なお、この地域の地質には火山の要素がほとんどなく、実際に火山は存在しない。他方、歴史の古い温泉がいくつも見られる[8]。 本州最南端を含み、全体が南に突き出したこの地域は、本州でも特に温暖な地域であるが、同時に山が多く、複雑な地形と、降水量の多さも相まって、極めて豊富な生物相を持つ。この地域を分布の北限とするもの、あるいは南限とするものも多いが、主要分布域から離れてこの地域に隔離分布するものも数多い。また固有種や、いわゆるソハヤキ要素と呼ばれる、この地域と四国、九州だけに分布する、という型も見られる。 植生に関しては、暖帯域にあり、低地はほぼ照葉樹林である。海岸からある程度の内陸までは、スダジイ、コジイ、アラカシなどが優占する森林が見られることが多いが、これらの極相はタブ林であるとも言われる。内陸部ではカシ類の優占する森林となり、北部ではシラカシ、南部ではウラジロガシ、ツクバネガシなどが出現する。林床や谷間にはシダ植物の種数が多く、多様性が高い。これらの森林は標高1000m位まで伸び、上部ではアカガシが多くなる。また、モミ、ツガを交えることも多く、一部地域ではトガサワラが混じる。 標高1000m程度からブナやミズナラが出現し始め、落葉樹林となる。特に和歌山県の大塔山の山頂域のそれは、本州最南端のブナ林といわれる。 和歌山市出身で、後に田辺町(現在の田辺市)に約40年居住した南方熊楠は、粘菌をはじめとしたこの地域の豊かな植生に注目し、膨大な収集標本を残した。これは現在でも研究の対象となっている。 固有種や固有亜種は多く、往々にしてキシュウ・キイ・キノクニ・クマノなどの語を関した名前をつけられている。有名な採集地として高野山や那智滝近辺・大台ヶ原などもあり、これらの語を名に持つ種もまた多い。 地形的に、急峻な山岳が大部分を占めるため、交通の便は良くない。紀南地方に霊場として著名な熊野本宮大社があるため、古くから徒歩および船便が発達していたが、それらが使われなくなった後、それに代替する交通機関に乏しい。いわゆる熊野古道は山間尾根部を縦走しているが、現在的な交通手段ではこれらは利用しがたい。 現在の主要な幹線は海岸線沿いを通るもので、山間部では交通路の発達が悪い。内陸に入る道は、各河川沿いに入るものが多い。中部では中央構造線沿い運行通が発達し、その北ではやや山が少ないため、コースの自由度は高くなる。 鉄道網については紀伊半島を海岸沿いに縦断する旧国鉄の紀勢本線がある。紀勢本線は新宮駅(新宮市)を境に西側がJR西日本、東側がJR東海のエリアとなっている。JRグループ(旧国鉄)の路線では名古屋駅(名古屋市)からJR難波駅(大阪市)までの内陸部で関西本線、関西本線に接続する亀山駅から和歌山市駅(和歌山市)までの海岸部で紀勢本線という2つの幹線が建設された。これに接続する参宮線・阪和線・大阪環状線・おおさか東線・関西空港線・桜井線・和歌山線・名松線、さらに第三セクターの伊勢鉄道に転換した伊勢線などがある。 大阪や名古屋の近郊区間では普通・快速列車が比較的高頻度に運転される。紀勢本線では新宮以西で直流電化が行われ大阪方面への特急「くろしお」が運行される(阪和線経由)。
生物的自然
植生
植物相
紀伊半島にちなむ名を持つもの
キイセンニンソウ・キノクニスズカケ・キイシモツケ・クマノミズキ・キイハナネコノメ・キシュウギク(ホソバノギクの別名)・キノクニシオギク・クマノギク・キシュウナキリスゲ・キノクニスゲ・キシュウスズメノヒエ・キイイトラッキョウ・キイジョウロウホトトギス・キイムヨウラン・キシュウチドリ(ヒナチドリの別名)・クマノザクラ・
動物相
ほ乳類
紀州犬
ニホンオオカミは絶滅したと思われるが、この地域は最後まで生きのびた地域の一つである。極めて特異なのがワカヤマヤチネズミ
交通
鉄道網
Size:54 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef