米の輸出入 トップ10ヶ国
(2017年、百万トン、FAO統計)[23][24]
輸出輸入
インド12.0 中華人民共和国3.9
タイ11.6 ベナン1.9
ベトナム5.8 バングラデシュ1.6
アメリカ合衆国3.2 コートジボワール1.3
パキスタン3.9 イラン1.3
中華人民共和国1.2 サウジアラビア1.2
ミャンマー1.1 南アフリカ共和国1.1
ウルグアイ1.0 フィリピン0.9
イタリア0.7 メキシコ0.9
ブラジル0.6 イラク0.9
米の貿易量は、増加傾向で推移している。主要な輸出国はインド、タイ、ベトナム、アメリカ合衆国、パキスタンで、この5カ国で世界の輸出総量の8割強を占める。一方、輸入国は中華人民共和国、ベナン、バングラデシュ、コートジボワール、イランなどで各国100万?200万トンを輸入しているが、作況により取引量の増減が大きい。
日本に関しては、太平洋戦争後、米は農業政策の根幹であったため、昭和40年代(1965年 - 1974年)初頭に米の自給が実現できるようになって以降は原則として輸入がなされなかった。が、ウルグアイ・ラウンドにおいて、関税化を延期する代償としてコメにおいては他品目よりも厳しい輸入枠(ミニマム・アクセス)を受け入れ、1993年(平成5年)以降、年間77万トンの輸入を行っている[25]。なお、年間3万トン程度の輸出も行っている[26]。
米は他の穀物に比べ、生産量に対して貿易量は少ない(生産量の約7%、なお、小麦は約20%、トウモロコシは約12%が生産量に対する貿易量となっている)。これは、米は基礎食料として国内で消費される傾向が強いため、生産量に占める貿易量の割合が低くなっているためである[20]。そのため、小麦やトウモロコシと異なり、国際的な商品先物取引の対象商品となっていない。国際取引指標
は、タイ国貿易取引委員会 (BOT) の長粒種輸出価格。なお日本国内では、2011年8月8日より東京穀物商品取引所と関西商品取引所で「コメ先物」として商品先物取引の試験上場が開始。2013年2月12日、名称を関西商品取引所から改名した「大阪堂島商品取引所(現:堂島取引所)」が、東京穀物商品取引所閉所に伴い、同所からコメ先物取引(東京コメ)を引き継いだ。なお、現物決済の標準品は、「東京コメ」については茨城県産、栃木県産および千葉県産コシヒカリ、「大阪コメ」は石川県産および福井県産のコシヒカリとなっていた。しかしながら、大阪堂島商品取引所は2021年8月6日、コメ先物取引の本上場への移行が、生産者の参加が大きくは増えておらず生産・流通を円滑にする観点から不十分との理由により農林水産省に認可されなかった旨を発表、すでに成立している取引が終わる2022年6月以降はコメ先物を扱えなくなった[27][28]。 コメの取引は、生産者やJA、卸・小売業者らの間で行われる相対取引が中心で、広く開かれた市場がないため、公平・透明な価格形成が行われていないと指摘されている[29]。今はJAグループが農家から集荷する際に支払う仮払金(「概算金」と呼ばれる)がコメ相場を左右しており、需要が減っても概算金が上がれば取引価格も値上がりするという消費者から見れば納得しにくい相場になっている[30][31]。コメ先物の上場廃止で価格指標が消滅したが、大規模コメ農家やJA、コメ卸などは価格指標が必要との認識で一致している[31]。このため、自民党が農林水産省に現物市場の創設を求めていた[29]。農林水産省は、「米の現物市場検討会」[32]を設置し、需給実態に合った価格指標を提供する現物市場の制度設計を行った。2022年3月には、市場の制度設計の取りまとめが行われ、JAなど集荷業者と卸売業者の間の「大口取引」と生産者と卸売業者・実需者の間の「小口取引」の2本立てとする方針が示された[29]。現物市場は買い手と売り手のマッチングの場となり、代表的な産地・品種・銘柄に関する?値帯(最も取引価格が高い価格帯)・中値帯(最も取引量が多い価格帯)・安値帯(中値未満で最も取引量が多い価格帯) 、およびこれらの価格帯に対応した取引量をリアルタイムで公表する[33][34]。 農林水産省は、2022年11月25日に開かれた自民党の会合で、コメの現物市場を2023年秋にも開設できるようにする方針を示した[29][34][35]。シンクタンクである「公益財団法人流通経済研究所
日本のコメ現物取引市場
11月29日の閣議後の記者会見で、野村哲郎農相は、現物市場の消費者への影響を問われ、「売る側と買う側の両者が入っているなかで検討されるので透明性・公平性があり、消費者にとって納得のいく価格に設定されるのではないか」と期待を語った[36]。
農水省は、2023年3月24日に開かれた自民党の総合農林政策調査会・農林部会合同会議でコメの現物市場について報告し、水稲や野菜の栽培を手がける農業法人の「ぶった農産」(石川県野々市市)が新たに開設の意向を示したと発表した[31][37]。「みらい米市場」を運営する流通経済研究所と「グリーンフードテックマーケット」を運営するぶった農産が、それぞれ具体的な事業運営?法や価格指標の公表方法を開?した[31][37]。
農水省は、現物市場の創設に向けて、米の生産者・集荷団体・卸売業者による「情報共有の場」として「米産業活性化のための意見交換」を開始した[38]。また、将来の米価を把握するための方法について、生産者・集荷業者・卸売業者・実需者の目線で勉強する「米の将来価格に関する実務者勉強会」を開始した[39]。2023年8月2日の第1回「米の将来価格に関する実務者勉強会」[39]と8月9日の第3回「米産業活性化のための意見交換」[38]では、ぶった農産の佛田利弘社長が「グリーンフードテックマーケット」[40]について、流通経済研究所の折笠俊輔主席研究員[41]が「みらい米市場」[42]について、それぞれ説明した。