精神安定剤
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次第に乱用や、離脱症状による依存の問題が明らかとなり、1980年にはヴァリウムは処方された医薬品の32番目まで低下した[9]

乱用のおそれのある物質を管理下に置く目的の、1971年の国際条約である向精神薬に関する条約には、日本は1990年に批准しており遅れた理由は条約の付表III-IVの規制の難しさである[18]。条約の付表III-IVは、バルビツール酸系やベンゾジアゼピン系が多く含まれる。

その後に欧米では1970年代にベンゾジアゼピン系の薬剤の依存性が問題になり、抗うつ薬が売り出された。

イギリスでは、1988年にはすべての臨床医に対して、ベンゾジアゼピン系を4週間を超えて使用すべきではないというガイドラインが送られた[19]。2011年には、イギリスの「望まないトランキライザー依存の超党派議会」(All Party Parliamentary Group on Involuntary Tranquilliser Addiction:APPGITA)は、約150万人がベンゾジアゼピンに依存していると推定している[20]英国放送協会(BBC)が取り上げた一人の男性は、トランキライザーのベンゾジアゼピンを8歳の時に処方され、50歳となった今も薬を中断した際の症状のため、薬をやめることができないことを取り上げている[20]
メジャートランキライザー詳細は「抗精神病薬」を参照

近年では抗精神病薬と呼ばれ、定型抗精神病薬と、非定型抗精神病薬とが存在する。後者が新しい。これらは直接脳の中枢に働き、主に脳のドーパミンD2受容体セロトニン受容体を遮断し、ドーパミンの分泌を抑える。効能は主に統合失調症である。注意すべき点は、多くが劇薬であり、副作用も強いことである。

代表的な副作用としては、眠気、注意力の低下、めまい、ふらつき、手足の痺れ、体重増加、依存などである。また、重大な副作用として、大脳基底核(線状体)のドーパミン受容体(D2受容体)をもブロックしてしまうのでパーキンソン症候群を引き起こしたり、ごく稀ではあるが悪性症候群を起こすことがある。
マイナートランキライザー詳細は「抗不安薬」を参照

近年では抗不安薬と呼ばれる。主に、脳に直接働きかけ、脳のリラックス系の神経受容体「BZD受容体」に結合することで、不安を和らげたり、気分を落ち着ける精神安定剤である。主にベンゾジアゼピンがある。

非常に多くの種類があるが、薬剤によって抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用の強さが異なり、またその効き目の持続時間や強さにより、いろいろな種類が使い分けられる。また、効能も至って広域で、内科や産婦人科でも処方されることがある。

主な副作用としては眠気や注意力の低下、脱力、依存症、離脱症状などが上げられる。多くは麻薬及び向精神薬取締法にて取扱いの諸注意が規定されている。
出典^ a b 松枝亜希子 2010, p. 385.
^ a b c 風祭元『日本近代精神科薬物療法史』アークメディア、2008年、20頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4875831211。 
^ a b c d e デイヴィッド・ヒーリー 2005, p. 25.
^ 松枝亜希子 2010.
^ エリオット・S・ヴァレンスタイン 2008, p. 71.
^ Harold E.Himwich 編集 著、東京大学薬理学教室静穏剤研究グループ 訳『トランキライザー-静穏剤』医歯薬出版、1958年。 
^ エドワード・ショーター『精神医学の歴史』木村定(翻訳)、青土社、1999年10月、300頁。ISBN 978-4791757640


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