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現物市場は買い手と売り手のマッチングの場となり、代表的な産地・品種・銘柄に関する?値帯(最も取引価格が高い価格帯)・中値帯(最も取引量が多い価格帯)・安値帯(中値未満で最も取引量が多い価格帯) 、およびこれらの価格帯に対応した取引量をリアルタイムで公表する[33][34]

農林水産省は、2022年11月25日に開かれた自民党の会合で、コメの現物市場を2023年秋にも開設できるようにする方針を示した[29][34][35]シンクタンクである「公益財団法人流通経済研究所」(東京都千代田区)が現物市場の開設・運営する意向を示しており、同研究所のマッチングシステム「アグリーチ」を使って農林?産物の?産者・卸売業者・実需者をマッチングすることを明らかにした[29][34][35]

11月29日の閣議後の記者会見で、野村哲郎農相は、現物市場の消費者への影響を問われ、「売る側と買う側の両者が入っているなかで検討されるので透明性・公平性があり、消費者にとって納得のいく価格に設定されるのではないか」と期待を語った[36]

農水省は、2023年3月24日に開かれた自民党の総合農林政策調査会・農林部会合同会議でコメの現物市場について報告し、水稲や野菜の栽培を手がける農業法人の「ぶった農産」(石川県野々市市)が新たに開設の意向を示したと発表した[31][37]。「みらい米市場」を運営する流通経済研究所と「グリーンフードテックマーケット」を運営するぶった農産が、それぞれ具体的な事業運営?法や価格指標の公表方法を開?した[31][37]

農水省は、現物市場の創設に向けて、米の生産者・集荷団体・卸売業者による「情報共有の場」として「米産業活性化のための意見交換」を開始した[38]。また、将来の米価を把握するための方法について、生産者・集荷業者・卸売業者・実需者の目線で勉強する「米の将来価格に関する実務者勉強会」を開始した[39]。2023年8月2日の第1回「米の将来価格に関する実務者勉強会」[39]と8月9日の第3回「米産業活性化のための意見交換」[38]では、ぶった農産の佛田利弘社長が「グリーンフードテックマーケット」[40]について、流通経済研究所の折笠俊輔主席研究員[41]が「みらい米市場」[42]について、それぞれ説明した。

大手コメ卸の神明(東京都中央区)、東京商品取引所、堂島取引所、SBIホールディングスなど16社の出資を受け、流通経済研究所は「みらい米市場」を運営する「みらい米市場株式会社」(東京都新宿区)を2023年8月10日に設立し[43][44][45][46][47]、10月16日に市場を開設した[45][47][48]。最大の売り手としてホクレン農業協同組合連合会北海道札幌市)が参加し[44][48]、10月18日にオンライン市場に出品する道内の11生産部会とコメ15種類を公表した[49]

また、ぶった農産と田仲農場(茨城県稲敷市)は、「グリーンフードテックマーケット」の運営会社として「農場(のうば)」(石川県野々市市)を10月12日に設立し、12月以降に取引を始めると発表した[50][51][52]

コメ現物市場の取引が活発になれば、天候などによる価格変動リスクをヘッジできる先物取引のニーズが高まることが予想される。このため、コメ先物の再上場を目指す堂島取引所は、独自に「コメ先物の市場開設に係る有識者会議」を開催し、11月28日の初会合にプレゼンターとして「みらい米市場」の折笠社長を招いた[53]。当業者の意見を取り入れた商品設計を行って本上場を申請する準備を始めた[53]

農水省は、2024年1月30日に「コメの将来価格に関する実務者勉強会」のとりまとめ[54]を公表した[53]。勉強会では、国産米の安定的な取引を持続するためには、需要に応じた生産や事前契約の拡大に継続して取り組み、供給側で再生産可能な米価を確保する重要性が指摘された[54]。将来価格を予め決めることは、先を見通した経営や需要に応じた生産の実現に寄与する[54]。予め取引価格を決められる取引形態は3種類あり、現時点で行われている「現物先渡相対取引」(事前契約取引)と現時点では行われていない「現物市場先渡取引」及び「先物市場取引」がある[54]。これらの取引形態を組み合わせて活用すれば、各事業者が将来の価格変動に対するリスク抑制を行う場合の選択肢が広がることが期待されると記している[53][54]。新たな現物市場として「みらい米市場」や「グリーンフードテックマーケット」が開設され、市場取引が拡大している[54]。今後、将来価格を決めることができる取引の選択肢が増え、関係者がそれぞれの事情に応じ活用するようになることが重要であるとまとめている[54]

堂島取引所は、2024年2月3日までに株主に対して臨時株主総会を開催する旨を通知した[55][56]市場価格から算出する米価指数先物の上場に向け、2月下旬にも農林水産省と経済産業省に認可申請する方針を固めたことが明らかになった[55][56]。認められれば8月にも取引を開始する[56]。指数の算出手法は有識者による検討委員会で詰めており、3月末までにまとめる方針だと報じられた[56]
その他

米の生産(稲作)には病害虫の防除や稲の生長のため、殺菌剤、殺虫剤、除草剤など各種の農薬が使用される。農薬については玄米中への残留農薬の基準がある。

プロクロラズ(殺菌剤)

ヒドロキシィソキサゾール(殺菌剤)[57][58]

フィプロニル(殺虫剤)

ベンスルフロンメチル(殺菌剤)

メフェナセット(除草剤)

ベンタゾン(除草剤)

ピロキロン(殺菌剤)

ジノテフラン(殺虫剤)

エトフェンプロックス(殺虫剤)

歴史

稲は、原産地である中国大陸の中南部から北部、南アジアに、そして日本へと伝わった。の一定面積あたり収穫量が1haあたり約3.5tであるのに対して、米は約5tと多く[59]、他地域に比べてアジアの稲作地域での人口増大を可能にした。
日本葛飾北斎富嶽三十六景』に描かれる米の仲買人葛飾北斎『富嶽三十六景』に描かれる水車の流れ水で米を研ぐ農夫

稲作は日本においては、縄文時代後期から行われ始めたといわれる[7]。これはプラント・オパールや、炭化したや米、縄文土器に残る痕跡などから分かる。大々的に水稲栽培が行われ始めたのは、縄文時代晩期から弥生時代早期にかけてで、各地に水田の遺構が存在する。

弥生期では一粒当たりから生産できる量は400粒ほどだったが(それでも麦が一粒当たり150 - 170粒の生産量であることを考えれば、高い生産量といえる)、品種改良や水田開発が進んだ現在では一粒当たり2千粒(約5倍)まで生産量が上がっている[60]

米は、食料として重要である一方で、比較的長期に保存ができるという特徴から、マダガスカルメリナ人タイにおけるサクディナー制など、米食文化においては経済的に特殊な意味を持ち、これは日本でも同様であった。

長らく租税・あるいは年貢)として、また、石高制に代表されるように、ある地域の領主や、あるいは単に家の勢力を示す指標としても使われた。貨幣経済が発達すると、それとの調和を図るべく、札差業が発達、米切手の発生や堂島米会所に代表される近代的商品取引システムの生成が見られ、江戸時代には政治経済の中心に米が置かれていた。


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