納豆(なっとう)は、煮る・蒸すなどして柔らかくした大豆を発酵させた発酵食品。蒸し大豆を適温の中で納豆菌を繁殖させて発酵させた「糸引き納豆」と、蒸した大豆にこうじ菌を接種して塩水にひたして発酵させてから乾燥させた「塩辛納豆」の二種がある[3]が、一般的に「糸引き納豆」を指す[4]。菓子の一種である甘納豆とは異なる。世界各国に類似の食品が存在する(後述の「アジア」「アフリカ」参照)。 大豆を納豆菌で細菌発酵(「臭気」を参照)させた発酵食品で、多数の栄養素をバランス良く含む健康食品でもある。和食の基本的な食材の1つとして、日本全国の食品売り場で1年を通して安価(65 - 100円程度[5])・容易に入手できる。低コストでありながら高い健康効果が得られるが、特有の癖があるため、人により好き嫌いは分かれる。高い健康効果があるとは言え、1日当たりの摂取量は1パック(40 - 50g程度[6])が適量であるため、食べ過ぎには注意が必要である[7]。食べ過ぎた場合、婦人科疾患や痛風などで健康を損なう場合がある[8]。 「納豆」「納豆汁」などは冬の季語である[注釈 1]。一方で、7月10日が「納豆の日」とされている[9]。これは1981年、関西での納豆消費拡大のため、関西納豆工業協同組合がなっ (7) とう (10) の語呂合わせで制定したものであり、1992年、全国納豆工業協同組合連合会が改めて「納豆の日」として制定した。 納豆の発音が、納の呉音の慣用的発音である「ナッ」と、豆の漢音である「トウ」を合わせたものであり、呉音は仏教関係の語の発音に多く用いられている点から、寺院を通じて伝来したという説もある[10]。平安時代中期の『新猿楽記』の中で「精進物、春、塩辛納豆」とあるのが初見で、この『新猿楽記』がベストセラーになったことにより、納豆という記され方が広まったとされる。また、納豆は精進料理として主に禅寺の納所(なっしょ、寺院の倉庫)で作られた食品で、これが名前の由来という説が『本朝食鑑』(1697年刊)という書物に載っている[11]。納所に勤めていた僧侶が納豆作りをしていたので、納所の字をとって「納豆」になったという。ただし『本朝食鑑』では、禅の伝来以前に『新猿楽記』に名があることから寺社起源説には疑問符をつけている[12]。 その他の説としては、壺などに納めた、将軍に納めた、神様に納めたなど、「納めた豆」から納豆と呼ばれるようになったというものがある[13][14]。また、伝統的な糸引き納豆は、大豆を煮たのを冷まして、稲藁を束ねた「苞(つと)」とよばれる包みの中に入れて製造された[15]ことから、稲藁に納めた豆で「納豆」と呼ばれるようになったという説もある。 「本来は豆を腐らせた(発酵させた)ものが豆腐、型に納めたものが納豆だったが、両者が取り違えられた」という名称の由来が語られることがあるが、これは誤った俗説である[16]。
概要
名称