精神障害
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決定的な原因は判明しておらず、様々な仮説が検討されている状態である[5]

従って、精神障害を診断するための合意された生物学的指標(検査)は存在しない[7]。つまり未だ、診断のための理解という部分から十分に高度というわけではなく、その基礎となる脳の研究の進展を要請している段階である[7]。軽い日常的な出来事が医療化されることに弱く、製薬会社による病気喧伝も加わって患者の数が激増している。金融危機より先に先進国各国で患者数が増加し、薬物治療は人々を復帰させていない[8]。治療法も決定的なものは存在しないが、自然に軽快することもある。

精神障害は精神医学によって扱われる。日本では、担当は主に精神科医精神科)であるが、患者の症状や状況によっては内科心療内科が多い)など、他の科で診察、治療が行われている場合もある。

世界の疾病負荷(WHO、2019年)[9]順位疾病DALYs
(万)DALYs
(%)DALYs
(10万人当たり)
1新生児疾患20,182.18.02,618
2虚血性心疾患18,084.77.12,346
3脳卒中13,942.95.51,809
4下気道感染症10,565.24.21,371
5下痢性疾患7,931.13.11,029
6交通事故7,911.63.11,026
7COPD7,398.12.9960
8糖尿病7,041.12.8913
9結核6,602.42.6857
10先天異常5,179.72.0672
11背中と首の痛み4,653.21.8604
12うつ病性障害4,635.91.8601
13肝硬変4,279.81.7555
14気管、気管支、肺がん4,137.81.6537
15腎臓病4,057.11.6526
16HIV / AIDS4,014.71.6521
17その他の難聴3,947.71.6512
18墜死3,821.61.5496
19マラリア3,339.81.3433
20裸眼の屈折異常3,198.11.3415

メンタルヘルスの推定未治療率(WHO、2004年)[10]統合失調症32.2%
うつ病56.3%
気分変調症56.0%
双極性障害50.2%
パニック障害55.9%
全般性不安障害57.5%
強迫性障害57.0%
アルコール乱用・依存78.1%
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歴史歴史については「精神保健の歴史」を参照

心の病という概念自体は古くから存在しており、紀元前1500年ごろに書かれたエーベルス・パピルスには精神障害を扱った章があり、症状に関する詳細な記述が残されている。日本でも空海が『十住心論』において「心病」の概念を語っている。

現存する中国最古の医学書『黄帝内経』のうちの一つ『素問』では、感情を喜怒哀驚憂など七つに分類し、七情(中国語版)と呼び、それぞれが大きくなるとそれぞれに関連した様々な精神障害が出るとした。治療については心理療法を扱った祝由十三科(中国語版)などによって治療が試みられた。
定義

口語的には mental illness(心の病)である。世界保健機関(WHO)は、学術用語には mental disorder(精神障害)が採用されている[11]。disorder(障害)の語は、disease(疾患・疾病)より軽い失調状態を意味している[12]disability(障害)とは異なる[13]

精神障害とは苦悩や異常を伴う心理的症候群または行動様式である[14]。『ヒルガードの心理学』第15版では、「心理障害」の章にてこう説明される[15]。異常が、標準から離れているという意味であり、その基準は、社会的な標準からの逸脱ではなく、多くの社会科学者が考えるように個人や社会集団の幸福への影響が基準である[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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