細胞性免疫
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CD4+ヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)は、2つの主要なカテゴリーに分類できる[4]
TH1細胞は、インターフェロンガンマとリンホトキシンアルファ(英語版)を産生する。

TH2細胞は、IL-4IL-5、IL-13(英語版)を産生する。

さらに、インターロイキン-17を分泌することに由来してその名がついた、Tヘルパー17細胞(TH17)という第3のカテゴリーも発見されている。

CD8+細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)は、2つの主要なカテゴリーに分類できる[4]
TC1 細胞

TC2 細胞

CD4+TH細胞と同様に、インターロイキン-17も分泌するTC17と呼ばれる第3のカテゴリーが発見されている。

自然リンパ球(ILC)については、3つの主要なカテゴリーに分類できる[4]
ILC1は、1型サイトカインを分泌する

ILC2(英語版)は、2型サイトカインを分泌する

ILC3(英語版)は、17型サイトカインを分泌する

細胞の発達

すべての1型細胞は、リンパ球系共通前駆細胞(英語版)(CLp、common lymphoid progenitor)から発生し、その後、リンパ球形成(英語版)の過程を経て、自然リンパ球共通前駆細胞(CILp、common innate lymphoid progenitor)とT細胞前駆細胞(Tp、T-cell progenitor)に分化する[4][5]

自然リンパ球共通前駆細胞は、その後、ナチュラルキラー前駆細胞(NKp、natural killer progenitor)または、ヘルパー様自然リンパ球共通前駆細胞(CHILp、common helper like innate lymphoid progenitor)に分化することがある。次に、NKp細胞は、IL-15(英語版)によってナチュラルキラー細胞に分化できる。CHILp細胞は、IL-15によってILC1細胞に、IL-7によってILC2細胞に、またはIL-7によってILC3細胞への分化が誘導される[4][5]

T細胞前駆細胞は、ナイーブCD8+細胞またはナイーブCD4+細胞に分化できる。ナイーブCD8+細胞は、IL-12にさらされるとTC1細胞にさらに分化でき、IL-4はTC2細胞への分化を誘導し、IL-1またはIL-23はTC17細胞への分化を誘導する。ナイーブCD4+細胞は、IL-12にさらされるとTH1細胞に、IL-4にさらされるとTH2細胞に、IL-1やIL-23にさらされるとTH17細胞に分化しうる[4][5]
1型免疫

1型免疫は、次のような細胞型の1型サブセットを使用する。TH1、TC1、およびグループ1 ILCは、インターフェロンガンマ腫瘍壊死因子(TNF)を分泌することによりマクロファージを活性化し、強力なエフェクター細胞へと変化させる。これは、細胞内細菌原生動物ウイルスに対する防御を行う。また、炎症自己免疫にも関与しており、関節リウマチ多発性硬化症炎症性腸疾患などの疾患はすべて1型免疫が関与していると考えられている。1型免疫は次の細胞で構成されている[4]

CD4+ TH1細胞

CD8+ 細胞傷害性T細胞(TC1)

T-Bet+インターフェロンガンマ産生 グループ1 ILC(ILC1およびナチュラルキラー細胞)

CD4+ TH1細胞

これらの細胞の特徴的なサイトカインは、インターフェロンガンマとリンホトキシンアルファ(英語版)であることが、マウスヒトの両方で明らかになっている。TH1細胞への分化を促す主なサイトカインは、パターン認識受容体の活性化に応反して樹状細胞が産生するIL-12である。T-bet(英語版)は、TH1細胞の特徴的な転写因子である。また、TH1細胞はケモカイン受容体(英語版)を発現して、炎症部位へ移動できることも特徴である。これらの細胞の主なケモカイン受容体はCXCR3A(英語版)とCCR5である。上皮細胞ケラチノサイトは、インターフェロンガンマに応反してケモカインCXCL9(英語版)、CXCL10、CXCL11(英語版)を放出することで、TH1細胞を感染部位に動員することができる。さらに、これらの細胞によって分泌されるインターフェロンガンマは、上皮性関門の密着結合ダウンレギュレートするのに重要な役割を果たしていると考えられる[4]

CD8+ TC1細胞

これらの細胞は一般的にインターフェロンガンマを産生する。インターフェロンガンマとIL-12は、TC1細胞への分化を促進する。T-bet(英語版)の活性化は、インターフェロンガンマと細胞溶解能の両方に必要である。CCR5CXCR3は、この細胞の主なケモカイン受容体である[4]

グループ1 ILC

グループ1 ILCは、転写因子T-bet(英語版)を発現している自然リンパ球(ILC)を含むと定義されており、当初はナチュラルキラー細胞のみを含むと考えられていた。その後、特定のマスター転写因子を発現するNKp46+細胞が多数発見され、ILC1と呼ばれるナチュラルキラー細胞の別系統として命名されるようになった。ILC1は、サイトカインの刺激に応答してインターフェロンガンマ、TNF、GM-CSF、およびIL-2を産生する能力を持っており、細胞障害能は低いか、まったくない特徴がある[4]
事例
HIVによる細胞性免疫の低下

ヒト免疫不全ウイルス(HIV;Human Immunodeficiency Virus)はCTLに感染し、その機能を低下させる。それによって、細胞性免疫を介した免疫力は著しく低下し、後天性免疫不全症候群(AIDS;Acquired Immunodeficiency Syndrome)と呼ばれる状態に陥る。
参照項目

免疫系

液性免疫 - 細胞性免疫とは対照的に、抗体によって媒介される免疫

免疫 (医学)

腫瘍免疫 - 癌細胞(自己)に対して作用する免疫機構

脚注^ a b Janeway, Charles; Travers, Paul; Walport, Mark; Shlomchik, Mark (2001). Immunobiology (5th ed.). New York: Garland Science. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-0-8153-3642-6. https://archive.org/details/immunobiology00char 


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