もみじ(旧仮名遣い、もみぢ)は、上代語の「紅葉・黄葉する」という意味の「もみつ(ち)」(自動詞・四段活用)が[5]、平安時代以降濁音化し上二段活用に転じて「もみづ(ず)」となり[6]、現代はその「もみづ(ず)」の連用形である「もみぢ(じ)」が定着となった言葉である[7]。
上代 - もみつ例
「子持山 若かへるての 毛美都(もみつ)まで 寝もと吾は思ふ 汝は何どか思ふ (万葉集)」「言とはぬ 木すら春咲き 秋づけば 毛美知(もみち)散らくは 常を無みこそ (万葉集)」「我が衣 色取り染めむ 味酒 三室の山は 黄葉(もみち)しにけり (万葉集)」
平安時代以降 - もみづ例
「雪降りて 年の暮れぬる 時にこそ つひにもみぢぬ 松も見えけれ (古今和歌集)」「かくばかり もみづる色の 濃ければや 錦たつたの 山といふらむ (後撰和歌集)」「奥山に 紅葉(もみぢ)踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき(古今和歌集)」
秋口の霜や時雨の冷たさに揉み出されるようにして色づくため、「揉み出るもの」の意味(「揉み出づ」の転訛「もみづ」の名詞形)であるという解釈もある。紅葉狩り(京都・常寂光寺)
もみじ(紅葉、黄葉)狩り「もみじ狩り(英語版
日本では、紅葉の季節になると紅葉を見物する行楽、紅葉狩りに出かける人が多い。紅葉の名所と言われる場所、例えば奥入瀬(青森県)や日光(栃木県)、京都の社寺などは、行楽客であふれる。紅葉をめでる習慣は平安の頃から始まったとされ、特に京都市内では多くの落葉樹が植樹されている。また、「草紅葉」の名所としては四万十川や尾瀬、秋吉台等がある。「狩り」という言葉は「草花を眺めること」の意味をさし、平安時代には実際に紅葉した木の枝を手折り(狩り)、手のひらにのせて鑑賞する、という鑑賞方法があった。
実際に枝を折り取って持ち帰る行為は森林窃盗罪となる。
英語圏では、Leaf peepingと呼ばれ、秋に紅葉を目当ての観光が行われる[8]。またフィンランドでは、ハイキングなどとともに紅葉を楽しむRuskaretki が行われる[9]。 大阪府箕面市では、「もみじの天ぷら」がお菓子として定着している[10]。 日本において、古来より紅葉は和歌をはじめ、様々な芸術の題材となっている。関連項目の項を参照。 紅葉紋は、日本では家紋や社寺の紋にも使用されている。上流公家の菊亭家の家紋や一族の由縁の施設の浄土真宗真宗山元派本山の證誠寺の寺紋、日蓮宗大本山の本圀寺の寺紋が代表格である。同様に三つ紅葉の寺紋の使用例は真言宗醍醐派大本山の転法輪寺寺紋や真宗興正派の勝覚寺寺紋である。歌舞伎一門の瀧乃屋市川家の四つ紅葉紋も存在する。 複数の紅葉の葉が配置された家紋の『三つ紅葉』や『四つ紅葉』の場合は基本、外側に葉の頭がある紋様を指す。一方『頭合わせ三つ紅葉』と呼ばれる葉の頭が内側の紋様は使用例が非常に少ない。 紅葉や黄葉が色づき始めるのに、日最低気温8℃以下(広葉樹)が必要。さらに5℃以下になると一気に進むとされる。美しい紅葉の条件には「昼夜の気温の差が大きい」「平地より斜面」「空気が汚れていない」「適度な水分」など光合成が行いやすい条件が必要である。紅葉の名所には上記の条件をよく満たす高原、渓谷、標高が高い湖沼・滝周辺にみられる。
夜間に鑑賞する目的でライトアップされた紅葉の例(福島県・白水阿弥陀堂)
もみじの天ぷら
芸術作品
文様
折敷に一つ紅葉紋
四つ紅葉
丸に頭合わせ三つ紅葉
日本国内の主な紅葉の名所
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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