経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約
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年2回の会期(それぞれ3週間の本会議及び1週間の予備的作業部会)をジュネーヴで開いている[5][6]

また、委員会は、本規約の規定の解釈について一般的意見を表明する[6]
国家報告制度(16条)
国家報告制度とは、人権条約の締約国が、条約上の義務の履行状況を実施機関に報告する制度である。本規約の締約国は、定期的に、「この規約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の実現についてもたらされた進歩に関する報告」を提出しなければならない(16条1)。初回の報告は、本規約の受諾から2年以内に、その後は5年ごとに提出することとされている。社会権規約委員会は、各報告書の審査を行い、「最終所見」の形で締約国に対する懸念と勧告を表明する[6]
個人通報制度(選択議定書)
個人通報制度とは、人権条約に定める権利を侵害された個人が、実施機関に通報を行うことができる制度である。2008年12月10日、国連総会で、社会権規約委員会に個人通報を受理する権限を与える社会権規約の選択議定書が全会一致で採択され(決議A/RES/63/117)、2009年署名のため開放された(2013年に発効)[6]
締約国

社会権規約の締約国となるためには、(1)署名の上、批准を行うか、(2)加入の手続をとる必要があり、規約は署名又は加入のために開放されている。批准・加入したときは、批准書・加入書を国連事務総長に寄託する(26条)。

2020年5月現在、署名国は71か国であり、そのうちまだ批准していないのはコモロキューバパラオアメリカ合衆国の4か国である。批准済みの署名国67か国と、加入国を合わせると、締約国は170か国である[2]
日本

日本は、1978年5月30日、社会権規約及び自由権規約に署名し、1979年6月21日、両規約の批准書を寄託した(同年8月4日、社会権規約は同年条約第6号として、自由権規約は同年条約第7号として公布された)。それにより、同年9月21日、両規約は日本について効力を生じた[1]

ただし、次のような留保及び解釈宣言を行っている[7]

公の休日についての報酬の支払(第7条(d))、公務員に関してのストライキ権の保障(第8条1(d))、中等高等教育についての無償化の漸進的導入(第13条(b)、(c))の留保

警察の構成員」(第8条2)に消防職員を含むとの解釈宣言

このうち、中等、高等教育についての無償化の漸進的導入については、2012年9月11日に留保の撤廃を国際連合に通告した[8]

2013年5月17日、経済的、社会的及び文化的権利委員会は、日本の報告書の審査に対する「最終所見」にて、以下の勧告を行った[9]

社会権規約の国内裁判所での直接適応(7)

国内人権機関の設立(8)

障害者権利条約の批准(12)

国際労働条約強制労働廃止条約(第105号)(14)と差別待遇禁止条約(第111号)(15)の批准

最低保障年金制度設立と生活保護受給者に対する汚名を払拭する国民への教育(22)

東日本大震災福島第一原子力発電所事故の被害者に対する救済と差別禁止(24)

アイヌ語習得を含む日本の先住民族であるアイヌ人の権利(30)

脚注[脚注の使い方]^ a b 宮崎 (1988: 260)。
^ a b Treaty Collection.
^ 中谷ほか (2006: 218)。
^Economic and Socil Council, General Comment 18, E/C.12.GC/18, para 7
^ 阿部ほか (2009: 91)。
^ a b c d “ ⇒Committee on Economic, Social and Cultural Rights”. Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights. 2011年3月7日閲覧。
^ 宮崎 (1988: 261)。
^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/tuukoku_120911.html
^Concluding observations on the periodic review of Japan (E/C.12/JPN/CO/3)

参考文献

Treaty Collection: “Treaty Collection: International Covenant on Civil and Political Rights
”. United Nations. 2011年3月8日閲覧。

阿部浩己、今井直、藤本俊明『テキストブック 国際人権法』(第3版)日本評論社、2009年。ISBN 978-4-535-51636-6。 

中谷和弘、植木俊哉、河野真理子、森田章夫、山本良『国際法』有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2006年。ISBN 4-641-12277-6。 

宮崎繁樹「国際人権規約の批准」『ジュリスト』第900号、有斐閣、1988年1月、pp. 260-61。 

関連項目

国際人権規約

市民的及び政治的権利に関する国際規約


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