紅茶
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反面、煮詰める段階で香りは飛んでしまうので、英国式と違い香りは重視されない[27]

一人分ずつ供されたジャムをスプーンですくって舐めながら紅茶を飲むのが作法とされている。これは寒い地方で紅茶にジャムを入れると茶の温度が下がり、体を温めるのに適さなくなってしまう事が理由の一つだと言われている。日本において一般に「ロシアンティー」と言えば、紅茶に直接ジャムを加えた物とされているが、これはロシアと比べて比較的温暖なウクライナポーランドの習慣である。

カレリア地方などの辺境地域では、故意に紅茶の受け皿に紅茶をこぼし、口に予め角砂糖等を含んだ上で、受け皿から紅茶を飲み干す習慣がある。砂糖を溶かさずに齧るのは、ロシアでの伝統的な砂糖が固く溶けにくいテンサイ糖の塊だからといわれる。
トルコ(作法)トルコ紅茶

「トルココーヒー」と冠される様に一般にはコーヒーのイメージが強いが、コーヒーは高級品であり紅茶が身近な飲み物になっている。真ん中がくびれた細身のガラスコップが紅茶用の器とされており、飲食店で頻繁に見ることが出来、商店や企業などでの接客でも用いられる。過去にアップルティーが流行ったりハーブティーなども売られているが、現在一般に飲まれているチャイは普通の紅茶である。上記のように二段式のヤカンが用いられ、下段で湯を沸かし、上段で紅茶を抽出する。下段は上段を保温する役目も果たす。もし紅茶が濃くなり過ぎたら、湯を適宜注ぎ足して濃さを調節する。トルコで出されるチャイは渋みが強いため、角砂糖を多量に入れて飲む事が多い。
アラブ(作法)「アラブの茶文化」を参照
歴史
茶の歴史紅茶及び緑茶の歴史については「」を参照
17世紀

1679年イギリス東インド会社ロンドンで初めてティー・オークションを開催し、3樽の中国産のボヘア茶(ボビー)が競売にかけられた[28]。ボヘア茶は中国では粗悪な茶として扱われていたが、イギリスではこれが珍しい茶として扱われ、後世の紅茶につながったといわれている[28]
18世紀

1712年頃にはイギリス東インド会社が中国茶のヨーロッパへの輸入を独占するようになった[29]1717年にはトーマス・トワイニングが紅茶専門店「ゴールデン・ライオン」を開業して成功を収めている[29]。また、1765年にはいわゆる砂糖革命が起き、中産階級への普及が進んだ[29]砂糖法も参照)。

1773年にはイギリスがフランスとの戦費調達のために重税を課したのに反発した英領アメリカボストンの住民がイギリス船の茶箱を海に投棄するボストン茶会事件が発生している[29]
19世紀

1823年、イギリスはインド北部のアッサム地方へのビルマ支配に対抗してイギリス東インド会社の軍隊を送って制圧[29](第一次英緬戦争)。この戦いにイギリス軍の少佐として従軍したロバート・ブルースが後にアッサム種として知られる茶を発見し、中国から茶師を招いて茶の生産を始めた[30]
文化

ヨーロッパで多く飲用される。世界で最も頻繁に紅茶を飲むと言われるイギリスでは[注 4]、朝昼晩の食事だけでなく、起床時、午前午後の休憩にもお茶を楽しむ習慣がある。このため、茶器洋菓子なども発達し、洗練された。なお、紅茶の文化は18世紀アイルランドに伝わり、2008年時点で国民一人当たりの消費量ではアイルランドがイギリスを抜いて世界一となっている。
イギリス

1日に数回のティータイムなど、紅茶はイギリス人の生活と深く結びついている。例えば核戦争が真剣に議論された1950年代には、「もし核戦争が起こった場合、紅茶が不足するという深刻な事態が起こる」「パンと並び、紅茶の備蓄の必要性がある」といった議論が政府内で行われていた[31]

紅茶の入れ方は、ISO 3103によって国際標準規格として制定されている。この規格の元になったBS 6008:1980を1980年に定めた英国標準協会は、1999年度のイグノーベル賞文学賞を受賞した。
スリランカ

1972年にセイロンは国名をスリランカ共和国に変更したが、同年に茶園の国有化を行った[32]。スリランカの茶園が民営化されたのは1990年のことである[32]
日本
普及

日本では1927年に国産の三井紅茶が発売された[32]。1939年には日本紅茶協会が設立されている[32]

外国産紅茶の輸入が自由化されたのは1971年である[32]

現代では喫茶店や家庭で淹れる紅茶以外に、ペットボトル入り(午後の紅茶など)が市販されている。カフェ・ラッテ(カフェラテ)のコーヒー代わり(紅茶ラテ)や菓子・スイーツの風味付けにも用いられており、抹茶の製法を応用して粉末にした紅茶も商品化されている[33]
資格

紅茶に関連する資格としては日本創芸学院が認定する紅茶コーディネーター、日本紅茶協会が認定するティーインストラクターがある。
化学
作用

紅茶に含まれる紅茶ポリフェノール風邪インフルエンザに対する有効性があるとして注目されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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