フランスではコーヒーがよく飲まれ、実際国民一人あたりの紅茶消費量はイギリスの十分の一程度でしかない。が、イギリスの紅茶が労働者階級にまで行き届いた日常性の高いものとすれば、フランスでの紅茶は普及が進まなかったため、逆にブルジョワジーの文化として定着した。 基本的にコーヒー文化圏ではあるが、北ドイツを中心に紅茶も一般化しておりよく飲まれている。ドイツとオランダにまたがるフリースラント地方の紅茶が有名で、オランダ東インド会社が西暦17世紀初頭にもたらした紅茶が端緒であった。ドイツ茶業同盟(Deutscher Teeverband e.V.) の調査によると、オストフリースラント(東フリースラント)では2016年の紅茶消費量が一人当たり300リットルであったが、これはドイツ全土の平均値の十一倍に相当する。 レモンティーがよく飲まれる。ミルクティーは子供の飲み物と思われており、カフェなどのメニューにミルクティーは載っていない。 植民地時代にイギリスの影響を受けて独自の喫茶文化を発達させた。チャイと呼ばれる非常に甘い煮出し式ミルクティーを飲む習慣がある。 中国では茶に何も加えずに飲む「清飲法」が好まれるため、紅茶を飲む場合も基本的に何も加えずに飲む[26]。また、紅茶は五行説では「熱気」の飲み物とされているため、人によっては暑い時期を避け寒い時期だけ飲む[26]。香港ではイギリス流のアフタヌーン・ティーも盛んであるが、庶民はエバミルクと砂糖をたっぷり入れた香港式ミルクティーや、レモンを1/3個分ほど使った、レモンティーを特にアイスで楽しんでいる。また鴛鴦茶というコーヒーと合わせた香港独特の飲み物もある。有名なブレンド「アールグレイ」は、グレイ伯爵が気に入った香港の紅茶の味を、ベルガモットのフレーバーを用いて再現したものである。 中国の茶に対する価値観では、茶葉のでき具合や仕上げの技術で茶の良し悪しを評価するため、茶葉をブロークンやダストに刻んでしまう紅茶は、あまり評価されない傾向がある[26]。 中国雲南省などで作られる磚茶(たんちゃ。茶葉と茎を蒸して固形化した黒茶の一種)を煮出したものに、バターと岩塩、プンドを、ドンモやチャイドンと呼ばれる筒形の容器に入れ、攪拌して作る。バター茶とも呼ばれ、チベットでの重要なビタミンC摂取源である。どちらかというと味はスープに近く、主食のツァンパを練るのにも使う。モンゴルやブータン、ネパールなどでも同様の習慣がある。 17世紀以来、中国方面から緑茶や磚茶を輸入していたロシアの紅茶の淹れ方は、煮出し式の項で触れたようにサモワールの上にかけたヤカンで濃く煮出した紅茶をグラスの四分の一程度入れ、お湯で薄める方法を取る。そのため、使われる茶葉は色が濃く出て、苦味、渋みが少なく伸びの良さが重視される。反面、煮詰める段階で香りは飛んでしまうので、英国式と違い香りは重視されない[27]。 一人分ずつ供されたジャムをスプーンですくって舐めながら紅茶を飲むのが作法とされている。これは寒い地方で紅茶にジャムを入れると茶の温度が下がり、体を温めるのに適さなくなってしまう事が理由の一つだと言われている。日本において一般に「ロシアンティー」と言えば、紅茶に直接ジャムを加えた物とされているが、これはロシアと比べて比較的温暖なウクライナやポーランドの習慣である。 カレリア地方などの辺境地域では、故意に紅茶の受け皿に紅茶をこぼし、口に予め角砂糖等を含んだ上で、受け皿から紅茶を飲み干す習慣がある。砂糖を溶かさずに齧るのは、ロシアでの伝統的な砂糖が固く溶けにくいテンサイ糖の塊だからといわれる。 「トルココーヒー」と冠される様に一般にはコーヒーのイメージが強いが、コーヒーは高級品であり紅茶が身近な飲み物になっている。真ん中がくびれた細身のガラスコップが紅茶用の器とされており、飲食店で頻繁に見ることが出来、商店や企業などでの接客でも用いられる。過去にアップルティーが流行ったりハーブティーなども売られているが、現在一般に飲まれているチャイは普通の紅茶である。上記のように二段式のヤカンが用いられ、下段で湯を沸かし、上段で紅茶を抽出する。下段は上段を保温する役目も果たす。もし紅茶が濃くなり過ぎたら、湯を適宜注ぎ足して濃さを調節する。トルコで出されるチャイは渋みが強いため、角砂糖を多量に入れて飲む事が多い。 1679年、イギリス東インド会社がロンドンで初めてティー・オークションを開催し、3樽の中国産のボヘア茶(ボビー)が競売にかけられた[28]。ボヘア茶は中国では粗悪な茶として扱われていたが、イギリスではこれが珍しい茶として扱われ、後世の紅茶につながったといわれている[28]。
ドイツ(作法)
ドイツでの飲まれ方は、ホットのミルクティーが主流で、ビールのようにグラスに注がれて出されることがある。カフェインの取り過ぎを忌避する健康志向から、ハーブティーも普及している。トルコ移民が多い関係からトルコ紅茶も市販されている。レストラン、また宿泊施設の朝食ビュッフェではティーバッグが用意され、家庭では茶葉で楽しまれることも少なくない。
ポーランド(作法)
インド(作法)
中国・香港(作法)
チベット(作法)
ロシア(作法)詳細は「ロシアの茶文化」を参照
トルコ(作法)トルコ紅茶
アラブ(作法)「アラブの茶文化」を参照
歴史
茶の歴史紅茶及び緑茶の歴史については「茶」を参照
17世紀
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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