糖尿病
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糖尿病(とうにょうびょう[3]英語ドイツ語ラテン語:diabetes mellitus、ダイアビーティス メライタス、ダイアビーティス メリタス[4]、略称:DM)は、血糖値ヘモグロビンA1c(HbA1c)値が適正値よりも高い状態が慢性的に続く病気で、血液中のブドウ糖細胞へ届けるインスリンの分泌不足・異常が生じることで発症する[5]。朝、空腹時に測った血糖値が126ミリグラム (mg)/デシリットル (dL)以上、また食事の有無問わず血糖値が200mg/dl 以上、この両方を満たした場合は「糖尿病」の確定診断となる。血液中の血糖値が高いことで尿から糖が出るという病理のため、実態を適切に表すなら「高血糖症」と言われている[6]

東洋医学では消渇と呼ばれる[7]。なお、腎臓での再吸収障害のため尿糖の出る腎性糖尿は別の現象である。糖尿病は高血糖そのものによる症状を起こすこともあるほか、長期にわたると血中の高濃度のグルコースがそのアルデヒド基の反応性の高さのため血管内皮のタンパク質結合する糖化反応を起こし、体中の微小血管が徐々に破壊されていき、糖尿病性神経障害糖尿病性網膜症糖尿病性腎症といった三大合併症を生じる。また糖尿病の合併症には、アルツハイマー型認知症から歯周病など多岐にわたる。

そして、糖尿病は発症の原因によって、1型糖尿病2型糖尿病、その他、妊娠糖尿病に分類される。糖尿病患者の95%以上は2型であり、これは中高年に多く、予防可能な生活習慣病である[5][8][9]。2型糖尿病の予防や軽減には、健康的でバランスのとれた食事、適度な運動、適切な体重管理、禁煙が有効である[8]アルツハイマー型認知症は糖尿病と強い関連性があることから3型糖尿病とも呼ばれる[10]

世界における成人(20歳以上80歳未満)の有病率は9%であり4億6300万人[11][12]、世界のDALYの8位を占め (2.8%)[13]、2019年は149.6万人が糖尿病により死亡した[14]。糖尿病による死者の8割は中低所得国であり、さらに世界保健機関(WHO)は、2030年には世界第7位の死因となると推定している[8][15]
症状主要な症状

通常、初期の糖尿病患者は自覚症状はない。下記に列挙するような手足のしびれや便秘などが実はあるのだが、特別な症状と考えていないことがある。血糖値がかなり高くなってくると、口渇・多飲・多尿という明白な典型的症状が生じる。これらは血糖値が高いということをそのまま反映した症状なので、治療により血糖値が低下するとこれらの症状は収まる。血糖値がさらに高くなると、重篤な糖尿病性昏睡に陥り、意識障害、腹痛などをきたすこともある。いっぽう発症初期の血糖高値のみで腓返りなどの特異的な神経障害がおこることがある。また発症初期に急激に血糖値が上昇した場合、体重が減少することが多い(血液中に糖分が多い一方、脂肪細胞などは糖分が枯渇した状態になるためである)。

その他の症状は、たいてい糖尿病慢性期合併症によるものである。糖尿病には、2つ大きな合併症群があり、1つめは「細小血管障害」である。細かい血管に糖の酸化物が詰まって血管障害を起こし、神経障害網膜症、腎症を引き起こす。2つめは「大血管障害」であり、足の壊疽脳梗塞狭心症を伴う心筋梗塞を引き起こす[6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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