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唐紙

唐本には竹紙が多く用いられている[21]。紙は和紙・洋紙・唐紙に分類されることがある。
板紙詳細は「板紙」を参照

紙の中で、主に包装用に使われる厚い紙を板紙(ボール紙)という。紙は和紙・洋紙・板紙に分類されることがある[6]
経済産業省による分類さまざまな紙製品包装用紙の例

経済産業省(旧通産省)では1948年以来、紙・板紙・パルプの品種分類を所管しており、「生産動態統計分類」で紙を分類している。2002年以降の分類は次の通り。

新聞巻取紙 -
新聞に使用される新聞紙のこと。「新聞用紙」とも呼ばれる。

印刷・情報用紙 - 印刷用紙は印刷されることを前提とした紙を、情報用紙は情報システム用の紙を指す。経済産業省の分類では、以下の5つに分類されている。

非塗工印刷用紙 - 表面を顔料などで塗工していない印刷用の紙。ただし、筆記性や表面強度を改善するため、デンプンなどの薬品が表面に塗布されることも多い。化学パルプの使用割合により、上級印刷用紙(100%、上質紙)、中級印刷用紙(40%から100%、中質紙および上更紙)、下級印刷用紙(40%未満、更紙)に分類される。辞書本文などに使われるインディア紙などの薄葉紙も含まれる。

塗工印刷用紙 - 上級印刷用紙や中級印刷用紙を原紙とし、表面に塗料を塗布した印刷用紙。塗料の量などにより、アート紙・コート紙・軽量コート紙などに分類される。詳細は塗工紙を参照。

微塗工印刷用紙 - 1987年ごろに登場した比較的新しい品種で、塗料の量が塗工印刷用紙よりも少ない。

特殊印刷用紙 - 色上質紙・官製はがきなどを指す。

情報用紙 - コピー用紙インクジェット用紙ノーカーボン紙感光紙感熱紙などを指す。


包装用紙 - 印刷用紙より強度があり、包装紙封筒に使用される紙である。未晒し包装紙は漂泊されておらず茶褐色。重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙などの種類がある。晒し包装紙は晒しクラフトパルプが原料で、純白ロール紙、晒しクラフト紙などの種類がある。

衛生用紙 - ティッシュペーパートイレットペーパー紙おむつ生理用品などの用途に使用される吸水性を持つ紙である。

雑種紙 - 工業用と家庭用に分類される。トレーシングペーパー合成紙・絶縁紙・剥離紙・ライスペーパー(紙巻きたばこの巻紙)・書道用紙などが該当する。

紙の歴史詳細は「紙の歴史(英語版)」を参照
紙発明以前

紙が発明され普及する前から、人間は世界各地でさまざまなものを文字などを筆記する媒体として利用してきた。例えば、次のものが知られている。

筆記媒体地域説明
世界各地人類は伝えたい内容や切なる祈りを絵や文字として、石に刻んだ。自然の洞窟や断崖の壁面、人工的に切り出した石塊、または持ち運びできる小さな石など。万人が閲覧できる状態であったであろうものから、自分のために書かれたであろうものまで、その用途は様々である。摩耗・風化などはあるが石は保存耐性が高いため、数百もしくは数千年を経てなお今日でも読むことができるものが世界各地に存在する。これとは別に、当時の金属製品や土器に刻まれた文字もある。
粘土板古代メソポタミア泥を、板の形にして干したもの
パピルス古代エジプト
のち西アジア・ヨーロッパパピルス(植物)の幹を薄く削ぎ、直角に交叉させ[23]、おし叩いて接着したもの。なお、「papyrus」は英語で紙を意味する「paper」の語源となっている。誤解されがちだが、古代エジプトはパピルスだけを使用していたのではなく、樹皮・粘土・木材・金属・陶器など、滑らかな表面を持つものは全て、文字を記すために使われた。
オストラコン古代ギリシャ古代エジプト主に陶器の破片を利用したもの。少ない文言のメモから、長文のものまで存在した。エジプトでは「シヌヘの物語」や「夢のオストラカ」が書かれた長文も出土する。ギリシャでは政治家の信任投票に使われたことで著名であり、陶片ではなく投票記入専用のオストラコンが製造された。その投票「陶片追放」(オストラキスモス)の語源でもある。
羊皮紙西アジア・ヨーロッパ動物の皮を筆記用に加工したもの。羊・仔牛・山羊・鹿・豚の皮革を原材料にしたもの[24]
貝多羅葉(貝葉)インド、東南アジア主に椰子の葉を筆記用に加工したもの。写経などに使われた。かさばるため、大量の筆記には不向き。
アマテ中南米
アステカマヤオルメカ文明など)Ficus insipidaなどのクワ科やイチジク属の木の樹皮を煮て石で叩き伸ばし、のち整形したもの。
その他樹皮各地東南アジアではの樹皮が写経などに使われた。欧州北部ではシラカバの樹皮が用いられた。
木簡竹簡経木中国・朝鮮・日本木や竹を、で筆記できるように細長い板にしたもの。風雨や衝撃に対して紙より丈夫であり、また削って再利用できる利点があることから、紙が普及してからも荷札などで便利に使われた。
帛書中国・朝鮮・日本絹の布。高価なため希少であり、のちには高級な書や工芸品に使用された。格下の用途としては木綿布や麻布も使用された。

中国での紙の発明と改良中国、放馬灘で発掘された初期の紙の断片。地図が描かれているとされる。

世界最古の紙は現在、1986年に中国甘粛省の放馬灘(ほうばたん)から出土した「放馬灘紙」だとされている[3]。この紙は、前漢時代の地図が書かれており、紀元前150年ごろのものだと推定される。次いで古いのは、紀元前140年?87年ごろのものとされる?橋紙(はきょうし)である。?橋紙は陝西省西安市?橋鎮で出土した。こちらは銅鏡を包む状態であったため、養生目的の梱包ないしは装飾目的の包装包装紙)に使用されていたと推測される。

史書に残された記録では『後漢書』で、105年蔡倫が樹皮やアサのぼろ、漁網などを使って紙を作り和帝に献上したという内容の記述がある[22]。蔡倫による紙は「蔡侯紙」として用いられるようになったことから、蔡倫は実用性のある紙の製造法を確立した人物という説が一般的である[22]西晋の時代(3世紀)には、左思の『三都賦』を写すために紙の価格が高騰したという記録が『晋書』に記載されており、「洛陽の紙価を高からしむ」という故事成語になっている。

紙はその後も改良され、時代(8世紀)には樹皮を主原料とした紙や、竹や藁を原料として混ぜた紙が作られるようになった。の時代(10世紀以降)には、出版が盛んとなったため大量の紙が必要となり、竹紙が盛んに作られた。明末の1637年に刊行された『天工開物』には、製紙の項目で、竹紙と樹皮を原料とした紙の製法を取り上げている。

紙は羊皮紙や絹に比べれば安かったが、それでも上流階級を中心に広く使われる高価なものであった。11世紀の詩人であった蘇舜欽は、自分が勤めていた役所で出た反古紙(書き損じの使い物にならない紙)を売って、その代金で宴会を開いたために横領で糾弾されている。反古紙であっても高値で取引されていた様子がうかがえる。清の雍正帝(第5代皇帝)は質素・倹約を掲げていたので、重要な公文書などでない限り、紙は裏返して使うように勧めていた。
日本への伝播

製紙技術は中国から7世紀までに伝えられた。この技術が改良され、「和紙」となった。

布・楮・三椏・麻・梶・桑・雁皮など、材料は色々工夫され、用途に合わせて様々な品質の紙が製造された。しかし日本においても紙は高価であり、ゆえに日本各地の特産物として生産された。一方、紙の再利用も行われており、使用後に裏紙部分に再度筆記(紙背文書)したり、漉き直しつまりリサイクルして使用された。漉直しの紙は「漉返紙(宿紙、紙屋紙)」と呼ばれた。朝廷では図書寮紙屋院でこの作業が行われており、このリサイクル紙は朝廷の正規の文書でも略式命令(綸旨など)などの場合には使用された。

欧州から「洋紙」が入ってくるのは安土桃山時代以降、洋紙の本格的な製造は明治時代以降となる。


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