統合失調症
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破瓜型(Hebephrenia)[注釈 17]は思春期や青年期に好発とされる。感情や意志の鈍麻が主症状で慢性に経過し、人格荒廃に陥りやすい[85]。今日では破瓜型は社会的・精神医学的な発達の結果として、比較的軽症な程度ですみ、人格のまとまりを保持する症例が報告されるようになってきている。アメリカ精神医学では、破瓜型のことを「解体型(Disorganized)」と呼んでいる。
緊張型統合失調症 (ICD-10 F20.2 Catatonia schizophrenia)
筋肉の硬直症状が特異的で興奮・昏迷などの症状を呈する。陽性症状時には不自然な姿勢で静止したまま不動となったり、逆に無目的の動作を繰り返したりする。近年では比較的その発症数は減少したと言われる場合がある。
型分類困難な統合失調症 (ICD-10 F20.3 Undifferentiated schizophrenia)
一般的な基準を満たしてはいるが、妄想型、破瓜型、緊張型のどの亜型にも当てはまらないか、二つ以上の亜型の特徴を示す状態。
統合失調症後抑うつ (ICD-10 F20.4 Post-schizophrenic depression)
急性期の後に出現することが多く、自殺などを招くことがある。急性期を脱した20%から50%に出現する[86]。治療法は、うつ病にほぼ準じる。
残遺型統合失調症 (ICD-10 F20.5 Residual schizophrenia)
陰性症状が1年以上持続したもの。陽性症状はないかあっても弱い。他の病型の後に見られる急性期症状が消失した後の安定した状態である。
単純型統合失調症 (ICD-10 F20.6 Simple schizophrenia)
連合障害、自閉などの基礎症状が主要な症状で、妄想・幻覚はないかわずかである。破瓜型の亜型に含めるケースもあるが、破瓜型に比べ内省的で病識の欠如がまれであるとされる。
その他の統合失調症 (ICD-10 F20.8 Other schizophrenia)
その他の統合失調症は医療診断を示すために使用することができない。その他の統合失調症には、F20.81(Schizophreniform disorder)とF20.89(Other schizophrenia)の2種のコードが含まれる[87]。遅発性統合失調症、体感症性統合失調症、統合失調様状態、急性統合失調症性エピソードの4つの下位分類がある[88]。短期統合失調症様障害(F23.2)は除外される[89]

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統合失調症,詳細不明 (ICD-10 F20.9 Schizophrenia, unspecified)
統合失調症、特定不能のもの。モレル・クレペリン病、統合失調症の2つの下位分類がある[90]

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経過分類

第5桁の数字(F20.XYのY)は、経過分類に用いる[91]

第5桁の数字経過
0持続性
1エピソード性[注釈 18]の経過で進行性の欠陥をともなうもの
2エピソード性の経過で固定した欠陥をともなうもの
3エピソード性の経過で寛解しているもの
4不完全寛解
5完全寛解
8その他
9観察期間が1年未満
出典:[91]

先進事例

先進的な医療、研究事例として統合失調症の判別に光トポグラフィー脳SPECTなどの装置による画像診断をおこなうことがある[93][94][95]
鑑別疾患

以下の疾患を除外する[81]

てんかん

中枢神経系腫 (特に前頭葉・大脳辺縁系)

中枢神経系外傷

中枢神経系感染(特にマラリアや他の寄生虫性疾患、神経梅毒ヘルペス脳炎

脳血管発作

そのほかの中枢神経系疾患(白質萎縮、ハンチントン病ウィルソン病全身性エリテマトーデスなど)

急性一過性の精神病

情動障害

妄想性障害

統合失調感情障害気分障害

物質乱用、投薬による症状、一般身体疾患

広汎性発達障害[注釈 19]

前述におけるプレパルス抑制およびびっくり病、さらには糖尿病低血糖症と差異を見出さなければならない。抗NMDA受容体抗体脳炎も2007年に提唱された比較的新しく発見された疾患であるが、NMDA受容体機能低下による統合失調症と共通病態と考えられるため、鑑別が必要である[97]

薬物誘発性精神病の症状は、統合失調症の症状に酷似しており、熟練した精神科医でも鑑別は困難とされる[98]。症状は同様であるが、薬物誘発性精神病は後天性で、統合失調症は遺伝性であるという点で異なる[98]。薬物誘発性精神病と統合失調症の区別は曖昧なため、薬物誘発性精神病モデルは、統合失調症モデルとして研究で頻用されているが、これが動物モデルとして理想的であるかは決定されていない[98]。つまり、1.幻覚など陽性症状、2.平坦な感情など陰性症状、3.混乱した言語や非論理的という認知症状の3種類の症状が統合失調症に特徴的であるが、アンフェタミンに誘発された精神病症状は陰性症状を明らかに誘発しないなど不完全であり、発症機序に関して別々であることは明らかである[98]DSM-5においては、薬物誘発性精神病は統合失調症と区別されており、統合失調症と異なり使用をやめると症状はおさまるものだと定義されている(精神刺激薬精神病#鑑別診断も参照)。

発達障害自閉症スペクトラム障害 (ASD) と間違われやすい精神疾患・障害であり、見分け方かつ正反対な点としては、他者の目線を気にするか否かの点がある[99]。ASDの場合は先天性で非進行性の疾患・障害であり、自分がどう見られているか、どう思われるかを全く気にしない[99]
診断の問題点

統合失調症の確定診断は、そもそも難しい。統合失調症の性質、精神医療現場の環境が原因となって、他の精神疾患や発達障害との誤診が起きる可能性がある意見や報道もある[100]。誤診されやすいものとしては双極性障害、統合失調感情障害、強迫性障害、びっくり病、ナルコレプシーにおけるカタプレキシーアスペルガー症候群が挙げられる。特に双極性障害は、統合失調症と遺伝子的スペクトラムをなすという仮説もあり、しばしば幻聴やてんかんを伴う。

児童精神科医は約200人ほどしかおらず[101]児童精神医学は専門外の場合がある。
予防「精神病#予防」も参照

様々な提唱がされているが、どれも反証可能性がない[注釈 21]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}貧困対策、大麻および違法薬物の使用の防止あるいは大麻の推奨、アルコール飲料摂取の防止、喫煙の防止、あるいは喫煙の推奨、小麦製品などのグルテン含有食品の摂取の防止(グルテン原因仮説)、レバーなどに含まれるピリドキサミンの積極的な摂取(カルボニルストレス説)、コーヒーなどのカフェインの摂取の防止、幼少時期のトラウマ(虐待、いじめなど)の防止、家族・医療関係者の高感情表出、いわゆるHIGH-EE (High expressed emotion) の防止、妊婦のインフルエンザなどの感染症の防止、睡眠不足の防止あるいは過眠の防止、過食の防止、運動不足の解消、魚介類に多く含まれるω-3脂肪酸の積極的な摂取、朝食の摂取、親知らずの抜歯などが挙げられるが、いずれも仮説である[要出典]。

英国国立医療技術評価機構(NICE)は、統合失調症発症リスクの高いグループについては、個人単位での認知行動療法(CBT)を提供し、さらに、もしパーソナリティ障害・薬物乱用・うつ病・不安障害などが見られれば、それらに診療ガイドラインに従った治療を提供するとしている[102]。発症防止・予防を目的とした、抗精神病薬の投与は行ってはならない[103]


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