紙の月
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精神科医の斎藤環はその、「日常のリアルな描写がこのミステリーを支えており、不倫や犯罪には共感できずとも、こうした描写が“刺さる”読者は、男女を問わず少なくないはず」と分析[8]。そして、「本作の最大のミステリーは梨花の“欲望の正体”」であり、「梨花にとっては不倫も横領もボランティアと同じ“倫理性”の発露に過ぎず、彼女の逃亡は、後悔や罪悪感とはいっさい無縁の疾走である。ラストシーンの爽快感は、映画『テルマ&ルイーズ』のそれに匹敵する。」と述べた[8]
書籍情報

単行本:
角川春樹事務所2012年2月29日ISBN 978-4-75841190-5

文庫本:ハルキ文庫2014年9月13日ISBN 978-4-75843845-2、巻末解説:吉田大八[9]

映画化を記念し、文庫本には宮沢りえの帯がつけられた。[9]


テレビドラマ

紙の月
ジャンル
テレビドラマ
原作角田光代
脚本篠崎絵里子
演出黛りんたろう
一色隆司
出演者原田知世
水野真紀
西田尚美
満島真之介
ミッキー・カーチス
冨士眞奈美
光石研
エンディングマイア・ヒラサワ「子守唄」
時代設定1994年 - 1995年
製作
プロデューサー大越大士
制作NHK

放送
放送国・地域 日本
放送期間2014年1月7日 - 2月4日
放送時間火曜日22:00 - 22:48
放送枠ドラマ10
放送分48分
回数5
公式サイト
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2014年1月7日より2月4日まで全5回、NHK総合テレビジョンドラマ10」枠にて放送[10]。主演は原田知世2011年度の連続テレビ小説『おひさま』以来のNHKドラマ出演となり、病弱だが優しく美しいヒロインの母親役から一転して今作ではある出会いをきっかけにパート先の銀行から1億円を着服して海外に逃亡してしまうという役どころに挑戦する[11]。脚本は同局のドラマ『胡桃の部屋』や『眠れる森の熟女』を手掛けた篠崎絵里子[10]
製作・撮影

6月末からタイチェンマイで撮影が始まり、まず冒頭とラストシーンを撮影[12]。以後、東京都内や近郊で撮影が行われ、8月下旬にクランクアップ[10]。11月22日に試写会と記者会見が行われ、出演の原田知世、西田尚美、脚本の篠崎絵里子、エグゼクティブプロデューサーの海辺潔、プロデューサーの近藤晋が出席した[13]。原田は、出会った若い男性のために会社から1億円を横領してしまうという主人公・梨花の行動について[14]、撮影を終えた後でも「私は梨花のようになることはないですね」と断言するくらいその心理は理解し難く[15]、ギリギリまでどう演じるのか分からず毎日監督と相談し、悩みながら撮影したことを明かした[16]買い物依存症の亜紀を演じた西田尚美も、そんな原田演じる梨花を見て、「この人は何を探してるんだろう?と苦しくなった」と告白し、それは一緒に作品を鑑賞した自分の夫も同意見だったと話した[16]。また、西田は原田と高校時代の親友という設定でありながら、久々に会ってカフェで話をするという第1話のたった1シーンでしか共演できず[13]、「あっというまで残念。でも『時をかける少女』で育った世代でありとても嬉しい。原田さんかわいかったな」と、会見や自身のtwitterで共演の喜びを明かした[13][17]。原作の著者である角田光代も完成したドラマを見て、「自分が書いたものよりももっと深い恋愛の物語になっている」「原田知世さん演じるまじめな梨花の、透明な孤独感と空虚感に胸が痛んだが、一段と恋愛について深く考えざるを得ないドラマにしてもらえて幸せ」という感謝の言葉を述べている[1]
キャスト

人物詳細は原作部分を参照。本項目では簡単な続柄を記載。
主要人物
梅澤 梨花
演 -
原田知世[18](高校時代:前田希美[19])正文の妻。わかば銀行すずかぜ台支店渉外担当。
平林 光太
演 - 満島真之介孝三の孫。映画監督志望の大学生。
岡崎 木綿子
演 - 水野真紀(高校時代:相楽樹)梨花の聖マティアス女子学院時代の同級生。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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