細胞分裂
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これらの染色体は細胞分裂の前に複製されて姉妹染色分体を形成していて第二減数分裂で分離される[14]。ヒトは二倍体であり、細胞は父親と母親からそれぞれ1本ずつ2本一組の染色体を持つ。ヒトの性細胞(配偶子)は減数分裂によって生成する。精子の場合、計2回の細胞質分裂が連続して行われ、それぞれが通常の半分の染色体数を持った合計4つの細胞を生成する。卵巣での卵子形成の場合は状況が異なり、分離された4組の染色体のうちの1組が大きな卵細胞に配置され、精子細胞からのDNAと結合する準備が整う。
真核生物の細胞分裂「世代交代」も参照

核を持つ真核生物の場合、細胞分裂の過程は、核を持たない原核生物よりも複雑である。ヒトのような高等動物の場合、ほとんどの細胞は親細胞と遺伝的に同一の娘細胞を形成する有糸分裂によって生成するが、重要な例外として、有性生殖のための単数体の配偶子(精子と卵細胞)は減数分裂によって形成される。有糸分裂と減数分裂とは、細胞のライフサイクルのある時点で、有性生殖の過程で行われる。どちらの分裂様式も、真核生物の最後の共通祖先に存在していたと考えられている。
真核生物の細胞周期真核生物細胞周期の模式図。(外円) 細胞周期は間期(I)と有糸分裂(M期)に大分される。(内円) 間期はギャップ1(G1), DNA合成(S), ギャップ2(G2)に分かれ、M期は有糸分裂と細胞質分裂に分かれる(図示なし)。静止期(G0)は細胞周期から脱出した非分裂状態である。詳細は「細胞周期」を参照

細胞が2つの娘細胞に分裂するまでに起こる一連の段階を細胞周期(: cell cycle)あるいは細胞分裂周期(: cell-division cycle)という。これらの段階には、遺伝情報を担うデオキシリボ核酸(DNA)の複製が含まれ、続く細胞質分裂と呼ばれる過程で、細胞質・染色体・その他の構成成分が2つの娘細胞に分割される。
間期

間期: interphase)とは、細胞が有糸分裂、減数分裂、細胞質分裂の前に必ず通る過程である[15]。間期は主にG1期、S期、G2期という3つの段階からなり、この間に細胞は細胞分裂の準備をする。
G1期G1期は細胞の成長期であり、DNA複製の準備のために特殊な細胞機能が起こる[16]。細胞のサイズが増大し、mRNAとタンパク質を合成し、後続の段階に備える。
S期S期: synthesis phase、合成期)では、遺伝情報を継続するために染色体が複製される[17]。ゲノムの正確な複製は細胞分裂に不可欠であるため、S期の過程は厳密に制御されている
G2期G2期の間、細胞は、有糸分裂が始まって紡錘体が合成されるM期に入る前に急速に成長し、タンパク質を合成して最終の成長段階を経る。



M期有糸分裂の段階 (左から右へ)
間期 (G?): 細胞は核分裂の準備をし、細胞分裂のための微小管を作るタンパク質が合成される。
前期: DNAを含むクロマチンが凝集して染色体を形成し、中心体が細胞の対極に移動する。
前中期: 核膜が破壊され、微小管が動原体に結合する。染色体は細胞の中期板に向かって移動する。
中期: 染色体は細胞の中央に並び、セントロメアで紡錘糸に結合する。
後期: 姉妹染色分体は個々の染色体に分離し、引き離される。
終期と細胞質分裂: 染色体は凝縮を解除し、新しく形成された核膜に囲まれる。細胞質分裂は一般的に終期と重なる。

M期: mitomic phase、有糸分裂期)は細胞の種類によって有糸分裂か減数分裂のどちらかが行われる。生殖細胞(または配偶子)では減数分裂を行い、体細胞では有糸分裂を行う。M期を正常に進行した細胞は、続く細胞質分裂によって分裂することができる。
有糸分裂
前期前期: prophase)は細胞分裂の最初の段階である。この段階は核膜が破壊され始め、クロマチンの長い鎖が凝縮して染色体と呼ばれる、より短く目に見える鎖が形成され、核小体が消失し、2つの中心体から有糸分裂紡錘体が形成され始める[18]。染色体の整列と分離に関与する微小管は、紡錘体および紡錘糸と呼ばれる。染色体は顕微鏡でも見ることができ、セントロメアで結合している。減数分裂においては、この凝縮と整列の時期に、相同染色体が同じ部位で二本鎖DNAの切断を受け、その後、断片化した親DNA鎖が非親DNA鎖の組み合わせに組み換えられる(乗換えと呼ばれる)[19]。この過程は高度に保存されたSpo11タンパク質によって引き起こされ、DNA複製や転写に関与するトポイソメラーゼと同様の機構であることが知られている[20]
前中期前中期: prometaphase)は細胞分裂の第二段階である。この段階は、核膜が完全に破壊され、さまざまな構造が細胞質に露出することから始まる。この破壊によって、中心体から伸長する紡錘体が、姉妹染色分体上の動原体(キネトコア)に結合できるようになる。紡錘体が姉妹染色分体上の動原体と確実に結合することで、後期の段階で染色体を誤りなく分離できるようになる[21]
中期中期: metaphase)では、染色体のセントロメアが、2つの中心体極から等距離にある仮想上の線である中期板(赤道板とも呼ぶ)の上に整列し、コヒーシンと呼ばれる複合体によってつなぎ止められる。微小管形成中心(MTOC)が両染色体のセントロメアを押し引きすることで、染色体は細胞の中央に移動して整列する。この時点で染色体はまだ凝縮中であり、最もコイル状に凝縮する一歩手前にあり、紡錘糸はすでに動原体に結合している[22]。この時期は、動原体を除くすべての微小管は、後期への進行を推進する不安定な状態にある[23]。この時点で染色体は、それらが結合している紡錘体に向かって細胞の対極に分裂する準備が整う[24]。中期にある紡錘体チェックポイントは、各染色体が紡錘体に正しく結合するまで後期への移行を阻止する。


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