統合失調症
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統合失調感情障害統合失調症と共に、うつ病躁病が現れる(※事例としては少ない)(特に無し)
統合失調症様障害5症状のうち2つ以上が現れている1か月以上6か月未満
短期精神病性障害陰性症状を除いた4症状のうち1つ以上が現れている1日以上1か月未満
妄想性障害妄想だけが現れている1か月以上
統合失調型パーソナリティ障害(STPD)対人関係での苦手さ、風変わりな行動など成人期になるまで徐々に

また精神医学論文では、スキゾイドパーソナリティ障害(SPD、統合失調質パーソナリティ障害)も、統合失調症スペクトラム障害の一種として分類されることがある[20][22]。『MSDマニュアル』では「シゾイド〔スキゾイド〕パーソナリティ障害は,統合失調症または統合失調型パーソナリティ障害家族歴がある人々でより多くみられる場合がある」とされている[23]。スキゾイドパーソナリティ障害にはしばしば併存症があり、それは例えば統合失調型パーソナリティ障害やうつ病などである[23]
定義「精神障害#定義」も参照

精神医学的障害の一種である。現在の統合失調症の定義は妄想・幻覚といったヒト特有の高次脳機能(心理症候)[注釈 1]に全て依存している[25]

1899年、エミール・クレペリンは、感情の欠如、奇妙な歩行、筋痙攣(きんけいれん)などを呈し、痴呆[注釈 2]へと至る患者を「早発性痴呆」と記述した[26]

1908年、オイゲン・ブロイラーが「schizophrenia」と名付けた[26]

1917年、コンスタンチン・フォン・エコノモ(英語版)が「嗜眠性脳炎」を記述し、「schizophrenia」から「嗜眠性脳炎」が除外された[26]

1920年代〜30年代、精神医学の教科書の記述が変化した[26]。従来の身体症状が全て削除され、幻覚、妄想などの精神症状が残った[26]

1937年、日本精神神経学会は、同学会における用語を「精神分裂病」とした[7]

1968年、DSM-IIの前文は「最善は尽くしましたが、(アメリカ精神医学会の)委員会はこの障害について合意を得ることができませんでした。合意できたのは診断名だけです[注釈 3]」としている[注釈 4][27][28]

1980年、DSM-IIIは「精神分裂病の概念の範囲は曖昧です[注釈 5]」としている[注釈 6][29][30]。また、精神障害の基本概念に関して、「精神分裂病患者 (a schizophrenic) 」という人間を分類する表現は誤解を招くため、「精神分裂病を有する人 (an individual with Schizophrenia) 」というぎこちないがより正確な表現を採用すると説明している[31]DSM-III-R(1987年)、DSM-IV(1994年)、DSM-IV-TR(2000年)にも同様の説明がある[31][32][33][34]。精神分裂病患者 (schizophrenics) が存在するのではなく、精神分裂病 (schizophrenic disorder) の診断基準を満たす症状を有する人々がいるだけである[33][34][35]

1987年、DSM-III-Rは「精神分裂病に限っては、単一の特徴をいつも示さなかったり、生じないことに注意すべきです[注釈 7]」としている[注釈 8][29][30]

1988年、ニューヨーク州立大学のトーマス・サズ(英語版)博士は「精神分裂病はとても曖昧に定義されています。実のところ、話し手にとって気に入らない行動のほとんど全てにしばしば適用される用語です[注釈 9]」と述べている[36]

1990年、メアリー・ボイル(英語版)は、精神分裂病の指示対象について、「徐々に変化し、この診断名が最終的には、クレペリンの症状と表面的にもほとんど類似点がない集団に適用されるようになった[注釈 10]」と述べている[26]

1994年、著名な精神分裂病研究者[注釈 11]であるナンシー・C・アンドレアセンは、何が精神分裂病なのか分からないと認めており、「ヨーロッパの人々は、誰が本当に精神分裂病を持っているのか、何が本当の精神分裂病なのか、理解することによって、アメリカの科学の一助となる[注釈 12]」と述べている[38][39][40]

2002年、日本精神神経学会は、「精神分裂病」には差別的な意味合いが包含されているとして、同学会における用語を「統合失調症」に変更した[7]

2014年、アメリカ精神医学会が、DSM-5を発行し、DSM-IVにより画期的に明確化された診断基準を受け継ぎ、5つの統合失調症の特徴を示した。すなわち、以下の症状のうち、少なくとも2つがおのおの1か月症状として継続して示すものを、統合失調症として、統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群の一領域と定義した。
妄想

幻覚

まとまりのない思考(発語)

ひどくまとまりのない、または異常な運動行動(緊張病を含む)

陰性症状

日本の精神医学は、概ねこの診断基準に基づいて、診断している。
症状

統合失調症に共通する症状は、思考や行動、感情がまとまりにくくなることである[41]。自閉や連合障害からくる大脳の疲弊によって、一部の患者では妄想幻覚を発症する頻度が少なくない。また、社会的または職業的機能の低下、つまりは、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能が病前に獲得していた水準より著しく低下している場合がある[41]認知情動、意欲、行動、自我意識など、多彩な精神機能の障害が見られる。大きく陽性症状と陰性症状の二つが挙げられ、他にその他の症状に分けられる[42]。全ての患者が全ての症状を呈するのではないことに注意が必要である。WHOによる国際的予備研究によれば、最も多く見られる症状は幻聴または関係念慮であり、患者の約70%に認められた[42]


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