病床と入院患者数の推移(各年6月末時点)[22]全精神病床数入院患者数措置患者数措置率病床利用率
2000年358,597333,3283,2471.00%93.0%
2005年354,313324,8512,2760.70%91.5%
2007年351,762317,1391,8490.60%89.5%
2008年350,353314,2511,8030.57%89.1%
2009年348,129321,6811,7410.56%89.8%
2010年347,281311,0071,6950.55%89.6%
2011年345,024306,064......89.1%
OECD各国の平均精神病院入院日数[23]。
日本の精神医療の問題点としては、世界でも稀に見るほど多くの精神科入院ベッド数(約35万床)、入院患者が減少しないこと、平均在院日数が300日以上と極めて長いこと(社会的入院をしている患者が約25万人)などがが挙げられ、中には精神科病院で30年間以上にわたり長期入院生活を続けている患者もいる[24]。
入院患者が減らない原因として、日本の一般社会においては退院しても精神障害者に対する差別・偏見が根強く存在することもあり、社会に戻す環境整備がなかなか行われないことや、また精神科病院の9割を占める民間病院が、経営上の理由から簡単に病床を減らせないという事情もある[25]。
先進国と比べても、日本の精神科の病床数は人口に対して世界で最も多く、入院期間も最も長い。先進諸外国が国公立の精神科病院を減らし、患者が地域で安心して暮らせるような制度を推進しているのに対し、日本の精神科医療はまだ入院という方法に頼っている。このような日本の現状に対して、1968年には世界保健機構(WHO)から、1985年には国際連合から、法制度を改善するように勧告を受けた。しかし精神保健福祉士 (PSW) の団体である日本精神保健福祉士協会の報告によれば、2000年代以降も「社会的入院」と呼ばれる長期入院の解消には至っていない[26]。「日本の精神保健#社会的入院」も参照
厚生労働省によって「地域移行特別対策事業」が開始され、2012年までの数値目標が掲げられた。地域移行支援アシスタント(退院促進支援員から名称変更)による地域でのネットワーク作り、地域移行推進員などの活躍が期待されている。しかし名称変更と業務追加がされた後も目立って人員増加されていないことなどもあり、目覚ましい効果は上がっていない。
公費負担医療制度「日本の精神保健#福祉制度」および「自立支援医療 (精神通院医療)」も参照
2006年4月、障害者自立支援法が施行。患者の世帯収入に応じた応益負担
による自立支援医療が実施される。通院治療においてこの制度を使うと、医療保険を使用した時、医療費全体の原則10%負担となる。なお、患者の世帯収入が少ない場合は負担額の上限が設けられ、月額上限2,500円から20,000円の間となる。また、市区町村によっては、この負担額の上限とは別に独自に補助を行っている自治体もある。この制度を利用する場合は、病院の医師やケースワーカーに相談して主治医に診断書を作成してもらい、住民票のある市区町村に診断書と申請書類を提出することが必要である。