紅の豚
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腕の良い賞金稼ぎとして幾多もの空賊を撃退しているが、「戦争ではないから殺しはしない」というポリシー[注 6]を持っている[26]。機動性に優れる戦闘機同士の空戦では「ひねり込み」と呼ばれる戦闘機動を得意とし、彼同様に優れたパイロットであるカーチスですらはめている。普段は、アドリア海にある無人島の隠れ家で自由気ままな暮らしを送っている。街に出る時には白い背広に赤いネクタイを着用し、上からカーキ色トレンチコート姿、ボルサリーノソフト帽を被り、夜中でも黒眼鏡を常用して目元を隠しているが、顔を洗うシーンで素顔を見せている[注 7]。原作『飛行艇時代』ではジェノバ市出身で、機体にも垂直尾翼にジェノバ市の市章を描き入れている。また出身地故に共和派である。ジーナとは幼馴染みである。フィオにアジトで眠る前に何か話をしてと頼まれた時、ジーナの最初の夫で自身の戦友ベルリーニの死んだ時の様子を話した。その際、彼がベルリーニの代わりに自ら死を選ぼうとする描写があった。元空軍のエースパイロットだが現在は軍を嫌い、その為に秘密警察から常時監視されている。空軍に残った友人との縁は切れておらず、空軍復帰を強く望まれているが、ポルコは拒否している。終盤、フィオが彼の口にキスをした事で、その顔に変化があった描写があるが(カーチスに顔を見られている)、その時の顔は意図的に写されていない。名前の由来は日伊合作アニメ『名探偵ホームズ』の伊側プロデューサー、マルコ・パゴットから。声優は、宮崎が海外ドラマ『刑事コジャック』のファンだった事から、コジャック(テリー・サバラス)を吹き替えた森山が起用された[29]。トレンチコートに帽子とサングラスという外見は、コジャックと同じである。また森山のもう一つの代表作であるジャン・ギャバンの芝居の影響もあるとの指摘もある[30]後年のスタジオジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』の妖怪大作戦で、赤いサボイアS.21に乗って空を飛ぶポルコが一瞬映る他、『耳をすませば』に登場するドワーフの大時計に「Porco Rosso」と刻まれている形で氏名のみ登場する。
マダム・ジーナ(Gina)
声 - 加藤登紀子ホテル・アドリアーノを経営する未亡人の女性実業家。歌姫でもあり、アドリアーノのレストラン・バーで自らシャンソンを歌ったりもしている。これまでに三度飛行艇乗りと結婚し、全員と死別している[注 8]未亡人である為、フランス語で「夫人」を意味する「マダム」で通っている(フルネームは不明)。絶世の美女で、空賊を含めた数多くの飛行艇乗り達のマドンナであり、「アドリア海の飛行艇乗りは、みんなジーナに一度は恋をする」と言われている。なおホテルは、ドブロク市[31](ドヴロク市とも表記[31])の沖合に浮かぶ小島にある。ポルコの昔馴染みで、作中で彼の事を本名のマルコと呼ぶ。ホテルのレストランの片隅に、一機の飛行艇に乗る若い頃の彼女と、四人の男性(その中の一人で、顔が黒く塗り潰されているのが若く人間だった頃のポルコ)が写った写真(人間としての写真はこれしか残っていない)が飾られている(夜に店に来たポルコがジーナに、この店にあの写真がある事が唯一気に入らないと言っている)[32]。ポルコの事を以前から密かに愛していた様子で、彼を豚に変身させた魔法を解く方法を探している。また、「ホテルの裏にある私庭に、昼間ポルコが訪ねて来るかどうか」という賭けをしており、訪ねてきたら、その時こそ本気で彼を愛すると決めている。この賭けの事を知っているのは、私庭に侵入し彼女から話を聞いたカーチスと、彼女と友人になったフィオだけ。軍部を含む大規模な情報網を持ち、私室には情報収集用の本格的な無線装置も設えている。コールサインは、ハートのG。後に、ポルコとの縁でフィオと親しくなる。
フィオ・ピッコロ(Fio Piccolo)
声 - 岡村明美1912年 - 1913年生まれの17歳。ピッコロのおやじの孫娘で、飛行機設計技師。同じく技師である彼女の父親は元空軍パイロットで、大戦中はポルコと同じ部隊に所属していた。アメリカでの修行経験があり、才能はピッコロのおやじのお墨付き。当初は「女性」「若過ぎる」と言う点から不安を覚えたポルコも愛機の再設計を任せる程に信用する。姉にジリオラ、従姉妹にサンドラがおり、戦闘機製造の仕事に参加した[33]。本人に自覚は見られないがかなりの器量良しである描写があり、ピッコロのおやじもポルコに対して事あるごとに「手を出すなよ」と言っている。少し大胆な所もあり、ポルコのアジトで空賊達が去り、ポルコと会話後、下着姿で海を泳ぐシーンも見せていた。復活したサボイアの飛行テストもままならずにミラノを出発しようとするポルコに「自分の仕事に最後まで責任を持ちたい」という理由[注 9]で無理矢理同行する。空賊連合とマンマユート団を相手に説教をする程の度胸があり、カーチスが彼女に一目惚れした事を利用して、ポルコとの再戦を取り付けた要因でもある。最も、これに関しては空賊達が去った直後、ポルコに(空賊達が怖かったので)今になって足が震えていると告白した。マンマユート団にも惚れられた。アジトで目覚めた直後に、一瞬ポルコの人間としての本当の顔(口髭をたくわえたスマートな男性)を横から見た。再戦の決着後もポルコと行動を共にするつもりでいたが、ポルコは彼女をジーナに預け、自分から遠ざけた。ジーナとはこれを切っ掛けに親しい友人となる。後にピッコロ社を継ぐ。
ピッコロのおやじ(Master Piccolo)
声 - 桂三枝(現六代目桂文枝)イタリア、 ミラノの飛行艇製造会社「ピッコロ社(Piccolo S.P.A.)」の社長で、フィオの祖父。ポルコの昔馴染み。金払いにはシビアだが、面倒見の良い性格。孫娘の熱意と技量を認めており、持ち込まれたサボイアの改設計を担当させる。機体の設計を担当していた三人の息子達は出稼ぎの為不在で、他の男手もみな出払っていた事から、親戚中の女性たちを大勢呼び集めて工場を稼動させた。作中では機体全般をフィオに任せ、自らは最も得意とするエンジンチューニングに専念する。声優に関しては、製作当時に三枝が別番組で共演した森山へ「吹き替えをやってみたい」と相談。それを受けた森山が宮崎に「何とかならないでしょうか」と聞いた事で三枝が起用された。また、宮崎は三枝の起用に合わせ、ピッコロの役を大幅に書き足したという[34]
マンマユート・ボス(Mamma Aiuto Boss)
声 - 上條恒彦大きな赤鼻に髭面、飛行帽にゴーグルが特徴の、空賊マンマユート団の首領。マンマユート団は、直訳すると「ママ助けて団」であるが、原作『飛行艇時代』では「ママ怖いよ団」と訳されている。メインキャラクターの一人だが、正式な名前は設定されておらず、エンディングテロップにおいても「マンマユート・ボス」とクレジットされている。直情的で荒っぽいが、落ち度を指摘されれば素直に認める潔さを持っている他、「仲間はずれが出たら可哀想」という理由で幼い子供達を全員さらっていき、怪我をさせないように扱うなど、子供には優しく、人情味があることから手下たちからも深く慕われている。また、ポルコの過去を知る数少ない人間の一人でもある。彼を含む一味全員がジーナにもフィオにも惚れている。空賊連合と同様にジーナの店の近くでは仕事をしていない。率いるマンマユート団は客船襲撃に金品強奪、児童誘拐にも手を染める悪党だが、ポルコから小物扱いされている[注 10]。手下たちはボス同様、人情に厚く、女性には弱い。またボスと容姿がよく似ている。ラストシーンでも年老いた彼がスーツ姿で登場し、アドリアーノに来ている様子が描かれている。
ドナルド・カーチス(Donald Curtis)
声 - 大塚明夫アラバマ生まれのアメリカ人で、祖母はイタリア人のクォーター(1850年代南イタリアからアメリカへの移民が多かった時代背景がある)。ディズニーから発売されたアメリカ版では、テキサス出身となっている。愛機はカーチス R3C-2をモデルとした架空機「カーチス R3C-0非公然水上戦闘機」。空賊連合が雇った用心棒で、ポルコの最大のライバル。パイロットとしての技量は彼も認めるほど大変に優れている。下が砂地だったとはいえ、高所から空中回転して着地するなど非常に運動神経も良い。女好きの惚れっぽい性格で、それぞれ違ったタイプの美しさを持つジーナやフィオを次々に口説くも、ことごとく玉砕する。エンディングではアメリカに帰国後、映画俳優へと転身して、西部劇(題名はTriple Love)の主演俳優を務めるなど活躍している。空賊の用心棒や映画俳優は、あくまでも人生の最終目標への布石である(なお、劇中カーチス主演のポスターは、ロナルド・レーガンの主演映画のレイアウトを踏襲している)。原作『飛行艇時代』では、ドナルド・チャックと名乗っており、「カーチス」は愛機にちなんだニックネームとなっている。また、空賊の用心棒となる展開自体は変わらないが、中盤で戦闘する相手は豪華客船の用心棒ではなく、イタリア空軍のパトロール部隊であるなど、多少の差異が見られる。
フェラーリン(Ferrarin)
声 - 稲垣雅之ポルコの元戦友で、現在はイタリア空軍少佐。ジーナと共に作中においてポルコを本名で呼ぶ数少ない人物である。モデルは、アルトゥーロ・フェラーリンであるが、本人として描写されているかは明確でない。軍を辞めたポルコとの友人関係は現在でも続いており、彼の空軍への復帰を強く望んでいる。また軍人という立場でありながら、彼がポルコやジーナに軍の機密情報を密かに横流しするなどして協力している為、空軍はいまだにポルコを捕らえられずにいる。一方で立場をわきまえずに平然としているポルコに呆れてもいる。コールサインは、F。ポルコが空軍に入隊して以降の仲間であり、ポルコやジーナたちの幼馴染ではないため、子供時代の写真には写っていない。
空賊連合(Aero Viking Association/Band of air pirates)[注 11]
主にアドリア海を縄張りとする空賊団で構成されたギルド。大きな獲物を狙う場合など、時に協力して「仕事」を行う。持ち回り制で組合長もいるが、実際は単なる寄り合い所帯の向きが強い。作中では7団体が加盟していて、原作『飛行艇時代』によれば、マンマユート団は加盟こそしていないが、特に対立もしていない事も劇中のボス達の密談で判明する。それぞれの空賊団の構成員達は、そのボスと容姿が似ている。彼らの共通のマドンナはマダム・ジーナであり、屈強な彼らも彼女の前ではまるで子供扱い。また彼女の店の半径50km以内では決して仕事はしない取り決めである。同様に彼らの共通の敵である賞金稼ぎのポルコ・ロッソとも、彼が店にやって来るのに居合わせた際にも眉をひそめる程度で別にもめ事を起こしたりはしない。映画パンフレットによると、それぞれの空賊のボスはAがフランス人で左目に眼帯をした男。Bがスイス人で黒髪の小柄な男。Cがシシリー人でモヒカン刈りをしている男。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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