経済産業省
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古賀茂明は、そうした中身が無くても中身があるモノのように見せたり、立派に、面白そうに見せるために、電通など広告代理店が介在し、中身がないものを“お化粧”した事業の失敗例として、サービスデザイン推進協議会が受託した「おもてなし規格認証」、「クールジャパン」、そして「プレミアムフライデー」を挙げている[33][34][35]
委託事業に関わる問題
電通による丸投げ問題

日本における2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響により、2020年持続化給付金事業を緊急支援的に実施するにあたり、経済産業省にはいくつかの選択肢があった。いずれも予算手当てをつけて行う直轄事業、独立行政法人による実施事業、地方自治体による実施事業、委託事業、そして補助金事業の5つである。このうち委託事業以外は、いずれも緊急支援的な同事業実施にあたり不適切で、なじまないものであった。さらに、コロナ禍により今後も過去最大級の景気対策が求められるため、委託事業の形によるとはいえ新規事業の創出をアピールしやすい状況があったという[36]
バブル崩壊後、「官から民へ」の旗印の下、中央省庁再編等一連の行政改革で、国家公務員数はこの20年で6割減の30万人に、また民主党政権の下、事業仕分けにより独立行政法人による受注が削られ多くの業務で民間委託が進んだ。国土交通省などの現業官庁のような政策実行の手足となる出先機関の乏しい経産省では民間との分業が必須になった[注釈 8]。こうしたなかで電通が経産省など公共政策に関わる官公庁事業で売り上げを伸ばした。のみならず、経産省にとって切れない存在にまでなった足下を見る形で、環境共創イニシアチブはじめ諸トンネル法人を通し、2015年度からの6年間で再委託事業数72件、事務委託費計1585億円の89%に相当する再委託額1415億円もの多額の公金ないし税金が、実態の裏付けの乏しい事業で、あるいは実体の無い事業で電通とそのグループ会社に流れた[38]

当時の中小企業庁長官であった前田泰宏と、委託先のサービスデザイン推進協議会業務執行理事平川健司(前電通社員)との親密な関係が疑念を持たれて週刊文春で報じられたように、再委託ないし丸投げに関する制約がなく、経産省側に大きな裁量があったことと、経産省のルールが他省庁に比べて企業・団体側に有利になっていることが明らかとなった。つまり、事実上の丸投げやピンハネなどを招きやすい仕組みであり、裏返せば官製談合を疑われるコネ癒着の温床となりやすい構図であった。その際に担当者レベルから外部有識者に至るチェック機能が働いていなかった制度的要因が指摘されている[36][39]

2008年施行の公益法人制度改革により、内閣府の監督下にある公益社団法人に対して、一般社団法人に監督官庁はなく、情報公開の対象も法令上、社員と債権者に限られていることが制度的要因に挙げられている。これにより、実態を外部から把握できない「見えない政府」が現出し、憲法が定める財政民主主義の精神が骨抜きにされている点が指摘されている[注釈 9]。この一般社団法人が担う国の予算執行の規模は、2015-2018年度の間、経済産業省が突出して高く、同省のそれが一般社団法人に依存していることが明らかとなっている[41]
主な委託事業等の例


クールジャパンの事業実施主体等の流れ

海外需要開拓支援機構 - 電通AKB48も参照)


2019年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う中小企業庁による持続化給付金の事業委託、再委託等の流れ

サービスデザイン推進協議会 - 電通(前田泰宏#報道等を参照。キャッシュレス推進協議会自由民主党 (日本)#問題も参照。)


同2019年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う中小企業庁による家賃支援給付金事業の受託をめぐる独占禁止法違反・下請法違反問題

電通#家賃支援給付金事業の受託をめぐる問題を参照。


その他

通産省4人組事件

特許庁#関連紛争や諸問題

資源エネルギー庁#諸問題

不祥事など

経済産業省審議官インサイダー取引事件

2018年4月11日、経産省情報システム厚生課係長が、偽造の健康保険証を示して携帯電話を購入し現金をだまし取ったとして、詐欺容疑で警視庁捜査2課に逮捕された。2016年9月下旬から同年12月中旬ごろにかけて、品川区内にある携帯電話販売店で、身分確認の際に偽造の健康保険証を提示し、携帯電話6台を詐取。携帯電話の購入契約に伴うキャッシュバック特典を利用することで、現金計約23万円をだまし取ったとしている[42]

2019年5月8日、経産省製造産業局自動車課の課長補佐が麻薬特例法違反(規制薬物としての所持)容疑で警視庁組織犯罪対策5課に逮捕された。後に覚醒剤取締法違反(密輸、使用)などで執行猶予判決が下された[43][44][45][注釈 10]

2021年4月23日、経済産業省大臣官房総務課国会連絡室の係長が、通常国会開会中の4月23日夕方、国会議事堂衆議院本館2階の女子トイレ個室を使用中だった女性を盗撮警視庁麹町警察署が捜査し、男性職員は犯行を認めた。衆議院はこの男性職員が国会内の通行証を持っているが、院内への立ち入りを認めないことを明らかにした[46][47][48]。同年8月19日、警視庁はこの職員を東京都迷惑防止条例違反容疑で書類送検した[48]。経済産業省はこの職員を停職9月の懲戒処分とした[49]

2021年6月25日、2019年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の影響で売り上げが減少した個人事業主らを対象とする、国の家賃支援給付金、約550万円を詐取したとして、経産省経済産業政策局産業資金課係長と同局産業組織課員の2人が詐欺容疑で警視庁捜査2課に逮捕された[50][51][52]


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