納豆
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

近年では、植物を得るのが困難になったり、簡単に作れるという理由からプラスチック袋が増え、段ボールや新聞紙を使う地域もある[注釈 11][124][123]。傾向として、シダ類やイチジク属の葉を使うヒマラヤ地域やミャンマーのカチン州では粒状の納豆が多く糸引きが強い。チーク属やサラノキ属の葉を使うミャンマーのシャン州やタイ北部では、乾燥したせんべい状の納豆が多く、粒では糸引きが弱い[125]
各地の納豆系食品

中国 - 雲南省の
苗族は大豆から豆?や水豆?と呼ぶ納豆を作る。北部の豆?は浜納豆に近いもので、麹カビと塩で熟成させる。南部の豆?は褐色でより水っぽい[126]。過去には、布とシダの葉で包んで仕込んで作っていたという[127]。豆?は生食の習慣もあり、醤油、ネギ、唐辛子と混ぜて米飯にかけて食べる[128]。干豆?は唐辛子やネギと炒め物にもする[129]

インド - 納豆がある地域は、チベットから南下した民族や、タイやミャンマーから西に移動してきた民族が多い[130]。ネパールに近いシッキム州やダージリン県(英語版)ではキネマが作られており、仕込みにはシダの葉を使っている[131]。他にナガランド州のザーチェイ、フクマタ、アクニ、マニプル州のハウアイザール、アーンドラ・プラデーシュ州のペルヤン、チュクチョロなどもあり、ナガランド州には15の民族があり納豆の呼称は19種類ある[132]

インドネシア - テンペと呼ばれる食品があり、大豆を煮てテンペ菌(クモノスカビ)で発酵させてブロック状にする。そのまま食べたり煮物、揚げ物などに調理する。インドネシアでは、大豆の他にもナタマメギンネムなどの有毒な豆をテンペ加工して食用とする[133]

ネパールブータン - キネマと呼ばれる[131]。ブータン東部ではリビイッパ(リビは大豆を指す)、ネパール東部ではバタマス・ゴエン(バタマスは大豆を指す)とも呼ぶ[134]。煮た大豆を臼と杵で搗き、灰をかけたバナナの葉を竹籠に敷いて豆を詰めて発酵させる[135]。バナナの他にパパイヤの葉やプラスチック袋なども使う[136]。料理では、生の納豆は唐辛子をはじめとするスパイスと炒めてカレーにする。乾燥した納豆はトマトや唐辛子と混ぜて漬物のアチャールにする[137]ダルバートのカレーや、タルカリ(おかず)に入れる[138]。ブータン東部には数ヶ月や1年以上保存する納豆があり、麹やチーズで仕込み、調味料や家畜の薬とする[139]。イギリスに勤務したグルカ兵もキネマを食べる[140]

タイ - 北部のシャン族を中心に、トゥアナオまたはトナオ(Thua-Nao)という加工食品を作る。トゥアは豆、ナオは臭いを意味する[141][142]。仕込みには、過去にはフタバガキ科の樹木の葉を使っており、樹木の減少によってバナナの葉やプラスチック袋を使うようになった[143]。トゥアナオは形状で3種類に分けられ、トゥアナオ・ケップ、日本の納豆に似た糸を引く粒納豆のトゥアナオ・サ、ブロック状のトゥアナオ・ウがある。トゥアナオ・ケップは、ゲーン(汁物)やカノム・ジーン(米麺)の具にする[144]。トゥアナオ・サはトゥアナオ・メッ・コーという炒め物や、ソースのナムプリック・トゥアナオ、ナムプリック・オーンに使う[145][146]。ひき割り状のものはナムプリックに混ぜて餅米につけて食べ、蒸してペースト状にしたり焼いたりして食べる。農民の野良仕事の日常食でもある[147][148]。トゥアナオ・ウは調味料として使い、粉末にした納豆はトゥアナオ・ポンとも呼び、茹でた野菜などにつける[149]

ラオス - トゥアナオを作る。せんべい状の乾燥したトゥアナオ・ペーン、粒状のトゥアナオ・メット、ひき割り状のトゥアナオ・ムン、味噌状の納豆がある[150][151][152][153]。生産ではプラスチック袋が多く使われ、植物の葉を使う際にはラーオ語でバイ・トンチンと呼ぶフリニウム属(英語版)の葉を使い、バナナやカンナの葉も代用にする[154]
次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:171 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef