1970年代、CAM(コンピュータ支援製造)装置は紙テープを使用したものが多かった。例えば、ワイヤラッピングマシンでは紙テープが重要な記録媒体だった。紙テープ読取装置はパンチカードや磁気テープの読取装置より小型で安価だった。そういった装置で長期間何度も使える鑽孔テープとしてマイラーフィルムを使ったテープが発明された。
暗号紙テープ読取装置KOI-18
1917年に発明されたバーナム暗号では、紙テープをよく使用した。1960年代以降、アメリカ国家安全保障局 (NSA) は暗号の鍵を鑽孔テープの形で配布していた。8穴の紙テープを厳密な管理下で配布し、携帯型のKOI-18などのデバイスを新たな鍵を必要としているセキュリティ装置に一時的に接続し、紙テープを読み取らせて鍵を入力する。今ではNSAはより安全な電子鍵管理システムを採用したが、紙テープも未だに使われている。 紙テープには次の3つの大きな問題があった。 一方、紙テープには次のような利点がある。 包装や飾り付け、またくす玉(割り玉)の中身に貼り付けたりする。これらの用途では様々な色や模様のものが用いられる。小型のものはクラッカーの中にも含まれる。 巻かれた状態の紙テープの端を持って勢いよく投げると、長く伸びたテープが宙を舞い、色鮮やかに見せることができる。(市販される紙テープは硬質の芯が入っているため、重りとなり遠くまで飛ばすことができる。)昭和期には、これを「紙テープ投げ」と称し、応援などの演出に盛んに用いられた。 昭和期の船の出港の見送りの際、デッキの乗客が岸壁の見送り客に向かって紙テープ投げを行い、惜別を表現することがあった。駅のホームでの見送りの際にも行われることがあったが、車両の床下機器や電化区間の駅にあっては架線にも絡みつくおそれがあるため、鉄道事業者の側から禁止されるようになった[10]。プロレスラー(杉浦貴)に投げ込まれる紙テープアポロ11号の宇宙飛行士の帰還記念パレードを迎えるためにシカゴの高層ビル街に舞う紙テープや紙吹雪。もとはティッカー・テープという株価の通信の記録用紙テープを金融会社などの社員が投げ落としたため、ティッカー・テープ・パレードと呼ばれる 昭和期の歌手のコンサートやプロレスの試合の際にも紙テープ投げは盛んに行われ、観客はステージやリングに向かって紙テープ投げを行うことにより、応援の意を表現した。紙テープで埋め尽くされたステージはスター芸能人のアイコンでもあったが、芸能人は大量に飛来するテープの芯を巧みに回避しなければならなかった。1973年には、イベントに出席していた由紀さおりの額にテープの芯らしきものが当たり、5針縫うケガをした事例もあった[11]。こうした事故を防ぐため、主催者からテープを投げる際には、あらかじめ芯を外すよう指示が出る場合もある。 プロレスにおいては各選手のイメージに合わせた紙テープを投げるのが一般的である。例として松本浩代の場合は出身地の神奈川県平塚市を走るJR東海道線の色にちなんだ湘南電車カラーが使われる。但し新日本プロレスなど一部団体の主催興行、板橋区立グリーンホールやレッスル武闘館など一部の会場及びバトルロイヤルやデスマッチなど一部特殊な試合形式では、紙テープの投げ入れを全面的に禁止しているケースもある。また2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生に伴う燃料供給事情悪化を考慮し、プロレスリングWAVEでも紙テープの投げ入れを一時的に規制した。2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大防止のためほとんどのプロレス団体で紙テープ投げ入れ禁止にしている。 ステージを埋め尽くし絡みついた紙テープは移動の妨げになる上、テープの撤去作業の手間に加えて大量のごみを生み出すため、平成期は紙テープ投げが忌避される傾向にある。 英語ではこの用途の紙テープを "paper tape" ではなく "paper streamer" と呼ぶ。 電子部品などの基板用部品を取付ける実装機に部品を供給するために使用される。 段ボールなどの梱包用として片面に糊、あるいは粘着材を塗ったものは一般にガムテープと呼ばれる。
制約
信頼性が低い。鑽孔テープを機械で複写した場合、人手で正しく複写されたか確認することは日常茶飯事だった。
テープの巻き戻しが難しく、問題を発生しやすい。テープを引き裂かないよう注意が必要だった。巻いた形ではなく折り目のある連続紙の紙テープを採用したシステムもあり、その場合は巻き戻しの必要がない。
情報密度が低い。数十キロバイト以上のデータを紙テープに記録しようとするとあまりにも長いテープが必要となり、現実的でない。
何度も繰り返し使用したり、乱暴に取り扱うと、ちぎれたり擦り切れたりして、全て、あるいは一部が読み取れなくなる可能性がある。
利点
寿命が長い。同時期の磁気テープは多くが経年劣化で強度が落ちて破損しており、その中のデータは取り出せなくなっている。しかし紙テープは、中性紙やマイラー(ポリエステルフィルム)を素材としていれば、数十年経っても問題なく読み取れる。ただし、材質によっては紙テープもすぐに劣化する。
目視で読み取り可能である。そのため、切れたテープも全ての位置に穴を開けたテープ断片を使えば、修復可能である。はさみと糊と穴あけ用器具を使えば、手作業で紙テープを編集することも可能である。
強い磁場に置かれても影響を受けない。機械加工の現場では強力な電動機をいくつも使用するので、CNCシステムでは磁気テープではなく紙テープでデータを供給していた[9]。
廃棄が容易である。暗号の鍵として使用する場合、使用済みの紙テープはすぐに燃やしてしまうことができる。
記録媒体以外の紙テープ
装飾・演出用出港する船(砕氷艦「しらせ」)から渡される紙テープ
その他
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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