紅の豚
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1992年3月28日に加藤のコンサートでライブ録音されたヴァージョンが使用された[42]

加藤登紀子は歌手業が本業であり、役者業をメインとしていないことも関係しているが、本作はジブリ作品史上、ヒロイン役を演じた役者(加藤)が主題歌の歌唱を兼任した初の作品である。他にヒロイン役の役者が主題歌を兼任したジブリ作品としては、本作の公開から3年後の1995年に公開された『耳をすませば』、12年後の2004年に公開された『ハウルの動く城』、14年後の2006年に公開された『ゲド戦記』がある。
評価
會川昇

脚本家の會川昇は、「宮崎駿が本音を出しかけてカタルシスを犠牲にした作品」であるとして、終盤戦の空中戦が両機の偶発事故によって消化不良となり、最後はキャラクター同士の肉弾戦に移行したストーリー構成に触れた上で、戦争で発展した飛行艇に愛着がある監督が、飛行艇に殺人行為をさせたくないが故に忖度をした結果だとしている。またエンディング・テーマについては、「日本で左翼がマシだった最期の時代を美化して歌っている」と指摘し、このテーマが流れる場面で、主人公と思しき機体がジェット機の時代になっても飛び続けている描写についても、青春時代を革命に身を投じた者たちに対する監督の自己弁護であるとして、これらの思想には一切共感しないと厳しく批判している。一方で、監督の思想を作品に定着させる手法については、完璧に近い成功を収めていると評価している[43]
押井守

映画監督でアニメーション演出家の押井守は、宮崎駿の女性問題を巡る私生活の本音が出ているとして、「全部発散して自分に言い訳まで用意している狡い作品」と評している。その上で、子供が喜ぶ娯楽作に徹するなら、主人公がトレンチコートを着て喫煙をする描写は不適切であり、斜に構えたハードボイルドな台詞も必要なく、「ブヒブヒ」と喋る飛行機の操縦が上手いただの豚の話にすれば、楽しいアニメになる筈だったとして、そうならなかったのは、主人公の豚の顔の下に監督である宮崎駿の顔があり、自身の憂さを本作で晴らしたかっただけと指摘し、付き合わされた客はまだしも、宮崎駿の言い訳に付き合ったスタジオジブリのスタッフたちは堪ったものではないだろうと、突き放した感想を述べている[44]
岡田斗司夫

おたく評論家の岡田斗司夫は、あれほど『宇宙戦艦ヤマト』を嫌っていた宮崎なのに本作は松本零士戦場まんがシリーズ』に似ているとしており、「権威を否定していた者が権威になると同じ事を繰り返すことに歴史の皮肉を感じる」としている[45]
賞歴

第47回
毎日映画コンクール音楽賞、アニメーション映画賞

全国興業環境衛生同業組合連合会・第9回ゴールデングロス賞最優秀金賞、マネーメイキング監督賞

第5回石原裕次郎賞

文化庁優秀映画作品賞

アヌシー国際アニメーション映画祭・長編部門グランプリ

売上記録

(日本国内)

内容記録補足
興行収入54.0億円
[46][3]
配給収入27.13億円[3]
動員304万9806人[3]
『イメージアルバム』0.5万本出荷(1992年発売のCA)[47]
3万枚出荷(1992年発売のCD)[47]
0.5万枚出荷(1997年発売の再発CD)[47]
『サントラ音楽集』0.5万本出荷(1992年発売のCA)[47]
8万枚出荷(1992年発売のCD)[47]
3万枚出荷(1997年発売の再発CD)[47]
『ドラマ編』0.5万本出荷(1992年発売のCA)[47]
1.5万枚出荷(1992年発売のCD)[47]
『BOX-CD』1.5万枚出荷(1992年発売のCD)[47]
VHS、S-VHS(徳間版)15万本出荷[48]1995年9月時点
VHS(ブエナビスタ版)40万本出荷[48]2003年6月時点
DVD(ブエナビスタ版、2枚組・特典付)25万枚出荷[48]2003年6月時点

テレビ放送の視聴率

回数放送日視聴率
11993年10月15日
[49]20.9%
21995年09月29日14.5%
31998年07月17日17.8%
42000年06月16日14.3%
52003年04月04日18.7%
62005年04月22日[50]14.1%
72007年05月25日[51]15.0%
82010年07月02日[52]14.4%
92012年04月06日[53]11.2%
102013年09月06日[54]16.0%
112016年11月11日[55]13.2%
122018年11月02日12.5%
132022年 1月 14日10.8%

関連商品
作品本編に関するもの
映像ソフト


紅の豚
VHS - 徳間書店(1992年12月21日)

紅の豚 LD - 徳間書店(1997年6月15日)

紅の豚 VHS - ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント(1999年4月23日)

紅の豚 DVD - ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント(2002年3月29日)

DVD(宮崎駿監督作品集) - ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン (2014年7月2日)


紅の豚 Blu-ray Disc - ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(2013年7月17日)

Blu-ray Disc(宮崎駿監督作品集) - ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン (2014年7月2日)


出版


『紅の豚』原作 飛行艇時代(大日本絵画、1992年7月)ISBN 4-499-20595-6

映画『紅の豚』原作 飛行艇時代 (増訂版:大日本絵画、2004年11月)ISBN 4-499-22864-6


紅の豚(THIS IS ANIMATION)(小学館、1992年8月20日)ISBN 4-09-101536-0

時には昔の話を 宮崎駿・加藤登紀子対談(徳間書店、1992年8月31日)ISBN 4-19-554946-9

紅の豚―メモリアル(講談社ヒットブックス、1992年9月)ISBN 4061777262

紅の豚―フィルムコミック(1)(徳間書店、1992年9月20日)ISBN 4-19-772090-4

紅の豚―フィルムコミック(2)(同上、1992年9月20日)ISBN 4-19-772091-2

紅の豚―フィルムコミック(3)(同上、1992年10月25日)ISBN 4-19-772100-5

紅の豚―フィルムコミック(4)(同上、1992年10月25日)ISBN 4-19-772101-3

ジ・アート・オブ 紅の豚(徳間書店、1992年10月30日、新装版1997年5月)ISBN 4-19-812100-1

ロマンアルバム 紅の豚(徳間書店、1992年11月1日、新装版2001年5月)ISBN 4-19-720160-5

スタジオジブリ作品関連資料集IV(スタジオジブリ、1996年12月31日)ISBN 4-19-860628-5

紅の豚(スタジオジブリ絵コンテ全集7)(徳間書店スタジオジブリ事業本部、2001年9月30日)ISBN 4-19-861424-5

ジブリの教科書7 紅の豚(スタジオジブリ編、文藝春秋文春ジブリ文庫〉、2014年9月10日)ISBN 4-16-812006-6

シネマ・コミック7 紅の豚(文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉、2014年9月10日)ISBN 4-16-812106-2

音楽


紅の豚 イメージアルバム かっこいいとは、こういうことさ 徳間ジャパンコミュニケーションズ((再発版CD/1997年5月21日)TKCA-71155(オリジナル盤/1992年5月25日))

紅の豚 サウンドトラック 飛ばねえ豚はただの豚だ! 徳間ジャパンコミュニケーションズ((再発版CD/1997年5月21日)TKCA-71156(オリジナル盤/1992年7月22日))

紅の豚 ドラマ編 どうやったらあなたにかけられた 魔法がとけるのかしらね 徳間ジャパンコミュニケーションズ(1992年9月25日)TKCA-30663

スタジオジブリ 宮崎駿&久石譲 サントラBOX [Box set, Limited Edition](CD)徳間ジャパンコミュニケーションズ(2014年7月16日)


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