾向にあり適切な量や回数の理解が必要である[168]。長期間の運動プログラムを定期的に行った統合失調症患者は、そうでない患者と比較して高いメンタルヘルスの改善が認められた[169]。また、統合失調症における精神科のリハビリテーションにおいてメタボリックシンドロームの予防を目的にした運動プログラムが盛んになった[170]。 経過は、前駆期、急性期、消耗期(休息期)、回復期に分ける4区分と、前駆期、進行前駆期、精神病早期、中間期、疾患後期に分ける5区分の2種類がある。
食事と運動
その他
電気痙攣療法 (ECT)
薬物療法が確立される以前には、電気痙攣療法(電気ショック療法)が多く用いられてきた。この療法は左右の額の部分から脳に100Vの電圧、パルス電流を1 - 3秒間通電して、痙攣を人工的に引き起こすものである。電気痙攣療法の有効性は確立されている[171]が、一方で有効性の皆無も臨床実験で報告されている[172][173][174]。かつて電気痙攣療法が「患者の懲罰」に使用されていたこともあり、実施の際に患者が痙攣を起こす様子が残虐であると批判されている。まれに電気痙攣療法により脊椎骨折などの危険性があるため、現在では麻酔を併用した「無痙攣電気痙攣療法」が主流である。しかし、副作用や実施の際には、麻酔科医との協力が必要であることなどからして、実質的に大規模な病院でしか実施できない。現在では、この治療法は主力の座を薬物療法に譲ったものの、急性期の興奮状態の際などに行われることもある。NICEは現在の根拠では、ECTを統合失調症の一般的管理としては推奨することはできないとしている[注釈 30]。また、ECTは全ての治療の選択肢が失敗したか、または差し迫った生命危機の状況でのみ使われるべきであるとしている[175]。
鍼治療
統合失調症の症状の軽減と関連疾患に対して鍼治療が行われることがある[176][177]。
経過統合失調症の経過の概念図。赤線が症状、青線が活動性を表す。
前駆期
かかりはじめの時期。妙に身辺が騒がしく感じる、担がれている感じがする(神輿に乗った気分と騙されている気分の両方)、眠れない、音に敏感になるなどの状態。過労や睡眠不足に注意する。
急性期
症状が激しい時期。不安になりやすい、不眠、幻聴、妄想、脳が働き過ぎの状態。
消耗期
元気がなくなる時期。眠気が強い、体がだるい、ひきこもり、意欲がない、やる気がでない、自信が持てない、脳がほとんど働かないなどの状態。数か月単位の休息をとり、焦りは禁物である。
回復期
ゆとりがでてくる、周囲への関心が増える時期。ソーシャル・スキル・トレーニング、リハビリテーションなどを行う時期である。
前駆期 (prodromal phase)
当人は何の自覚症状も無いケースもあるが、社会的能力の障害、軽度の認知的解体または知覚の歪み、喜びや快感を経験能力の低下、全般的な対処能力の欠如などを呈する。