精神障害
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今後、精神病者は病気と共に生きる術を学ばねばならないでしょう[注釈 13]」と述べている[151][152]。1995年、アメリカ国立精神衛生研究所(英語版)のレックス・コウドリー(英語版)代行所長は「私たちは(精神障害の)原因を知りません。私たちは未だにこれらの病気を『治療する(curing)』手段を持っていません[注釈 14]」と述べている[151][153][154]。2009年、アメリカ国立精神衛生研究所のトーマス・インセル所長は、30年前に精神科でレジデントとして学んだ多くのものが、科学的研究によって完全に間違っていると証明され、捨て去られているため、「おそらく、30年後の私たちの後任は、今日私たちが信じている多くのものを痛ましい認識だと顧みることになるでしょう[注釈 15]」と述べている[155]
診療科OECD各国のメンタルヘルス問題時の受診先調査[156]
青は総合診療医、赤は精神科医、緑は臨床心理士OECD各国の人口10万あたり精神保健従事者数。
青は精神科医、赤は臨床心理士、橙は精神保健福祉士
プライマリ・ケア「プライマリ・ケア」、「プライマリ・ヘルス・ケア」、および「総合診療医」も参照

欧米では、プライマリ・ケアが定着している。日本の国立国語研究所によれば、プライマリ・ケアを分かりやすく言い換えると、「何でも診てくれ相談にも乗ってくれる身近な医師による、総合的な医療」だとしている[157]。そのような医師は、日本語で一般医(家庭医)などと呼ばれる[158]

精神障害を持つ人々について、欧州連合諸国においては過半数以上[159]、アメリカでは約70%をプライマリ・ケア医が診療している。また、世界精神保健連盟によれば、うつ病不安障害だけで、プライマリ・ヘルス・ケア施設の全来訪者の1/4?1/3を占めている[160]経済協力開発機構(OECD)はプライマリケアに携わる総合診療医に対して、市民の精神保健について中心的な役割を果たすことを期待している[161]。WHOによれば世界の約3分の1(36%)の国々において、公式承認された精神障害の管理・治療マニュアルが、主なプライマリヘルスケア診療所にて存在している[162]

厚生労働省は、医療法上の総合科の創設と一定以上の能力を備えた総合医を、国の個別審査によって認定することを検討している[163][164]。つまり、まだ日本では正式な制度としては検討状態であるが、かかりつけ医のような内科を受診することがある。うつ状態になった人々の最初の受診先は、内科が約60%で、精神科は10%未満という報告もある[165]
精神科詳細は「精神科」および「神経科」を参照

精神科は精神医学的な状態を扱う科である。神経科、精神神経科などは精神科の別称と考えて差し支えない。

読売新聞によれば、各精神科病院、各精神科医の間には大きな力量差が存在する[166][167][168]。一因は、医師の勉強不足、経験不足である。

日本の医学生は主に統合失調症うつ病を教わり、他の精神症状はほとんど教わらない(医師国家試験にも稀にしか出ない)。多くは大学病院や関連病院で研修医として採用され、入院患者で研修する。修了後は病棟医として数年出向し、経験を積んで指導医となる。その後、出向元に戻って外来患者を担当することになるが、内科や外科などと異なり、精神科の入院患者はほとんどが統合失調症なので、病棟医の経験を外来患者に応用するのは難しい。その為、知識不足が原因で意味不明な診断がつくことがある。また、精神科では杜撰な診断や治療で患者が亡くなっても医師の責任を追及されることがないため、いい加減な診断や治療が蔓延している[169]。「精神科医#過剰摂取医問題やその他問題点」も参照

日本では精神科の治療責任を問うことは容易ではない。裁判においても「精神科は特別」だとしばしば言われる。精神医療被害連絡会の中川聡代表は「通常の医療過誤裁判は、外科手術時のミス(過失)や管理上のミスを問う場合が多い。あくまで、過失は過失である。しかし、精神科の被害は、全く事情が異なる。それは、過失ではなく、そもそもの常識が間違っているだ。本人達は、当たり前のことをやっていると思っている」と述べている。被告側に立つ医師の意見書には、日本の精神科では多剤大量処方も常識だと記載されている。被害者側に立つ医師はほとんどいない。ごく稀に意見書を引き受ける医師もいるが、極端に逸脱した例の場合だけである[170][171]。「多剤大量処方」も参照

日本の精神科の診療報酬は、特に外来患者では保険診療上の「通院精神療法」が重要な報酬源となる。30分未満が330点、30分以上が400点であり、5分でも330点、60分でも400点である(1点=10円)。現行の診療報酬体系は「沢山の患者を診た方が儲かる」「丁寧にじっくり診ると儲からない」構造になっており、薬物療法に偏る一因になっている。時間の掛かる心理療法は儲からない[172]
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欧米のように心理士が国家資格化されている国々では、上記のような精神科と、心理療法中心の心理療法科に分かれることがある。心理士は、精神医学だけではなく、臨床心理学の知識や技術を使う。アメリカでは、心理士にも法的に診療が認められており、保険対象になっている。また、精神科医は主に薬物治療を行い、心理療法のトレーニングはほとんど受けていない[173][174][175]

日本では心理職には民間資格しかなく、国家資格として医療心理師の創設が検討されているが、利害の対立によって実現には至っていない。そのため現行では、医師法第17条が「医師でなければ、医業をなしてはならない」の規定により、保険適用で心理療法を受けるには精神科医など、医師の診断が必要になる。
心療内科詳細は「心身医学#心療内科」を参照

心療内科は心身医学を実践する科である。精神科医が心療内科を標榜することがあるが、日本の心身医学は内科から派生しており、本来、心療内科医とは内科医のことである[176][177]。本項では後者を説明する。

日本心身医学会は「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。


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