結核
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QFTならびにT-スポットは、インターフェロンγ遊離試験 (IGRA) と総称される[17][18][19]
核酸・蛋白検出

核酸増幅法としてリアルタイムPCR (TaqMan PCR)[20]、核酸増幅とキャピラリ電気泳動を組み合わせたPCR-CE法としてミュータスワコーMTB[21]がある。また、核酸検出法としては、DNA-RNAハイブリダイゼーション(アキュプローブ法)、DNA-DNAハイブリダイゼーション(DDHマイコバクテリア)などがある。他に迅速診断法としてキャピリアTB蛋白検出法)がある[20]
検査所見肺の病巣の断面標本TBLBで見つかった結核肉芽腫ラングハンス型巨細胞

喀痰塗抹検査(チール・ニールセン染色)は喀痰中の抗酸菌の有無および排菌量をみる検査であり、まず行うべき方法である。また蛍光塗抹検査を利用することもできる。

なお、結核を疑った患者から採痰を行う場合は、専用ブースを用意して採集する。これまで喀痰中の排菌量はガフキー号数で表記されてきた。新結核菌検査指針では、検出菌数を 1+, 2+, 3+ で表すこととなった(± はガフキー1号、1+ は2号、2+ は5号、3+ は9号に相当)。

塗抹検査では、結核菌か非結核性抗酸菌かの同定はできない。菌の同定および薬剤耐性を調べるには喀痰培養検査を行うが、結核菌は培養による繁殖が遅く、3-6週間必要で早期診断には適さない。

早期診断には、喀痰の結核菌DNAのPCR検査が有用である。感度特異度が高く日本でも普及してきている。ただPCR法は、死菌でもDNAを検出することで、陽性になってしまう。

気管支鏡下のBAL(気管支肺胞洗浄)やTBLB(経気管支肺生検)も診断に有用である。胃液検査は培養のみが検査に適するので、早期診断に有用ではない。血液培養をする場合は、専用のスピッツが必要である。

胸水がある場合、胸水培養で結核菌が陽性になるのは25%未満である。胸膜生検が必要である。
画像所見

単純
レントゲン写真:古典的典型例では空洞を伴う結節影がみられる。

胸部CT肺浸潤影と娘結節の存在、空洞形成、肺門リンパ節腫大、胸水など。

多彩な像を呈するため肺結核は画像のみでの正確な診断は困難である。喀痰検査や血液検査とともに総合的に診断する。
治療

かつては、抗菌剤ストレプトマイシン単剤の投与で効果があったが、現在は薬剤耐性獲得の危険があるため、単剤での治療は行わない[22]

イソニアジド (INH)、リファンピシン (RFP)、ピラジナミド (PZA)、エタンブトール (EB)(またはストレプトマイシン (SM))の4剤併用薬物療法を行うべきであると考えられている[22]。ほかに、デラマニド製剤(デルティバ)[23]も使用される。結核菌はこのそれぞれの薬物に耐性をもつものが存在するが、イソニアジドおよびリファンピシンの2剤に耐性を持つ菌は「多剤耐性結核菌」と呼ばれ、治療に難渋することがある。一度発症した場合は、6?9ヶ月の投薬療法が一般的である[22]

治療を正確に完了した場合、再発率は5%未満である。しかし、治療中断により結核菌に薬剤耐性ができ、集団感染することが問題となっている。そのため、特にストリートホームレスの住人に対して、確実な薬の服用を目指した直接監視下短期化学療法(directly observed treatment, short-course, DOTS)の実施拡大が求められている[24]

肺結核は空気感染が起こるため、排菌のある結核患者は感染症予防法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)により、負圧設備のある結核病棟への入院が義務づけられている[25]。医療従事者はN95マスク(FFP3マスク)を装着する必要がある[26]。患者の搬送は最低限にすべきであるが、どうしても必要な場合は患者に通常のマスクを、医療従事者にN95マスクを装着し、窓を開けるなど換気に留意する。

喀痰中の排菌のない(ガフキー0号)患者は、強制入院の対象ではない。
肺外結核

A17 - Tuberculosis of nervous system

A18 - Tuberculosis of other organs

A19 - 粟粒結核 (en:Miliary tuberculosis)

結核性髄膜炎詳細は「結核性髄膜炎」を参照

結核性髄膜炎 (A17.0 Tuberculous meningitis) は、亜急性髄膜炎の鑑別の一つである。真菌性、梅毒性、癌性髄膜炎との鑑別を要する。
症状
無気力、過敏、食欲不振、発熱頭痛嘔吐痙攣昏睡である。行動の変化を認めることもある。また、多部位の結核菌感染の症状を認めることがある。
身体所見
項部硬直、脳神経麻痺症状を認めることがある。
検査所見
髄液は黄色くて、cell 100-500(単核球優位)、高蛋白、低グルコースを示す。細菌性髄膜炎と比べて明らかに弱い所見を示す。髄液の塗抹検査は通常陰性で、培養も最大25%の症例で陰性である。髄液PCR検査は感度が高い。
治療法
肺結核症と同様であり、12ヶ月の投薬を行う[27]。イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミドは髄液移行性がよい。エタンブトール、ストレプトマイシンは基本的に髄液移行性は不良であるが、髄膜の炎症が認められる場合には髄液中に移行する。デキサメタゾンは細菌性のようなエビデンスはないが、用いることがある。
結核性リンパ節炎詳細は「en:Tuberculous lymphadenitis」を参照

頚部腫瘤の鑑別の一つである。感染症による反応性リンパ節腫脹や、腫瘍性、サルコイドーシス猫ひっかき病組織球性壊死性リンパ節炎(菊池病)、自己免疫性リンパ節炎との鑑別を要する。診断は、針吸引による細胞診、塗抹、培養、PCR検査による。リンパ節生検が必要なこともある。治療の第一選択肢は、肺結核と同様の薬物療法である[28]
結核性心膜炎詳細は「en:Tuberculous pericarditis」を参照

先進国ではまれである。発熱、寝汗、疲労が数週間から数ヶ月続く。心嚢水の塗抹・培養による結核菌陽性率は低い。心膜生検による肉芽腫の証明や培養、PCRは診断を確定するが侵襲性が高い。他部位における結核菌の証明によって診断を推定するのが一般的であると考えられる。治療は肺結核と同様の薬物療法[29]。しかし収縮性心外膜炎を後遺症として残すことがある。
結核性腹膜炎詳細は「腹膜炎」を参照
K67.3 Tuberculous peritonitis

症状
微熱腹痛、食欲不振、体重減少など非特異的である。
検査所見
腹水の抗酸菌塗抹検査は通常陰性であり、培養の陽性率は20%に過ぎない。ただし大量の腹水を培養することにより85%まで高めることができる。腹水のアデノシン・デアミナーゼADA値は肝硬変による腹水がある患者では、結核性腹膜炎の合併を予測できると示されている。しかしその他の場合には有用ではない。診断の確定は腹腔鏡検査であり、特徴的な腹膜結節を認め腹膜生検で肉芽腫を認めることができる。


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