英国国立医療技術評価機構(NICE)は、統合失調症発症リスクの高いグループについては、個人単位での認知行動療法(CBT)を提供し、さらに、もしパーソナリティ障害・薬物乱用・うつ病・不安障害などが見られれば、それらに診療ガイドラインに従った治療を提供するとしている[102]。発症防止・予防を目的とした、抗精神病薬の投与は行ってはならない[103]。 精神科医(精神保健指定医)・薬剤師・看護師・保健師・精神保健福祉士・社会福祉士・作業療法士・理学療法士・公認心理師・音楽療法士・管理栄養士・栄養士などの専門職が挙げられる。全国精神保健福祉会連合会が結成されている[104]。地方自治体は家族への相談窓口などを設置していることが多い。家族の多くが精神障害者の地域生活を支えている[105]。 統合失調症の患者の中にも病状悪化による再入院を繰り返す過程で、自分が統合失調症であることや、服薬中断が精神症状悪化につながると分かるようになっている場合もある[106][105][107][64]。いろいろなことに深刻にならずに、「病気だからそう言うこともあるんだな」と受け止めることが大事との意見がある[64]。治療の開始にあたっては、統合失調症も他の病気と同様に薬で症状をコントロールできること(特殊な病気ではないこと)を伝え、回復への見通しを持てるようにサポートする。同時に、医師や周囲の人のサポートを約束し、本人のペースを尊重しながら協同で治療に取り組んでいくことを伝え、安心感を持てるよう支援する[108]。精神科医は、理解しようとすること、少なくともサポートしようとしている姿勢が患者に伝わることが必要となる[64]。 患者に妄想・妄言が含まれる場合、それを否定すると孤立感が増し症状が悪化する例が多いとされ、また、逆に肯定すると妄想を補強することになり、症状が悪化する可能性がある[109]。話を聞かない場合においても孤立感が増すため、話を根気よく聞く必要があるが、あまりに真剣に聞きすぎると、聞き手側のストレスになり、場合によっては聞き手側にうつ病などの精神疾患をもたらすことがあるため、あまりに真剣に聞くことも推奨されない。介護職の対応としては、妄想の話をしているときには、否定も肯定もせず、中立的に話を最後まで聞き、相手には真剣に聞いている態度を示しつつも、内実あまり真剣に聞かずに軽く受け流すという対応を正解としている(ただし、症例は多様であり、ケースバイケースのため専門医の指示は必須である)[109]。実際に、本当のことを訴えている場合、あるいは利害関係から病気に仕立てられるケースが実在するので注意が必要である[注釈 22]。 厚生労働省のウェブサイトにおいて、患者家族に対しては「病気とそのつらさを理解する」「医療チームの一員になる」「接し方を少し工夫する」「自分自身を大切にする」ことなどを推奨しており、患者に対して非難的あるいは批判的な言動を慎み、また「原因を探すのはひとまず脇に置いて、具体的な解決策を一緒に考える、という接し方が理想的」と呼びかけている。
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