抗精神病薬の一般的な副作用として、黒質線条体系のドーパミン拮抗作用によるパーキンソン症候群、錐体外路症状、アカシジア、悪性症候群、ムスカリン拮抗作用による便秘、口渇、眼のかすみ、ヒスタミン拮抗作用などによる眠気、体重増加など、アドレナリンα1拮抗作用による低血圧、性機能障害が生じることがある[85]。抗精神病薬の治療の副作用対策として抗パーキンソン病薬の使用は、認知機能を低下させる副作用があるため、なるべく少量の使用か、使用しない傾向にある[124]。
NICEは、薬剤切替時を除いて抗精神病薬を多剤投与してはならない[125]、急速大量抗精神病薬飽和療法 (Rapid Neuroleptization) は、急性エピソード時の差し迫った暴力鎮静を除いて行ってはならないと勧告している[51][125]。日本の薬物療法においては多剤大量処方という問題を抱えており、その副作用で死亡者が出るなどの事例がある[126]。抗精神病薬の換算方法としてクロルプロマジン換算があり、統合失調症においてはクロルプロマジン換算量600mg程度を理想としている[127]。
統合失調症維持期の抗精神病薬治療については、継続、中止、間欠投与[注釈 25]、減量・低用量の4つの戦略がある[129]。中止については、近年各国のガイドラインは初回エピソード患者を中心に肯定的に傾いてきており、減量・低用量についても、ガイドラインは完全に否定してはいない[129]。一方、複数エピソードを経験している患者に対しては中止は推奨されておらず、間欠投与については、いずれのガイドラインも推奨していない[129]。
薬物療法を中断すると、中断した当初は調子がいいように感じることもあるが、多くは3か月、半年と時間が経つにつれて再発する(拒薬、怠薬[注釈 26])。自己判断で中断するのではなく、精神科医の指導のもとで継続して服用することが重要である[131]。
2006年、アラスカ州最高裁判所は抗精神病薬に関する訴訟の判決文で、「向精神薬は患者の心身に重大で永続的な悪影響を及ぼすことがある[注釈 27]」「数々の破壊的な副作用を引き起こす可能性があることが知られている[注釈 28]」と説明している[132]。「抗精神病薬#統合失調症」および「向精神薬#精神科の薬」も参照
統合失調症に柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏瀉心湯、加味逍遥散、抑肝散など、漢方薬が有効なこともある。ただし、統合失調症を漢方薬のみで治療するのは難しく関連症状に対して使用される[136]。また、漢方の温胆湯が統合失調症に効果があり、短期的に全体的改善が生じる[137]。温胆湯は抗精神病薬と比較して有効性が高くはないが、錐体外路症状が生じにくいことが示されている[137]。「抗精神病薬#抗精神病作用が報告されている物質」も参照
2010年代後半から、陰性症状の1つである認知機能低下の改善を目指し、製薬会社各社がグリシントランスポーター1阻害薬の開発を進めている[138][139][140][141][142] 。