紙芝居
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主な販路は保育園、幼稚園、図書館となり、出版紙芝居の対象年齢、作品内容にも影響していった[12]

1969年(昭和44年)、童心社を退いた稲庭桂子らが「子どもの文化研究所」(初代所長・城戸幡太郎)を設立、新しい文化運動が始められた[11]。児童書、絵本出版の隆盛、発展の中、紙芝居は盛んとは言えない状況ではあったが、子どもの幸せを願う作家・画家たちの協力を得て、紙芝居出版は数社により継続されていった[13]

1980年代、まついのりこは、『おおきく おおきく おおきくなあれ』[注 2]をはじめ、紙芝居ならではの「観客参加型」紙芝居を多く創作し、紙芝居とは何かを追求した。1998年(平成10年)、紙芝居初の理論書『紙芝居・共感のよろこび』[注 3]が出版され、童心社企画の講座「出前紙芝居大学」が、各地で開催されていった。それらを土台に、2001年(平成13年)「紙芝居文化の会」(初代代表・まついのりこ)が創立され、新しい紙芝居運動が始められた[13][14]

近年、紙芝居は保育園、幼稚園をはじめ、高齢者施設、病院、学校など様々な場所で演じられており、あかちゃん紙芝居から高齢者向け紙芝居まで、対象年齢、内容とも多種多様な紙芝居が各社から出版されている[13]

安曇野市中央図書館の紙芝居コーナー

子供たちが先生の紙芝居に観入る様子

また、1946年(昭和21年)頃から復活した街頭紙芝居は人気を集めたものの、エロ・グロ描写によりたびたび問題とされるようになる。やがてテレビが普及すると街頭紙芝居は姿を消していく[6]。このため戦前?戦後の街頭紙芝居作品の現物は、現在では貴重なものとなっている。神奈川県横浜市では市の博物館に保管した2700巻近い紙芝居作品について、2015年(平成27年)と2018年(平成30年)に市指定有形民俗文化財に指定し歴史的資料として扱っている[15]
手づくり紙芝居

1980年(昭和55年)、神奈川県で「手作り紙芝居コンクール」が開始される。当初は神奈川県立図書館等を中心にした主催だったが、現在は「紙芝居文化推進協議会」に移っている。1989年には「箕面紙芝居まつり」が始まり、様々な地域で手作り紙芝居コンクールが行われるようになった[2]
海を越えるKamishibai

紙芝居は1990年代以降、ラオスベトナムをはじめとして海外に紹介され、作られ楽しまれるようになってきている[16]。また、国際協力NGOのジョイセフなどを通じてタンザニアの村にてエイズ教育活動に紙芝居が用いられている[17]

紙芝居文化の会は、創立当初より海外との交流を進め、2002年(平成14年)よりフランス、ドイツ、スイス、スペインをはじめ[18]アジア・オセアニアなど多数の国と地域で講座や発表を行っている[19]。2012年(平成24年)には紙芝居文化の会とフランスの「小さな丸い図書館」が、パリ・ユネスコ本部会議室にて「ヨーロッパ紙芝居会議」を共催。フランス・オランダ・ドイツ・スペイン・スイス・デンマーク等から2日間で延べ130名以上が参加した交流が行われた[20][21][22]。その後も海外での講座は続き、近年は中国・マレーシア・ペルー・メキシコ・チリ・コロンビア・ベルギーなどへも紙芝居は広がっている。紙芝居文化の会は、国内外への紙芝居普及活動を続け、国内570、海外304、世界54の国と地域に会員のいる団体となっている[23]

バ=ラン県立図書館(フランス語版)での紙芝居

ドイツで紹介された紙芝居

手作り平和紙芝居

平和への願いをこめた紙芝居は多く出版されているが、2006年(平成18年)に平和紙芝居『二度と』[注 4]はドイツ・ミュンヘン国際青少年図書館の企画展「ハロー・ディア・エネミー/平和と寛容の国際絵本展」に、世界23の国と地域の絵本80作品中唯一の紙芝居として選ばれ、世界を巡回、展示、実演された[24]

伊豆市妙蔵寺の住職である佐冶妙心は、手作りの紙芝居を使って平和の尊さを語り続けており、日本国内外で講演を続けている。2010年5月にニューヨークで開催された核拡散防止条約会議でも紙芝居を読んだ[25]
新しいメディア
電気紙芝居
テレビは登場当初「電気紙芝居」と揶揄されたが、音と動きに溢れた映像が小遣いをはたかなくても見られる「テレビ」は人々の耳目を集め、子供たちの紙芝居離れをさそった。
漫画・アニメ:
紙芝居の手法は漫画を通じて、日本のアニメに引き継がれている。
白土三平水木しげる小島剛夕も漫画を描く前は紙芝居の画を書いていた。
電脳紙芝居:
「紙」ではなくパソコン上の「静止画像」をもちいて筋書きを文字、または音声で伝える形式を「電脳紙芝居」と呼ぶことがある。「絵説き」には違いないが、従来の紙芝居とは異なり、演じ手と観客との直接交流は無い。
紙芝居の作り方

最初に筋を練り、構成を考える。

横に抜く動きを計算して絵を配置する

絵に変化をつける

遠目でもわかるように輪郭を墨ではっきり

色鉛筆では弱いので、絵の具で彩色する

擬音や動きの線は書き込まず、演じることで伝える

実際に演じて観客の反応を見て、必要なら構成や絵を練り直す

紙芝居に関わる人々・団体

稲庭桂子:「教育紙芝居の母」。民主紙芝居協会などで活動。

中川正文:現代紙芝居協会代表。

いわさきちひろ:水彩画による児童画を得意としているが、画家としてのデビューは紙芝居作家だった


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