総運動精子数(Total motile spermatozoa, TMS[28] または Total motile sperm count, TMSC[29])は、精子数(濃度)、運動率、体積の積により求められ、射精液全体の中で運動している精子の匹数が計算される。
ICIでは運動率グレードcまたはdの精子を約2000万匹、IUIでは500万匹がおよその推奨値とされる。 精液中の白血球を検査する場合もある。精液中の白血球数が多い場合は膿精液症と呼ばれ、感染症を示唆している可能性がある[5]。正常値上限は一意ではないが、一例として精液1mLあたり白血球100万個以上としているものがある[5]。 精子の質そのものとは別に、結果に影響を及ぼす可能性のある様々な方法論的要因があり、方法間のばらつきを生じさせている。 マスターベーションから得られた試料と比較して、採精用コンドームから得られた精液試料は、総精子数、精子運動率、正常形態精子率が高い[要出典]。このため、精液分析に使用すると、より正確な結果が得られると考えられている。 男性の最初の試料の結果が不妊であった場合、少なくとも2?4週間空けて更に2回以上の検査で確認する必要がある[30]。一人の男性の精液分析結果が、経時的に大きな自然変動がある可能性がある。さらに、検査のために射精液試料を作成する際の慣れない環境、潤滑剤(ほとんどの潤滑剤は精子にとって多少有害である)無しというストレスが、男性の最初の試料にしばしば悪い結果を与え、一方で、後のサンプルが正常な結果を示す理由となっているかもしれないと考えられている。 クリニックで精液を採取するよりも自宅で精液を採取することを好む場合、寒暖差に曝されると精子の運動率に影響を与える可能性があるため、試料はできるだけ体温に近い温度に保ち、採精後速やかに検査する必要がある。 精液の体積は、試料容器の重量と空容器の質量の差によって求められる[31]。精子の数と形態は、顕微鏡検査で計算できる。精子数は、精子関連蛋白質の量を測定するキットによって推定することもでき、家庭での使用に適している[32]。 コンピュータ支援精液分析(Computer assisted semen analysis;CASA)は、自動または半自動精液分析技術の総称である。殆どのシステムは画像解析に基づいているが、タブレット上で細胞の動きを追跡するなどの方法もある[33][34]。 コンピュータ支援技術は、精子濃度、移動速度、前進速度のような移動特性の評価に最もよく使用される。今日では画像解析に基づき、新しい技術を用いたCASAシステムがあり、ほぼ完璧な結果が得られ、完全な解析を数秒で行うことができる。いくつかの技術を用いれば、精子濃度と運動性の測定は、少なくとも現在の手作業による方法と同程度には信頼できる[35]。
その他
異常診断
無精液症: 精液が出ない
無精子症: 精子が居ない
精液過少症:精液量が少ない
精液過剰症:精液量が多い
精子減少症:精子数が少ない
精子無力症:精子の運動性が悪い
奇形精子症:精子の形態異常が多い
精子死滅症:射精液中の精子が全て死んでいる
膿精液症: 精液中の白血球が多い
結果に影響する因子
測定法精液分析用計量済み容器
人工授精:妊娠率に影響を与える精子の質の詳細については英語版:Artificial insemination
脚注
注釈^ sperm aggregation:運動性精子および非運動性精子の両方が、粘液糸または非精子細胞などに付着すること
^ sperm agglutination:運動性精子が塊を形成する傾向
^ 過去12ヵ月間にパートナーが妊娠した男性からの検体と同等
出典^ a b “1. Introduction”